
営業担当者にとって、営業資料は重要な「武器」のひとつです。限られた商談時間の中で、自社の特徴やサービスのメリット、実績、提案内容を分かりやすく伝えるために、資料のクオリティにはこだわりたいところです。
特にオンライン商談が定着した現在では、画面共有された資料そのものに視線が集まります。また、よく整理された営業資料があれば、担当者による説明のばらつきを減らしたり、商談後にお客様の社内で情報を共有してもらったりすることもできます。
ところが、「できるだけ詳しく説明したい」「この実績も載せたい」「会社の強みも全部伝えたい」と情報を追加していくうちに、営業資料がどんどん分厚くなってはいないでしょうか。
会社側は「充実した資料ができた」と思っていても、お客様から見れば「結局、何が一番重要なのか分からない」「自分たちに関係する情報が少ない」という資料になっている可能性もあります。
そこで一度考えてみたいのが、営業資料のデザインやページ数よりも前にある、「いつ渡すのか」「どこまで情報を載せるのか」「ホームページと何を分担するのか」という3つの視点です。
営業資料を強くするために必要なのは、情報を増やすことではなく、「誰に、いつ、何を伝えるのか」を整理することなのかもしれません。
今回は、営業資料にこだわるべき理由を改めて整理しながら、資料に情報を詰め込みすぎず、ホームページやフォロー資料とも上手に役割分担しながら「商談を強くする」ための考え方をご紹介します。
なぜ今、営業資料にこだわる必要があるのか?
「情報を詰め込みすぎない方がいい」とはいっても、営業資料そのものが重要ではなくなったわけではありません。むしろ現在の営業活動を考えると、営業資料の役割は以前より大きくなっているとも言えます。
理由① オンライン商談では「資料」に視線が集まる
オンライン商談では、営業担当者が資料を画面共有すると、お客様の視線は自然とその資料へ集まります。対面営業のようにパンフレットを一緒にめくったり、商品を手に取ってもらったりすることが難しいからこそ、画面上で「見て分かる資料」であることが重要です。
文字ばかりのページを読み上げるのではなく、図や写真、数字、短いメッセージなどを使いながら、説明を聞く人が内容を理解しやすい資料にする必要があります。
理由② 営業品質の標準化と底上げにつながる
営業担当者によって、説明する内容や順番が大きく違ってしまう会社もあります。ベテラン担当者なら経験をもとに説明できても、経験の浅い担当者では重要なポイントを伝えきれないこともあるでしょう。
よく整理された営業資料があれば、「会社として必ず伝えたいこと」を共有できます。単なる説明資料ではなく、営業チーム全体の提案品質を一定水準まで引き上げるためのツールとしても活用できます。
理由③ 営業資料はお客様の社内でも使われる
特にBtoBの商談では、目の前にいる担当者だけで契約が決まるとは限りません。「一度社内で検討します」「上司に確認します」と持ち帰られ、別の担当者や経営者が資料を見ることもあります。
そのとき、営業担当者本人は隣にいません。つまり営業資料には、営業担当者に代わって提案内容を説明する役割も求められます。
だからこそ、営業資料にはしっかりこだわる必要があります。ただし、ここで注意したいのが「詳しい資料ほど良い資料」と考えてしまうことです。
営業資料にこだわることと、情報をたくさん詰め込むことは同じではありません。大切なのは、相手が必要とする情報を、必要なタイミングで分かりやすく届けることです。
資料を作り込む前に考えたい3つのこと
営業資料を改善しようとすると、「デザインをもっと良くしよう」「図解を増やそう」「導入事例を追加しよう」と、つい資料そのものへ目が向きがちです。
しかし、その前に整理しておきたいことがあります。それが、「タイミング」「情報量」「ホームページとの情報差」という3つの視点です。
① タイミング|その情報は「いつ」必要なのか?
営業資料は、提案のときだけ使うものとは限りません。問い合わせ直後、初回商談、具体的な提案、提案後のフォローなど、営業活動にはいくつものタイミングがあります。
すべてを一冊に詰め込むのではなく、その段階でお客様が知りたい情報を適切なタイミングで届けるという考え方が重要です。
② 情報量|そのお客様に本当に必要な情報か?
会社概要、サービス紹介、特徴、機能、実績、料金、よくある質問……。営業資料に載せたい情報を挙げれば、いくらでも増やすことができます。
しかし、すべてのお客様が同じ情報を必要としているわけではありません。「載せられる情報」ではなく、「このお客様が判断するために必要な情報」を選ぶことが大切です。
③ ホームページとの情報差|同じ説明を繰り返していないか?
会社概要やサービス内容、実績など、誰に対しても共通して伝える情報は、ホームページにも掲載できます。
ホームページで十分に説明できている内容を営業資料でも何ページにもわたって繰り返すより、その分を「今回の課題をどう考えたのか」「なぜこの提案なのか」といった個別の情報に使った方が、提案の価値は高まります。
営業資料を作り込む前に、「いつ渡すのか」「何を伝えるのか」「ホームページでは伝えられない情報は何か」を整理する。この3つが、商談を強くする営業資料づくりのスタート地点です。
ここからは、それぞれのポイントについて、もう少し具体的に考えていきましょう。
タイミング|営業資料は提案時だけに使うものではない
「営業資料」と聞くと、商談やプレゼンテーションの場で使う資料を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、お客様が必要とする情報は、営業プロセスの段階によって変わります。
そこで、一冊の資料にすべてを詰め込むのではなく、「いつ、どの情報を渡すか」まで含めて営業資料を設計するという考え方を取り入れてみましょう。
問い合わせ直後|商談前の「事前資料」
問い合わせをいただいてから初回商談までの間には、会社やサービスの概要、相談から契約までの流れ、事前に確認してほしいことなどを簡潔にまとめた資料が役立ちます。
お客様に基礎情報を知ってもらった状態で商談を始められれば、当日に会社説明だけで多くの時間を使わずに済みます。
初回商談|説明より「ヒアリング」を助ける資料
初回商談では、完成された提案を一方的に説明するより、まずお客様の課題や希望を聞くことが重要です。
サービスの全体像や参考事例、選択肢など、会話を進めるために必要なページを用意しておき、「それなら、この事例が近いですね」と必要に応じて見せる。そんな使い方でも十分です。
提案時|「御社にはこう考えました」を伝える資料
ヒアリングを終えた提案段階では、汎用的な会社説明よりも、「御社の課題をこう捉えました」「そのため、この方法をご提案します」という情報の重要度が高くなります。
ここで初めて、メインとなる営業資料が大きな役割を果たします。相手の話を聞いたうえで作られていることが伝われば、同じサービスでも提案の印象は大きく変わります。
提案後|必要な情報を補う「フォローアップ資料」
提案後に出てきた疑問や、社内検討に必要となった情報は、フォローアップ資料として追加する方法もあります。
- 類似する導入事例
- 他の選択肢との比較表
- よくある質問への回答
- 詳しい仕様や技術情報
- 社内説明に使える補足資料
こうした情報まで最初からメイン資料へ入れておく必要はありません。お客様の反応を見ながら、必要になったタイミングで提示すればよいのです。
営業資料は「一度に全部見せるもの」ではなく、営業プロセスに合わせて必要な情報を届けるもの。タイミングを分けるだけでも、メインの営業資料はもっとシンプルに、もっと相手に合わせた内容にできます。
情報量|分厚い営業資料ほど伝わるとは限らない
営業資料を作っていると、「これも説明しておいた方がいい」「この実績も載せたい」「この機能も知ってほしい」と、少しずつページが増えていきます。特に、商談後にお客様の社内で資料が共有されることを考えると、できるだけ詳しくしておきたいと考えるのも当然です。
しかし、情報量が多いことと、提案内容が伝わりやすいことは別の話です。
「念のため入れておこう」が資料を分厚くする
会社概要、沿革、企業理念、サービス一覧、特徴、機能、実績、料金、サポート体制、よくある質問。どれも必要な情報に見えるため、一つひとつ追加していくと、営業資料は簡単に分厚くなります。
ところが、お客様が本当に知りたいのは、そのすべてではないかもしれません。営業資料を最初から最後まで説明することに時間を使いすぎれば、本来最も大切な「お客様の話を聞く時間」まで少なくなってしまいます。
「このお客様に必要か?」で情報を選ぶ
同じサービスを提案する場合でも、お客様によって知りたいことは異なります。価格を重視する会社もあれば、実績やサポート体制、導入後の運用方法を重視する会社もあります。
だからこそ、営業資料では「自社が何を伝えたいか」だけではなく、「このお客様が判断するためには、何が必要なのか」という視点で情報を選ぶことが重要です。
汎用的すぎると「自分たちへの提案」に見えなくなる
もう一つ注意したいのが、完成度の高い汎用資料に頼りすぎることです。
きれいに作り込まれた資料でも、何十ページも会社説明や一般的なサービス紹介が続けば、「これはどのお客様にも同じ資料を使っているのだろうな」と感じさせてしまうことがあります。
それよりも、「御社から伺った課題」「今回この方法をご提案する理由」「御社に近い事例」といった情報が入っている方が、自分たちのために考えられた提案であることは伝わりやすくなります。
営業資料で高めたいのは「情報量」ではなく、「このお客様に必要な情報の濃度」です。ページを増やすより、相手に合わせて何を残し、何を削るかにこだわることが、商談を強くします。
ホームページとの情報差|全部を営業資料に載せる必要はない
営業資料の情報量を減らそうとしても、「商談後に社内で共有されることを考えると、会社概要も実績もサービス内容も削れない」と感じるかもしれません。
そこで考えたいのが、営業資料とホームページの役割分担です。
誰にでも共通する情報はホームページに任せる
会社概要や事業内容、サービスの特徴、実績、よくある質問などは、特定のお客様だけではなく、これから自社を検討する多くの人に共通して伝えたい情報です。
こうした基本情報がホームページに十分掲載されていれば、営業資料ですべてを詳しく繰り返す必要はありません。
- 会社概要や企業としての考え方
- サービスの基本的な内容
- 自社の特徴や強み
- 導入事例・施工実績
- お客様の声
- よくある質問
- 料金やプランの基本的な考え方
必要に応じて営業資料から該当するWebページへ案内できれば、商談後に詳しく確認してもらうこともできます。ホームページは、営業担当者がいない場所でも基本情報を説明してくれる存在なのです。
営業資料には「そのお客様だから伝える情報」を載せる
基本情報をホームページに任せることができれば、その分、営業資料にはもっと個別性の高い情報を載せられます。
- 今回の課題をどのように捉えたのか
- なぜこの提案が適していると考えたのか
- その会社に近い事例や実績
- 具体的な進め方やスケジュール
- 個別の条件や費用
こうした内容は、ホームページには掲載しにくい一方、目の前のお客様にとっては非常に重要な情報です。
「ホームページにない情報」が営業資料の価値になる
営業資料を開いたとき、ホームページで見た内容がそのまま何ページも続くより、「自分たちとの商談を踏まえた情報」が出てきた方が、お客様にとっても提案を受ける意味を感じやすくなります。
ホームページには「誰にでも伝えたい情報」を充実させ、営業資料には「このお客様に伝えたい情報」を凝縮する。この情報差をつくることが、営業資料を薄くしながら提案を強くするポイントです。
「全部入り営業資料」から「組み合わせる営業資料」へ
ここまでの内容を整理すると、これからの営業資料は「一冊ですべてを説明するもの」と考えなくてもよいことが見えてきます。
会社紹介からサービス説明、実績、料金、事例、FAQ、個別提案までを一冊にまとめるのではなく、営業プロセスやお客様の状況に合わせて、必要な情報を組み合わせていくという考え方です。
営業全体を「情報の組み合わせ」で考える
たとえば、次のようにそれぞれの役割を分けることができます。
- ホームページ:会社・サービス・実績などの基本情報を伝える
- 事前資料:初回商談までに知ってほしい情報を伝える
- 商談資料:会話やヒアリングを助ける
- 提案資料:そのお客様に合わせた解決策を伝える
- フォローアップ資料:商談後に必要となった情報を補足する
こうして役割を分ければ、一つひとつの資料にすべての情報を詰め込む必要がなくなります。
営業担当者が「資料を説明する人」にならない
全部入りの営業資料には、もう一つ注意したいことがあります。それは、商談そのものが「資料を最初から最後まで説明する時間」になりやすいことです。
営業担当者が一生懸命説明している一方で、お客様は「自社の場合はどうなのだろう?」という疑問を抱えたままでは、良い商談とは言えません。
基本情報はホームページや事前資料で伝え、商談では必要なページだけを使う。そうすることで、営業担当者は資料を読むことより、お客様の話を聞き、その場で必要な情報を選んで伝えることに時間を使えるようになります。
「全部を一冊に入れる」のではなく、「必要な情報を必要なタイミングで組み合わせる」。営業資料をスリムにすることは、説明を減らすことではなく、お客様との会話を増やして商談を強くすることにつながります。
営業資料を強くしたいなら、ホームページも見直してみよう
営業資料を整理していくと、実はもう一つ見直したいものが出てきます。それが、自社のホームページです。
営業担当者が「この資料で自社の良さを伝えよう」と考えていても、お客様はその資料を見る前に、すでにホームページを見ているかもしれません。
商談が始まる前から「営業」は始まっている
特にホームページから問い合わせをいただく場合、お客様は会社名やサービスを検索し、事業内容や実績、特徴などを確認したうえで問い合わせていることがあります。
つまり、営業担当者と初めて話す時点で、お客様の中ではすでに「この会社なら相談できそう」という一次判断が行われているわけです。
その状態で商談が始まるのであれば、会社概要やサービスの基本説明に長い時間を使う必要はありません。
ホームページが充実すると「商談のスタート地点」が変わる
サービス内容、実績、事例、会社の考え方、よくある質問などがホームページで十分に伝わっていれば、商談では一歩先の話から始めることができます。
「弊社はこのような会社です」という説明より、「今回、どのようなことでお困りですか?」「ホームページをご覧になって、どのサービスが気になりましたか?」という会話に、より多くの時間を使えるようになります。
これは営業担当者だけでなく、お客様にとってもメリットがあります。限られた商談時間を、自分たちの課題や具体的な提案について話すために使えるからです。
営業資料とホームページを別々に考えない
営業資料だけを一生懸命改善しても、ホームページに十分な情報がなければ、結局は会社概要やサービス説明を資料へ詰め込まなければなりません。
反対に、ホームページが「基本情報を伝える役割」をしっかり担ってくれれば、営業資料はもっと顧客ごとの提案に特化できます。
ホームページが事前説明をしてくれるほど、営業担当者は「会社を説明する時間」を減らし、「お客様の話を聞き、提案する時間」を増やせます。それこそが、ホームページによって商談を強くするという考え方です。
アトラボの考え方|最強の営業資料は「ホームページ」かもしれない
アトラボはホームページ制作会社ですが、ホームページを単なる「会社案内」だとは考えていません。集客はもちろん、営業担当者の提案を支えるツールとしても、もっと活用できるものだと考えています。
会社概要やサービス内容、実績、事例、よくある質問など、お客様によって内容が変わらない情報はホームページでしっかり伝える。そのうえで営業資料では、目の前のお客様に合わせた提案に集中する。この役割分担ができれば、営業資料はもっとシンプルで、もっと濃いものにできます。
「ここなら相談できそう」を商談前につくる
特に私たちが大切だと考えているのは、営業担当者と会う前の段階です。
ホームページを訪れた人が、サービス内容や実績、会社の考え方などを確認して、「この会社なら自分たちのことを分かってくれそう」「ここなら一度相談してみたい」と感じて問い合わせをする。ここまでできれば、ホームページはすでに営業活動の一部を担っています。
そして商談では、ホームページに書いてあることをもう一度説明するのではなく、「御社の場合はどうするか」という、より具体的な話に時間を使えます。
ホームページと営業資料、それぞれにしかできないことを
ホームページには、不特定多数のお客様へ24時間情報を届けられる強みがあります。一方、営業資料には、特定のお客様の課題や条件に合わせて内容を変えられる強みがあります。
どちらか一方ですべてを伝えようとするのではなく、それぞれの得意な役割を活かすことが大切です。
問い合わせをいただく前から「この会社なら間違いなさそう」と感じてもらえるホームページは、営業担当者がまだ会っていないお客様にも働きかけてくれる、いわば「最初の営業資料」です。
営業資料をもっと良くしたいと考えたときこそ、資料だけを見るのではなく、その前後にあるホームページまで含めて「何を、どこで伝えるのか」を整理してみる。アトラボでは、そんな営業全体を支えるホームページづくりが、結果として商談を強くすることにつながると考えています。

まとめ|営業資料は「情報を増やす」より「役割を整理する」
営業資料は、商談を支える大切なツールです。特にオンライン商談では資料そのものに視線が集まりやすく、営業品質の標準化や、商談後の社内共有という意味でも、その重要性は高まっています。
だからこそ、営業資料を改善するときに「もっと情報を増やそう」と考えるのではなく、まずは「いつ・誰に・何を伝える資料なのか」を整理してみましょう。
- タイミング:事前・商談・提案・フォローで必要な情報を分ける
- 情報量:そのお客様が判断するために必要な情報へ絞る
- ホームページとの情報差:共通情報と個別提案の役割を分ける
会社概要やサービス、実績などの基本情報はホームページでしっかり伝え、営業資料では「御社にはこう考えました」という個別性の高い情報を伝える。さらに必要な情報は、事前資料やフォローアップ資料として適切なタイミングで届ける。このように役割を整理すれば、一冊の営業資料へすべてを詰め込む必要はありません。
そして営業資料がシンプルになれば、営業担当者は資料を説明することより、お客様の話を聞き、その場に合った提案をすることへ時間を使えるようになります。
営業資料を強くするとは、ページ数や情報量を増やすことではありません。「誰に、いつ、何を伝えるか」を整理し、ホームページや他の資料と役割分担すること。それが結果として「商談を強くする」ことにつながります。
営業資料を作り直そうと思ったときは、ぜひ自社のホームページも一緒に見直してみてください。商談が始まる前から必要な情報を伝え、「この会社に相談してみたい」と思ってもらえるホームページがあれば、それは営業チームにとって何より心強い「営業資料」になるはずです。



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