クリニックや歯科医院、介護施設、整骨院、エステサロンなど、女性スタッフが多く活躍する職場では、採用活動においても「柔らかくて親しみやすい」雰囲気づくりが欠かせません。実際、近年では採用特設サイトを設け、丁寧に職場紹介を行う企業も増えてきました。
しかし、いくら見やすく整った採用サイトを用意しても、それが「転職したい」と思ったタイミングで見つけてもらえるとは限りません。検索で探す前の段階、“まだ応募するつもりがない人”との接点を持つことが、今後ますます重要になります。
そこで注目したいのが、InstagramやTikTokといったSNSの活用です。これらのSNSは、通院したことのないクリニックや、地域外のエステサロンなど、リアルな接点のない人に「なんだか素敵そう」と思ってもらうきっかけをつくるのに最適なツールです。
本記事では、医療・介護・美容などの現場で「採用ブランディング」にSNSを活かす方法を、実践的な視点から紹介していきます。今すぐ応募につながらなくても、「いつか働きたい」と思ってもらえる発信が、未来の採用力を育てていきます。
XでもなくFacebookでもない？なぜInstagram・TikTokが効果的なのか
SNSとひと口に言っても、採用活動に活かせるプラットフォームはさまざまです。X（旧Twitter）やFacebookも一定の情報発信力がありますが、「日常的にログインしている若年層」や「職場の雰囲気をビジュアルで感じ取りたい人」に届きやすいのは、やはりInstagramとTikTokです。
たとえば、Instagramでは写真や短尺動画を使って、院内の清潔感やスタッフの笑顔、イベント風景などを視覚的に伝えることができます。ストーリーズやリール機能を活用すれば、堅苦しくない“ちょっとした日常”の様子もカジュアルに発信できます。
TikTokにおいては、短くてテンポの良い動画によって、若年層に「親しみ」や「楽しそう」という印象を与えやすいのが特長です。特に美容業界では、スタッフ同士で流行りの音源や動きを取り入れた動画が人気を集めるケースもあり、「明るくて仲が良い職場」というブランディングにつながっています。
一方で、XやFacebookはテキスト中心の発信が基本で、リーチできる層も比較的年齢が高めです。医療・介護・美容といった業種で「若年層や女性の応募」を増やしたいと考えているのであれば、まずはInstagram・TikTokを活用することで、母集団形成の土台を広げることができるでしょう。
求職者が知りたいのは「仕事内容」より「雰囲気・人柄・働きやすさ」
採用情報や求人票には、つい「仕事内容」や「勤務時間」「給与」などの条件面を丁寧に書こうとしがちです。もちろんこれらは重要な情報ですが、InstagramやTikTokで届けられる本当の価値は、そこではありません。
医療・介護・美容など女性が多く活躍する職場において、求職者が注目するのは、スタッフの人柄や職場の雰囲気、そして「働きやすそうかどうか」といった空気感です。「どんな人と働くの？」「怖そうな先輩はいない？」「子育て中でも続けられる？」…そんな疑問や不安を持ってSNSをのぞいている人が少なくありません。
そのため、日々の投稿では、スタッフ同士の何気ないやりとりや、ランチや休憩中の風景、ちょっとした職場イベントの様子などを発信することが、強い信頼感につながります。リアルな雰囲気を感じてもらえれば、「ここでなら働けるかも」と思ってもらえる可能性がぐっと高まります。
また、「子育てとの両立」「未経験からの成長」「働きやすい制度」なども、実体験を交えて発信すれば、同じ立場の人に響きやすくなります。「求人ページでは伝えきれないリアル」こそが、SNSでの採用ブランディングの鍵なのです。
「いつか働きたい」をつくる、SNSでの情報発信ポイント
InstagramやTikTokといったSNSは、今すぐの「応募」にはつながらなくても、求職者の記憶に残るきっかけをつくるには最適なツールです。とくに女性が多く働く医療・介護・美容系の職場では、「この職場、なんか良さそう」という感覚が「いつか働きたい」という気持ちを育てます。
以下に、フォロワーに好印象を与え、将来の応募につながるための発信ポイントを紹介します。
1.「毎日が見える」定期投稿
忙しくても週1〜2回の投稿を習慣化し、日々のちょっとした出来事や取り組みを紹介しましょう。日常が続いている安心感は、職場への信頼につながります。
2.「働く人」の声や表情を届ける
スタッフの紹介やインタビュー、ちょっとした一言コメントを添えた写真・動画は、「人となり」を伝える最も有効な手段です。顔が見える発信は、働くイメージを膨らませます。
3.「気になる条件」もさりげなく伝える
勤務時間の柔軟さ、託児制度の有無、職場の立地やアクセス、休憩スペースの充実など、生活に関わる情報は非常に重要。堅苦しくなく、「ちょっと紹介」のスタイルで伝えると効果的です。
4.「現場のリアル」をありのままに
飾りすぎず、リアルな声・現場感を伝えることで「無理なく続けられそう」という共感が生まれます。スタッフの表情、雰囲気、ちょっとしたエピソードが、未来の応募を引き寄せます。
5.「共感ワード」を意識する
投稿文では、「#子育てと両立」「#未経験歓迎」「#20代活躍中」「#ブランクOK」など、共感しやすいハッシュタグや表現を工夫することで、フォローや拡散を狙いやすくなります。
これらを意識することで、ただ情報を流すだけでなく、「ファンになってもらう」採用広報が可能になります。
アカウント運用のコツ｜投稿は「運用者の負担」が少ない方法で
SNS運用は「がんばりすぎない」ことが長続きのコツです。採用担当者や広報スタッフに専任のSNS担当者がいない中小規模のクリニックや施設にとって、更新が途絶えることはかえってマイナスの印象を与えることもあります。
そこで大切なのは、「完璧な投稿」を目指すよりも、無理なく継続できる投稿スタイルを見つけること。以下のような工夫が効果的です。
1. 投稿テンプレートを用意する
毎回「今日は何を投稿しよう？」と悩まないために、「月曜はスタッフ紹介」「水曜は院内の出来事」「金曜は求人案内」など、曜日別のテーマを決めておくと投稿がぐっと楽になります。
2. 写真と一言だけでも十分
長文でアピールする必要はありません。例えば「今日は新しい制服が届きました！」のような短いキャプション＋写真1枚でも、職場の雰囲気は伝わります。
3. 撮影・投稿は「ついで」でOK
イベント時やミーティング、ちょっとした休憩時間など、日常業務の延長で撮影・投稿ができるように意識しておくと、特別な時間を割かずに続けられます。
4. 投稿担当者を複数人で分担
1人に運用が集中すると負担が重くなります。複数人で持ち回りにしたり、若手スタッフが自発的に協力できる体制があると、ネタも増え、投稿の鮮度も上がります。
5. 投稿スケジュールをゆるく管理
「週2回を目安にできる範囲で」など、柔軟なルールでスケジュールを組むことも継続のポイント。完璧さより継続性を重視しましょう。
SNSは「習慣」にしてこそ成果が出ます。無理なく、楽しく、自然体で続けられる体制を整えることが、職場の魅力発信につながります。
動画は苦手でもOK！「ストーリー」や「リール」活用のススメ
「動画はハードルが高い…」という声は多くの現場で聞かれます。特に医療・介護・美容といった業種では、忙しい日常業務の中で、編集に時間をかける余裕がないケースも少なくありません。しかし、Instagramの「ストーリー」や「リール」を活用すれば、簡単な動画投稿でも十分に職場の魅力を伝えることができます。
ストーリーは“日常の切り取り”でOK
24時間で消える「ストーリー」は、気軽に・ラフに・ちょっとだけ投稿したい内容に最適です。たとえば…
- 昼休みの休憩中のひとコマ
- 今日の院内BGM
- 仕事終わりのスタッフの様子
このように、日常の中の小さな出来事を切り取ることで、フォロワーに「親しみやすい職場」と感じてもらえます。
リールは短く・自然な動画でOK
リール（Reels）は短尺動画向けの投稿機能で、編集の手間をかけず、スマホで簡単に撮影してそのまま投稿できます。たとえば…
- スタッフが仕事に向かうワンシーン
- 清掃の様子、片付けの様子
- 新しい備品や器具が届いた瞬間
「かっこよく作る」必要はありません。素朴で自然な動画こそ、求職者にリアルな職場の雰囲気を伝えることができます。
動画＝顔出しではない！
「顔出しNG」「患者さんやお客様が写ってはいけない」などの懸念がある場合でも、後ろ姿・手元・声だけといった工夫で十分対応可能です。
また、無料で使える音楽やテキストアニメーションを活用することで、雰囲気のある投稿に仕上げることもできます。
動画は「見てもらえる」チャンスが広がる強力なツール。難しく考えすぎず、まずは1本、気軽に投稿してみることから始めてみましょう。
採用広報におけるSNSの役割を整理しよう
採用活動と聞くと、求人票や採用サイト、合同説明会など「出会いの場」に目が行きがちですが、SNSの役割は「出会う前に、知ってもらう」ことです。つまり、企業や職場の存在を、求職者の記憶に留めておくことがSNS最大の役割なのです。
「認知→興味→応募」までの流れを分解
採用マーケティングでは、求職者の行動を以下のように分解して考えます。
- 認知：企業や職場の名前を目にする
- 興味・共感：働く人や雰囲気に関心を持つ
- 調査：採用サイトや口コミなどで情報収集
- 応募：エントリーフォームや求人サイトから応募
この中で、SNSは特に「認知」から「興味・共感」のフェーズに強い影響力を持ちます。
定期的な発信が「見つけてもらう」きっかけに
InstagramやTikTok、X（旧Twitter）などのSNSは、アルゴリズムによって“興味関心の高いユーザー”に表示されやすくなる設計になっています。つまり、発信を継続することで、これまでつながりのなかった人に届く可能性が高まります。
実際に、
- 「職場の雰囲気が明るそうで、気になって調べた」
- 「以前からアカウントをフォローしていて、転職のタイミングで応募した」
といった、“応募のきっかけがSNSだった”という声も少なくありません。
検索より先に「印象」が作られている
求人検索のタイミングではじめて企業を知る、という流れは減ってきています。今やSNSで偶然流れてきた投稿、誰かが「いいね」した職場アカウントが、最初の接点＝“印象形成の起点”になっているのです。
だからこそ、検索される前から「いい印象」を届けるという意識で、SNSの活用を考えることが求められます。採用活動におけるSNSの役割は、求人広告や説明会とは違う“出会いの準備”だと捉えてみてください。
アトラボでは、SNSと連動した採用導線づくりをお手伝いしています
株式会社アトラボでは、採用特設サイトの企画・制作だけでなく、InstagramやTikTokなどのSNSを活用した採用ブランディングも一貫してサポートしています。職場の魅力や社員の人柄を「日常の発信」で伝え、応募前の接点を自然に増やす戦略が得意です。
特に、医療・福祉・美容業界のように「雰囲気」や「人柄」「働きやすさ」が求職者にとって重要な業種では、SNSが果たす役割は非常に大きくなります。どんなに立派な採用サイトを作っても、求職者の記憶に残らなければ意味がありません。
アトラボでは、以下のような形で導線を設計しています：
- SNSと採用サイトを双方向に連携させ、流入経路を複数確保
- 投稿コンテンツの設計やハッシュタグ戦略も含めて運用支援
- 応募フォームやLINE連携など、応募しやすい導線づくり
- 中途採用・アルバイト採用向けのライトな情報設計も対応
単にSNSアカウントを開設するだけでなく、「誰に・どんな印象を・どのタイミングで届けるか？」という設計視点から、企業ごとの採用戦略に合わせた情報発信をご提案いたします。
「今すぐではないけれど、いつか働いてみたい」
そんな求職者の“心のメモ”に残る採用広報、アトラボにご相談ください。
まとめ｜「見つけてもらう仕掛け」をSNSで作ろう
採用活動は「応募を待つ」だけでは成果につながりません。特に医療・介護・美容業界のように、女性が活躍し、職場の雰囲気や人間関係が重視される現場では、日常的に求職者の目に触れる場を持つことが重要です。
InstagramやTikTokといったSNSを活用すれば、検索される前から「知ってもらう」ことができるだけでなく、「雰囲気がよさそう」「楽しそう」「働きやすそう」といったポジティブな印象を発信できます。
たとえ今すぐ転職を考えていない人でも、「いつか働いてみたい」「応募するときはここがいいかも」と感じてもらえれば、長期的な採用ブランディングとして大きな資産になります。
「認知 → 興味 → 検索 → 応募」という流れを意識し、SNSをその「最初の接点づくりの場」として設計していきましょう。
アトラボでは、SNS運用や採用サイトの連携はもちろん、企業の採用課題に合わせた導線設計をワンストップでご提案しています。
採用広報をもっと効果的にしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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