
「それ、AIでも書けますよね?」という時代になった
少し前まで、企業が数千文字の記事を継続して発信するには、それなりの時間と労力が必要でした。テーマを考え、情報を調べ、構成を作り、文章を書く。Web担当者にとって、記事を一本公開するだけでも大変な仕事だったと思います。
ところが生成AIの登場によって、その状況は大きく変わりました。「このキーワードについて、中小企業の経営者向けに3,000文字で記事を書いて」と指示すれば、短時間でそれらしい文章が完成します。
だからこそ、これから企業がコンテンツを発信するときに、一度考えてみてほしいことがあります。
「その記事、本当に御社が書く意味がありますか?」
もっと厳しい言い方をすれば、「それ、AIでも書けますよね?」と思われる内容だけでは、わざわざ自社の記事を読んでもらう理由が作りにくくなっているということです。
もちろん、AIを使って記事を書くことが悪いわけではありません。情報整理や構成づくり、文章化など、AIを活用することでWeb担当者の負担を大きく減らすことができます。
問題は、「文章を作ること」そのものを目的にしてしまうことです。
記事を簡単に作れる時代になったからこそ、「誰に伝えるのか」「自社だから伝えられることは何か」「読んだ人に何を感じてほしいのか」を、これまで以上に考える必要があります。
今回は、マーケティング会社などへすべてを任せるのではなく、自社で情報発信を頑張りたい中小企業のWeb担当者に向けて、AI時代だからこそ改めて考えたい「読まれるコンテンツの価値」についてご紹介します。
「たくさん書けばいい」時代ではなくなった
これまで企業のコンテンツづくりでは、「お客様が検索しそうなキーワードを見つけ、そのテーマについて詳しい記事を書く」という方法がよく使われてきました。この考え方自体は、今でも間違いではありません。
しかしAIを使えば、同じキーワードについて数千文字の記事を短時間で作れるようになりました。競合企業も同じように記事を作れば、インターネット上には「同じようなタイトルで、同じようなことが書かれた記事」がどんどん増えていきます。
読む側からすれば、似たような説明を何度も読む必要はありません。当然、検索サービスやAI側も、インターネット上にすでに大量に存在する情報を言い換えただけのコンテンツより、読者にとって本当に役立つ情報を見つけようとします。
だからといって、「もう企業ブログを書いても意味がない」ということではありません。むしろ、記事を簡単に作れるようになった今だからこそ、一つひとつの記事に「読む理由」を作ることが重要になっています。
これからは「何本の記事を書いたか」だけではなく、「なぜ、その記事を自社が発信するのか」を考えることが大切です。
毎月10本の似たような記事を増やすより、自社の経験や考え方がしっかり伝わる一本を作る。そのような視点で、コンテンツづくりそのものを見直してみましょう。
「自社ならどう考えるか」を加える
他社の記事と差をつけようとすると、「誰も知らない情報を書かなければ」と考えてしまうかもしれません。しかし、そこまで難しく考える必要はありません。
例えば、商品の選び方やサービスのメリットを一般論として説明したあとに、「私たちなら、こんなお客様にはこちらをおすすめします」「実際の現場では、ここを重視しています」といった自社なりの考え方を加えるだけでも、記事の価値は変わります。
大切なのは、奇抜なことを言うことではありません。「一般的にはこう言われているけれど、実際にはこういうケースもある」「よく○○を重視されるけれど、私たちは△△の方が大切だと考えている」など、日々の仕事から感じていることを言葉にしてみましょう。
こうした視点は、長年その仕事に携わっている経営者や社員にとっては「当たり前」に感じるため、意外とコンテンツになっていないものです。しかし、お客様にとっては、その考え方こそが会社を比較する材料になることがあります。
一般的な情報を説明するだけで終わらせず、「では、自社ならどう考えるのか」まで書く。それだけでも、その会社が発信する意味のあるコンテンツへ一歩近づきます。
自社にしかない「事例」をもっと使おう
AI時代のコンテンツづくりで、ぜひ積極的に使ってほしいのが「自社の事例」です。AIは一般的な知識や考え方を整理することは得意ですが、皆さんの会社で実際に起きた出来事までは知りません。
事例というと、「大きな成果が出た案件」や「お客様に掲載許可をいただいた導入事例」のようなものを想像するかもしれません。しかし、コンテンツに使える事例はもっと身近にあります。
例えば、「最近こんな相談が増えている」「お客様からよく聞かれる質問がある」「実際にやってみたら意外なところで苦労した」「当初の提案から途中で方針を変えた」といった日常の出来事も、十分に価値のある情報です。
特に、お客様から繰り返し聞かれる質問は、そのまま記事のテーマになる可能性があります。同じことで困っている人が、まだ皆さんの会社を知らないところにもいるかもしれないからです。
「うちには記事にできるような事例がない」のではなく、普段の仕事の中にある出来事を「事例」だと思っていないだけかもしれません。
営業担当者や現場スタッフとの会話、お客様から届いた質問、最近対応した少し変わった案件などをWeb担当者が日頃から集めておく。それだけでも、AIだけでは作れない「自社にしか書けないコンテンツ」の材料が増えていきます。
「誰に読んでほしいか」をもっと絞る
コンテンツを多くの人に読んでもらおうとすると、つい「できるだけ幅広い人に役立つ記事」を作りたくなります。しかし、対象を広げすぎるほど、内容も一般的になりやすくなります。
例えば「採用に困っている中小企業」ではなく、「求人広告へ費用をかけているのに応募が少ない、社員20人くらいの会社」と考えてみる。対象となる人は減りますが、該当する経営者や人事担当者にとっては「これは自分たちのことだ」と感じやすくなります。
「たくさんの人に読まれる記事」より、「届けたい人に、これは自分のための記事だと思ってもらえる記事」を目指してみましょう。
そして、誰に読んでほしいかを決めたら、その人に「読んだ後どうなってほしいのか」まで考えてみます。
自社の課題に気付いてほしいのか、別の関連記事も読んでほしいのか、サービス内容を詳しく見てほしいのか、それとも具体的に相談してほしいのか。ゴールによって、記事の内容や最後に案内するページも変わります。
記事を書く前に「誰に」「何を伝えて」「その後どうしてほしいのか」を決めておく。シンプルなことですが、この順番で考えるだけでも、ただ情報を並べただけの記事から、目的のあるコンテンツへ変わっていきます。
最後に残るのは「誰が書いているのか」
AIを使えば、読みやすい文章や分かりやすい説明は誰でも作りやすくなりました。だからこそ、これからの企業コンテンツでは「何が書いてあるか」と同じくらい、「誰が、どんな経験をもとに書いているのか」が大切になってきます。
例えば、経営者だから話せる会社の考え方、営業担当者だから知っているお客様の悩み、現場スタッフだから分かる失敗しやすいポイントなど、それぞれの立場だからこそ伝えられる情報があります。
もちろん、すべての記事に実名や顔写真を掲載する必要はありません。大切なのは文章を読んだときに、「この会社はこう考えているんだな」「実際にこの仕事をしている人が書いているんだな」と感じてもらえることです。
そのため、AIで文章を整える場合でも、書き手自身の経験や意見まで消してしまわないように注意したいところです。文章として少しくらい個性があっても、その人らしい言葉や具体的な経験が残っている方が、読み手に伝わることもあります。
AIがきれいな文章を書ける時代だからこそ、「この会社だから言えること」「この人だから伝えられること」が、コンテンツの大きな価値になります。
AIは「書かせる」より「一緒に作る」
ここまで読むと、「それなら記事を書くときにAIを使わない方がいいの?」と思われるかもしれません。もちろん、そんなことはありません。むしろWeb担当者の負担を減らすためにも、AIは積極的に活用してよいと私たちは考えています。
ポイントは、AIへ「○○について記事を書いて」とすべてを任せるのではなく、自社が持っている情報を材料として渡すことです。
例えば、「最近お客様からこんな相談があった」「うちでは一般的な方法とは違ってこう提案している」「社長はこの問題についてこう考えている」といった材料を用意し、構成を整理したり、文章として読みやすくしたりする部分をAIに手伝ってもらいます。
タイトル案を考える、話した内容を文章にする、長すぎる文章を短くする、分かりにくい表現を直す、別の視点がないか確認するなど、AIが活躍できる場面はたくさんあります。
「材料は自社から、整理や文章化はAIと一緒に」。この役割分担ができれば、効率化しながら自社らしさのあるコンテンツを作ることができます。
AIに記事を作ってもらうのではなく、Web担当者自身が編集長になり、AIを優秀な編集スタッフとして使う。そんな感覚で付き合ってみると、企業の情報発信はもっと続けやすくなるはずです。
アトラボの考え方|「何を書くか」まで外注しない
企業ブログやコラムを継続するのは大変です。そのため、マーケティング会社や制作会社、ライターなどへ記事制作を依頼すること自体は、決して悪いことではありません。専門家の力を借りることで、Web担当者の負担を減らせる場面もあります。
ただし私たちは、「何を書くか」まで完全に外部へ任せてしまうのは、少しもったいないと考えています。
お客様から最近どんな相談があったのか、営業担当者がどんな変化を感じているのか、現場では何に苦労しているのか、経営者は業界についてどう考えているのか。こうした情報は、社内にいる人だからこそ気付けるものです。
外部の専門家ができるのは、その材料を整理し、「誰に、どう伝えれば分かりやすいか」を一緒に考えることです。アトラボも、単に検索されそうな記事を増やすのではなく、企業の中に眠っている情報や経験、強みを見つけ、それをWeb上で伝わる形にすることを大切にしています。
コンテンツの「材料」は社内にある。その価値を見つけ、整理し、伝わる形へ仕上げるところで専門家の力を借りる。これが、AI時代の中小企業に合ったコンテンツづくりではないでしょうか。
自社で情報発信を続けたいけれど、「何を記事にすればいいのか分からない」「社内にネタはありそうだけれど、うまくコンテンツにできない」という場合には、ぜひアトラボへご相談ください。

まとめ|AI時代だからこそ「自社にしか書けないこと」を
AIの登場によって、企業が記事を作るハードルは大きく下がりました。これまで数時間かかっていた構成づくりや文章作成も、AIを活用すればかなり効率化できます。
しかし、誰でも簡単に記事を作れるようになったからこそ、「たくさん書く」「詳しく説明する」だけでは、他社との差が見えにくくなっています。
そこで大切にしたいのが、自社ならどう考えるのか、実際にどんな事例があったのか、誰に届けたいのか、現場の人は何を感じているのかといった、その会社にしかない情報です。
これから問われるのは「文章を上手に書けるか」ではなく、「その会社が発信する意味のある情報が入っているか」なのかもしれません。
そしてAIは、その価値を奪うものではありません。自社で材料を見つけ、AIと一緒に整理し、読み手へ伝わる形にしていけば、これまで以上に効率よく質の高い情報発信を続けることもできます。
「AIに書かせない」のではなく、「AIだけでは書けない材料を、自社の中から見つける」。そんな視点で、これからのコンテンツづくりを考えてみてはいかがでしょうか。



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