
少子化が進むなかで、新卒採用の競争はますます激しくなっています。とくに高卒・短大卒・専門卒といった若手層の人材は、地元中小企業にとって“未来を支える主力”ともいえる存在。にもかかわらず、「高校に求人票は出したけど、全然応募がなかった」「職場見学にも来なかった」と悩む企業が年々増えているのが現状です。
2027年春入社を目指す採用活動は、すでに今から動き始めなければ間に合いません。なぜなら、高校生・専門学校生・短大生にとって企業選びの決め手は、“求人票”だけではなく、“企業との接点”にあります。就職活動が本格化する前から、「ここは安心して働けそう」「雰囲気がよさそう」といった印象を持ってもらえるかどうかが大きな分かれ目になるのです。
本記事では、製造業・建設業を中心とした中小企業が、高卒・専門卒・短大卒向けに行うべき採用活動のポイントを解説します。「求人票の提出」や「合同説明会参加」だけでは届かない、“学校との接点づくり”や“見える化された情報発信”が、未来の応募者を引き寄せる鍵になるはずです。
高卒採用のスケジュールをおさらい|2027年卒の流れ
高校生の採用は、大学生と比べてスケジュールが早く、また全国的にルール化された「一斉スタート」がある点が特徴です。これは文部科学省と厚生労働省が定める「高等学校就職問題に関する申し合わせ」によって統一されており、企業側もこの枠組みを正しく理解しておく必要があります。
■ 2027年3月卒業の高校生(2024年度入学)の主な流れ
- 2026年4月〜5月:ハローワークを通じた求人申込開始(事前準備期間)
- 2026年7月上旬:求人票の学校公開(全国一斉)
- 2026年9月5日〜:応募受付・生徒の応募解禁(1人1社制)
- 2026年9月16日〜:企業の選考活動解禁(筆記試験・面接など)
- 2026年10月以降:複数応募が可能に(併願解禁)
高卒採用では、「1人1社制」という独自ルールがあり、9月の応募解禁時点で、1名の学生が応募できるのは1社のみ。そのため、どの企業に応募するかを判断する夏前までに、学校内での認知や信頼を獲得できているかが非常に重要になります。
この仕組みを踏まえれば、今まさに(2025年の冬〜春)、企業として学校や学生との接点づくりを始めるタイミングであることが分かります。直前の求人票提出では手遅れになってしまう可能性が高いため、長期的な視点での採用活動が求められるのです。
まずは“接点”を!学校との関係を築く3つの方法
高卒採用において、求人票を提出する前からの「信頼関係づくり」がカギを握ります。特に工業高校・商業高校・私立高校などでは、進路指導の先生やキャリア担当者との関係性が、採用の成否に直結することも珍しくありません。ここでは、実際に多くの中小企業が取り組んでいる「学校との接点のつくり方」を3つ紹介します。
1. 学校訪問を継続的に行う
年に1度の求人票提出だけでなく、定期的な訪問によって学校側に顔と社名を覚えてもらうことが重要です。たとえば、年始の挨拶や3学期の進路相談シーズン、インターンシップの相談時期など、機会を見つけて継続的に足を運ぶことで、企業としての信頼感が醸成されます。
2. インターンシップや職場見学を積極的に受け入れる
実際に生徒が職場を訪れることで、「どんな会社か」「どんな人が働いているか」「自分が働くイメージが湧くか」といった感覚的な魅力が伝わります。学校側にとっても、生徒に紹介しやすくなるというメリットがあり、実績のある企業には翌年以降の紹介もスムーズになります。
3. 地元イベントや学校行事に協賛・参加する
企業として地域に貢献している姿勢を見せることも、間接的に学校との信頼構築につながります。文化祭や体育祭への協賛、地域の清掃活動や交通安全運動への参加など、小さな取り組みでも継続してアピールすることが、地元高校からの認知や信頼に結びつきます。
採用活動に限らず、「この企業は生徒に安心して紹介できるかどうか」という観点が学校の判断基準です。だからこそ、“まずは知ってもらう・関係を築く”という視点を早い段階から持つことが重要です。
よくある失敗例|「求人票だけ」で終わってしまう企業
高卒採用がうまくいかない企業の多くに共通するのが、「求人票を出すだけ」で終わってしまっているというケースです。求人票はあくまで「入り口」に過ぎず、それだけで応募が集まるのは、知名度の高い企業や過去に実績がある企業に限られます。
求人票は「紙の広告」にすぎない
求人票には勤務条件や仕事内容などの基本情報は書かれていますが、“どんな人たちがいて、どんな社風なのか”“安心して働ける環境か”といった情報は一切伝わりません。そのため、学校側も「紹介しやすいかどうか」を判断できず、結果的に他社を優先してしまうこともあります。
「知らない会社には紹介しづらい」が現実
学校の先生方は、生徒の人生を左右する選択肢として企業を紹介しています。知名度がなく、事前に企業の人と接点もない状態では、なかなか積極的に推薦できません。「求人票だけで判断してもらえる」と考えるのは、企業側の思い込みになってしまうのです。
「紹介ゼロ」もあり得る
毎年求人票を出しているにも関わらず、1人も紹介されない・応募がないというケースは少なくありません。これは求人票の内容ではなく、「信頼関係や接点の有無」による影響が大きいといえます。
だからこそ、求人票に頼るだけでなく、「企業を知ってもらう努力」「安心して紹介してもらえる関係づくり」が欠かせません。
高校生の“心をつかむ”情報発信とは?
高校生は、企業名やブランド力ではなく、「どんな人がいて、どんな仕事をするのか」「どんな毎日が待っているのか」に関心を持っています。つまり、実際に働くイメージが持てるような情報発信こそが、応募意欲につながるカギとなります。
「仕事の内容」を動画や写真で見せる
文章だけでは伝わりにくい作業風景や職場の雰囲気は、短い動画や写真での発信が効果的です。特に製造業や建設業など、手を動かす仕事は「百聞は一見にしかず」。実際の現場を見せることで、安心感とリアリティを届けられます。
「働く人の顔」がわかると安心できる
社長や若手社員のインタビュー、先輩社員の一言メッセージなどを掲載すると、高校生にも「この人たちと働くんだ」とイメージが湧きやすくなります。年齢が近い若手社員の登場は、特に効果的です。
「学校の延長線」にあるような安心感を
高校生にとって、社会に出ることは大きな不安を伴うものです。「初めての就職でも安心して働ける」「教えてもらえる」「わからないことを聞ける雰囲気がある」といったメッセージは、応募を後押しする重要な要素となります。
高校生は、「スペック」や「キャリアアップ」よりも、「人」「雰囲気」「安心感」を重視します。だからこそ、企業紹介の見せ方も、採用ターゲットに合わせて設計することが重要なのです。
進路指導の先生に選ばれる企業になるには
高校生の就職活動において、「どの企業を紹介するか」を決める大きなキーマンは、進路指導の先生です。学生自身が企業を自由に探せるわけではないからこそ、学校側から「推薦したい」と思われる企業になることが重要です。
まずは「信頼関係」が最優先
学校との付き合いは“求人票の郵送だけ”では築けません。事前の訪問、丁寧な自己紹介、卒業生の定着報告など、地道なコミュニケーションの積み重ねが評価されます。先生方は、学生の将来を預ける責任があるからこそ、信頼を最重視します。
「安心して任せられる」と思われる材料を
給与や勤務時間だけでなく、教育体制・フォローアップ制度・休日の取りやすさなど、学生本人が不安に感じやすい点を、企業がどう対応しているかを明確に伝えると、先生からの安心感につながります。
「卒業生の定着率」は何よりの信頼材料
過去にその学校の卒業生を採用している場合は、その後の活躍や在籍状況をフィードバックすることが非常に効果的です。定着率が高く、継続的に雇用が安定している企業は、自然と次年度以降も紹介されやすくなります。
「進路指導の先生に選ばれる企業」になるためには、長期的な目線で信頼を得ていく姿勢が不可欠です。結果として、それが地元高校との“縁”をつなぎ、安定した採用活動へとつながっていきます。
アトラボでは、採用ツールと情報設計を一体で支援します
高卒採用では、求人票やパンフレット、企業紹介動画、ホームページ、SNSなど、さまざまな媒体での情報発信が必要不可欠です。しかし、それぞれをバラバラに制作してしまうと、伝えたいメッセージがぶれてしまったり、学生・先生に届きにくくなったりすることがあります。
アトラボでは、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を一貫して設計したうえで、学校向けの資料・高校生向けの採用特設サイト・進路室で目を引くポスターなど、必要なツールをワンストップで制作します。
たとえば、「学校訪問時に配布する会社案内+パンフレットにQRコードで特設サイトを連動させる」「卒業生インタビューを紙とWebで展開する」など、紙とWeb、対面と非対面をうまく組み合わせて、接点づくりを強化する設計も得意としています。
地元高校や専門学校から「紹介したくなる企業」になるために、まずは伝えるべき内容の整理から一緒にはじめませんか?貴社の採用活動がより効果的に進むよう、アトラボがサポートいたします。

まとめ|“出会い”は準備から。今から始める高卒採用戦略
高卒採用は、他の採用と比べてもスケジュールが明確に決まっている一方で、「学校との関係づくり」「信頼の積み重ね」「学生へのアピールポイントの整理」といった見えない準備が成果を大きく左右します。
特に製造業・建設業・卸売業など、職種の説明やキャリアの見通しを丁寧に伝える必要がある業界では、“伝え方の工夫”が応募者の質と数に直結します。
求人票だけで終わらず、先生・保護者・学生の「目線の違い」に合わせた発信を整えていくことが、2027年春入社の出会いにつながる第一歩です。
アトラボでは、中小企業の現場に寄り添った「今からできる採用準備」をお手伝いしています。
学校との接点づくりに迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。




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