「PC=画面全幅」という幻想|2026年のWeb設計はここが変わる

ホームページ制作の打ち合わせで、「スマホではちゃんと見られますよね?」という確認はよくあります。
一方で、「パソコンでの表示はどうですか?」という話になると、多くの方がこう答えます。

「パソコンなら問題ないですよね?」

ですが今、その前提が少しずつ崩れ始めています。

かつては、デスクトップ型パソコンの大きなモニターに、ブラウザを全画面で広げてWebサイトを見るのが一般的でした。
しかし現在は、ノートパソコンが主流になり、さらにブラウザを左右に分割して使ったり、半分の幅で表示したりしながら、別のタブでAIツールやチャット、スプレッドシートを同時に開く働き方が当たり前になっています。

つまり、「パソコン=横幅いっぱい表示される環境」という前提は、すでに現実とズレ始めているのです。

実際にノートパソコンでブラウザを半分の幅にすると、その表示サイズはタブレットとほぼ同じになります。
にもかかわらず、その幅での見え方まで丁寧に設計されているホームページは、まだ多くありません。

見た目は整っているのに、文字が読みにくい。
レイアウトが中途半端に崩れる。
お問い合わせボタンが目立たない。
料金表が見づらい。

こうした違和感は、派手ではありません。
しかし確実に、「使いづらい」という印象として積み重なっていきます。

2026年のWeb設計で問われるのは、単にスマートフォンで崩れないことではありません。
どんな画面幅で見られても、自然で、ストレスがなく、情報が伝わるかどうかです。

本記事では、「パソコンで見る=大きな画面」という思い込みを一度手放し、これからのホームページ設計で何を見直すべきかを、発注者目線で整理していきます。

なぜ今、「PC=全幅」が崩れているのか

これまで多くの企業サイトは、「パソコンで見るときは横幅いっぱいに表示される」という前提で設計されてきました。
そのため、横に広いレイアウト、大きなキービジュアル、横並びの情報ブロックなどが主流でした。

しかし、今の業務環境を思い浮かべてみてください。

ブラウザは「単体で使うもの」ではなくなった

かつては、Webサイトを開いて資料を読むときは、そのページを全画面で表示するのが一般的でした。
ところが現在はどうでしょうか。

  • 左側にWebサイト、右側にチャットツール
  • 片側に企業サイト、もう片側にAIツール
  • Webページを見ながら、別タブで見積もり作成

このように、ブラウザは「情報を見る窓」ではなく「作業空間の一部」になっているのです。

結果として、パソコンで閲覧していても、実際の表示幅は画面全体の半分、あるいは3分の2程度、というケースが急増しています。

ノートパソコンが主流になった

さらに見逃せないのが、デバイスの変化です。
デスクトップ型の大画面モニターではなく、13〜15インチ程度のノートパソコンで業務を行う人が圧倒的に増えています。

ノートパソコンでブラウザを半分に分割すると、その横幅はタブレットとほぼ同じです。
つまり、「パソコンで見ているのに、実質タブレットサイズ」という状況が日常化しているのです。

「スマホ対応=安心」ではなくなっている

多くの企業は「スマートフォンで崩れなければOK」と考えています。
もちろんスマホ対応は重要です。

しかし今起きているのは、スマホでもなく、従来型の大画面でもない“中間サイズ”の利用増加です。

このサイズでの表示は、デザイン上もっとも中途半端になりやすく、設計が甘いと次のような問題が起こります。

  • 余白が不自然に広がる
  • 画像だけが目立ち、文字が読みづらい
  • CTAボタンが視線の導線から外れる
  • 横並び要素が窮屈になる

派手に崩れないからこそ、見落とされがちです。
しかしユーザーは無意識のうちに「使いにくい」と感じます。

「PC=全幅」という前提が崩れた今、画面幅そのものを前提にした設計思想を見直す必要があるのです。

これまでのレスポンシブ設計の常識

レスポンシブWebデザインは、今や当たり前の技術です。
画面幅に応じてレイアウトが変わる仕組みは、10年以上前から標準的に導入されています。

ただし、その設計思想には“ある前提”がありました。

「PC → タブレット → スマホ」という序列

これまでの一般的な考え方は、次のようなものでした。

  • パソコン:もっとも情報量が多い
  • タブレット:その中間
  • スマートフォン:情報を削ぎ落とす

つまり、「パソコンを基準に設計し、それを小さくしていく」という発想です。

この前提のもとでは、タブレットサイズは「おまけ」的な存在になりがちでした。
大きな問題がなければOK、という扱いです。

ブレイクポイントは“最低限の切り替え”

レスポンシブ設計では、画面幅ごとに切り替えポイント(ブレイクポイント)を設定します。

  • 1200px以上:パソコン用レイアウト
  • 768px〜1199px:タブレット用
  • 767px以下:スマートフォン用

しかし実際には、タブレット用の設計は「PCを少し縦に積み直しただけ」というケースも少なくありません。

「崩れなければOK」という発想が、タブレットサイズの設計を軽視してきたと言っても過言ではないでしょう。

“表示できる”と“使いやすい”は違う

レスポンシブ対応というと、「レイアウトが崩れないこと」が評価軸になりがちです。

しかし本来は、

  • 視線の流れは自然か
  • ボタンは押しやすい位置にあるか
  • 情報は段階的に理解できるか

といった「使いやすさ」や「理解のしやすさ」こそが本質です。

これまでは「スマホ対応している=現代的」という評価で十分だったかもしれません。
しかし、ブラウザの使われ方が変わった今、その常識は見直しのタイミングに来ています。

2026年、重要になるのは「中間幅」

これからのWeb設計で見直すべきポイントは、実は「スマホ」でも「大画面」でもありません。

鍵になるのは“中間幅”の設計です。

中間幅とはどんな状態か?

中間幅とは、いわゆる「タブレットサイズ」に近い表示領域を指します。
ただし、ここで重要なのはデバイスの種類ではありません。

  • ノートPCでウィンドウを半分にしている状態
  • AIツールとWebを並べて表示している状態
  • 大画面モニターでブラウザを小さくしている状態

つまり、「タブレットを使っている」わけではなくても、画面幅としてはタブレット相当というケースが急増しています。

中間幅で起きがちな“違和感”

多くのサイトは、次のような状態になりがちです。

  • PC用レイアウトが無理やり縦に積まれる
  • 余白が不自然に広い、または狭い
  • ボタンが中途半端な位置に配置される
  • 画像とテキストのバランスが崩れる

レイアウトは崩れていない。
でも、なんとなく見づらい。

この「なんとなくの違和感」が、実はユーザー体験を大きく下げています。

“中途半端な幅”は実は最もリアルな利用環境

これまで「中間幅」は例外的な表示環境でした。
しかし2026年の業務環境では、むしろ標準になりつつあります。

ユーザーは常に“最大幅”でサイトを見ているわけではない。

この前提に立つと、

  • 横並びの要素をどこで縦に切り替えるか
  • 余白はどの段階で再設計するか
  • CTAボタンはどの位置が最も視認性が高いか

といった設計の判断基準が変わってきます。

「スマホ対応済み」では、もう不十分

発注時によくある会話に、

「レスポンシブ対応してますよね?」

という確認があります。

もちろんそれは大前提ですが、これからはそれだけでは足りません。

「中間幅で見たときに、ちゃんと伝わるか?」
この視点こそが、2026年のWeb設計に必要な問いになります。

発注者が確認すべきポイント5つ

「レスポンシブ対応しています」という言葉だけでは、これからのWeb設計は判断できません。

2026年のWeb発注で重要なのは、“どの幅でどう見えるか”を具体的に確認することです。

ここでは、制作会社に依頼する際、ぜひ確認していただきたい5つのポイントを整理します。

① ウィンドウ幅を変えた状態でのデモを見せてもらう

完成デザインを確認するとき、多くの方が「最大表示」の状態だけを見ています。
しかし重要なのは、その途中段階です。

  • PC全幅
  • PCを半分にした幅
  • タブレット相当の幅
  • スマホ幅

幅をスライドさせたときにレイアウトが自然に切り替わるかどうかを、実際に確認しましょう。

“崩れていないか”ではなく、“読みやすいか”が判断基準です。

② CTA(行動ボタン)の位置は幅ごとに最適化されているか

お問い合わせボタンや資料請求ボタンが、

  • 中間幅で埋もれていないか
  • スクロールしないと見えない位置に移動していないか
  • 視線導線上にあるか

を確認しましょう。

中間幅では、横並びの要素が縦積みになるため、CTAの視認性が落ちやすい傾向があります。

③ 文字サイズと行間は中間幅でも快適か

PC全幅では問題なく見えていても、中間幅では文字が妙に詰まって見えることがあります。

  • 行間が狭くなりすぎていないか
  • 1行の文字数が長すぎないか
  • 余白が不自然に広がっていないか

「読める」ではなく「読みやすい」かどうかが重要です。

④ 横並びコンテンツの崩れ方は自然か

サービス紹介や実績紹介など、横並びのカード型デザインはよく使われます。

中間幅になると、それらは縦に並び替わります。

そのとき、

  • 順番は適切か
  • 情報の優先順位が保たれているか
  • 余白バランスは崩れていないか

を確認することが重要です。

単に「自動で縦になる」だけでは、UXとしては不十分なケースもあります。

⑤ 「想定ユーザーの使い方」を共有できているか

これが最も重要なポイントです。

制作会社に対して、

  • 想定ユーザーはデスクワーク中か?
  • ノートPCで作業しながら閲覧する可能性は?
  • 社内で複数タブを開きながら比較検討するか?

といった利用シーンを共有できているかどうかが、設計の精度を左右します。

「どの画面幅で見られるか」ではなく、「どんな状況で見られるか」を共有すること。

これが、中間幅時代の発注者に求められる視点です。

「かっこいいデザイン」ほど中間幅で崩れやすい

実はここが、多くの企業が見落としているポイントです。

“デザイン性が高い”サイトほど、中間幅での破綻リスクが高いという現実があります。

横並び・余白重視・大きなビジュアルは美しい。でも…

最近のWebデザインでは、以下のような表現が多く採用されています。

  • 大胆な横並びレイアウト
  • 左右非対称のレイアウト
  • 大きなヒーロー画像
  • 余白をたっぷり使った構成

PC全幅では非常に洗練されて見えます。

しかし中間幅になると、

  • 横並びが不自然に折り返される
  • 画像とテキストのバランスが崩れる
  • 余白が間延びして見える
  • 視線の流れが途切れる

といった問題が起きやすくなります。

「見た目」は保たれても「体験」が崩れる

中間幅で一番怖いのは、“崩れている”ことではありません。

なんとなく読みにくい、なんとなく探しづらい、という“違和感”が生まれることです。

ユーザーは「このサイト、中間幅で微妙だな」とは言いません。

ただ静かに、離脱します。

派手な演出ほど、検証が必要

・スクロールに合わせて動くアニメーション
・横スクロール型のコンテンツ
・重なり合うレイヤーデザイン

こうした演出は魅力的ですが、中間幅では操作性や可読性を損なうことがあります。

特にノートPCでブラウザを半分にして閲覧している場合、

  • スクロール量が増える
  • 視線移動が増える
  • 情報の比較がしにくくなる

といったUXの低下が起きやすくなります。

「デザイン性」と「対応幅」はセットで考える

重要なのは、「デザインを控えめにする」ことではありません。

どの幅でも成立する構造で、デザインを組み立てること。

これが2026年以降のWeb設計の基本です。

「かっこいい」かどうかよりも、「どの幅でも快適かどうか」。

その視点が、これからの発注者に求められています。

今後のWeb設計で求められる考え方

これからのWeb設計において重要なのは、「どのデバイスで見られるか」ではありません。

どんな“使われ方”をされるかを想定して設計することです。

① デバイス基準から「利用シーン基準」へ

これまでは、

  • スマートフォン
  • タブレット
  • デスクトップ

という“端末別”の発想で設計することが主流でした。

しかし今は、

  • ノートPCで画面を半分にして閲覧
  • ブラウザを複数並べて作業
  • AIとWebを行き来しながら比較検討

といった「使い方」が増えています。

つまり重要なのは、

“画面サイズ”ではなく“視認可能エリア”を基準に設計することなのです。

② 余白と情報量の再設計

中間幅では、余白が広すぎると間延びし、狭すぎると圧迫感が生まれます。

そのため、

  • 横並びをどこで縦並びに切り替えるか
  • テキスト量をどう調整するか
  • CTAをどの位置に再配置するか

といった細かな設計が成果を左右します。

「美しさ」ではなく「読みやすさ」を基準に判断する視点が、今後ますます重要になります。

③ 構造が強いサイトは、幅が変わっても崩れない

デザインが崩れるのではなく、「構造が弱い」ことが問題であるケースも多く見られます。

・見出し階層が曖昧
・情報の優先順位が不明確
・CTAの役割が曖昧

こうした状態では、幅が変わると途端に整理されていない印象になります。

どの幅でも意味が通る構造を持っているかどうか。

これが、これからのWeb設計の分水嶺です。

④ 発注者にも求められる「確認視点」

制作会社任せにするのではなく、発注者側も、

  • 画面幅を狭めて確認する
  • ブラウザを分割して閲覧してみる
  • ノートPCで実際の業務環境を再現する

といったチェックを行うことが重要です。

「どの環境で見られるか」ではなく「どんな状況で使われるか」を想像する。

それが、2026年以降のWeb設計における基本姿勢です。

アトラボでは、幅ごとのUX設計まで検証します

ホームページ制作の現場では、「スマートフォンで崩れないか」「横幅いっぱいの画面で美しく見えるか」は必ず確認されます。

しかし、これからのWeb設計で本当に差がつくのは、その“間”です。

アトラボでは、画面幅ごとの見た目だけでなく、体験(UX)まで検証することを重視しています。

① ノートパソコン環境を想定した表示チェック

実際のビジネスシーンでは、ノートパソコンでブラウザを分割表示しながら閲覧されるケースが増えています。

そのためアトラボでは、

  • ブラウザ幅を段階的に縮小して確認
  • 中間幅でのCTAの視認性チェック
  • 表や料金表の読みやすさ確認
  • 横並び要素の崩れ方の検証

といった実運用を想定したテストを行います。

② 「見える」だけでなく「伝わる」かを確認

レイアウトが崩れていなくても、伝わりにくければ意味がありません。

・問い合わせボタンが自然に目に入るか
・スクロール量が過剰になっていないか
・重要な情報が中途半端な位置で切れていないか

“美しさ”ではなく“行動しやすさ”を基準に判断する。

これが、アトラボのUX設計の考え方です。

③ デザイン提案時に「使用シーン」まで共有

単に「このデザインです」とお見せするのではなく、

  • どういう閲覧環境を想定しているか
  • どの幅でどう切り替わる設計か
  • なぜこのCTA配置なのか

を、できるだけ言語化して共有しています。

幅ごとの設計意図を理解していただくことが、最終的な成果につながるからです。

④ 2026年以降のWebは「可変環境」が前提

ブラウザ分割、AIツール併用、ノートPC中心の業務スタイル。

これからのWebサイトは、「固定された大画面」で見られることを前提に設計する時代ではありません。

どの幅でも、どの環境でも、自然に使えること。

それを前提とした設計こそが、これからのスタンダードだと私たちは考えています。

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まとめ|「PC=大画面」という前提を、一度疑ってみる

これまでのホームページ制作では、

・スマートフォンで崩れないこと
・横幅いっぱいで見たときに美しいこと

が、大きな評価基準でした。

しかし2026年の今、閲覧環境は大きく変わっています。

ノートパソコンでブラウザを分割表示しながら閲覧する。
AIツールとWebサイトを行き来する。
複数の資料を比較しながら検討する。

こうした使い方が増える中で、

「PC=画面全幅」という前提は、もはや現実とズレていると言っても過言ではありません。

だからこそ、これからのWeb設計では

  • 中間幅での読みやすさ
  • CTAの視認性
  • 表や実績情報の見やすさ
  • 情報の優先順位の明確さ

といった点が、より重要になります。

それは単なる「表示崩れ」の話ではなく、

どんな環境でも“自然に行動できる体験”を設計できているかという問題です。

もし今、ホームページのリニューアルを検討されているのであれば、ぜひ一度、ノートパソコンでブラウザ幅を半分にして自社サイトを見てみてください。

違和感はありませんか?
読みにくさはありませんか?
お問い合わせボタンは自然に目に入りますか?

そのチェックこそが、2026年以降のWeb設計の第一歩です。

「どの端末か」ではなく「どう使われるか」。
この視点を持つだけで、ホームページの設計思想は大きく変わります。

そしてその変化が、最終的には成果の差につながっていくのです。

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