「営業アシスタント募集」で伝わっていますか?家族経営レベルの小さな不動産会社の採用落とし穴

不動産会社と聞くと、大手チェーンや地域で何店舗も展開している会社をイメージする方もいるかもしれません。しかし実際には、社長と奥様、あるいは親子で経営しているような、ごく小規模な不動産会社も全国に数多く存在します。

そして、そうした会社ほど最近こんなお悩みを抱えています。「そろそろ誰か採用したい」「でも、どんな求人を出せばいいかわからない」というものです。

昔であれば、不動産会社の仕事は「電話対応」「来客対応」「物件案内」「契約書づくり」といったイメージだったかもしれません。しかし今は、ポータルサイトへの物件掲載、自社ホームページの更新、SNSでの情報発信、LINE問い合わせ対応、賃貸管理、オーナー対応など、業務は大きく広がっています。

社員数が少ない会社ほど、一人あたりの業務範囲は広くなり、「何でもできる人」が欲しくなりやすいのが現実です。

その結果、求人票には「営業アシスタント」「不動産管理営業」「ハウスアドバイザー」といった、少し曖昧な職種名が並びます。

しかし、求職者から見ると「結局、何をする仕事なのかよくわからない」という状態になっていることも少なくありません。

本記事では、家族経営レベルの小さな不動産会社だからこそ起こりやすい採用の落とし穴と、求人でまず見直したいポイントを整理していきます。

「営業アシスタント」って、結局何をする仕事?

小規模な不動産会社の求人でよく見かけるのが、「営業アシスタント」という職種名です。他にも「不動産管理営業」「ハウスアドバイザー」「不動産スタッフ」など、少し幅のある表現が使われることもあります。

もちろん、社内ではその言葉で通じているのでしょう。ですが、求職者からすると話は別です。

例えば「営業アシスタント」と書かれていたとして、すぐに仕事内容をイメージできるでしょうか。

電話対応でしょうか。来店対応でしょうか。営業担当の資料づくりでしょうか。それとも物件情報の入力でしょうか。内見案内まで含むのでしょうか。

実際のところ、小さな不動産会社では「全部です」となるケースも少なくありません。

社内では当たり前になっている業務の幅が、外から見るとまったく伝わっていないのです。

これは小規模企業ほど起こりやすい現象です。

なぜなら、役割分担が細かく決まっていないからです。大手不動産会社であれば「賃貸仲介担当」「売買営業」「営業事務」「物件管理」など分かれている仕事も、小さな会社では一人が横断して対応することも珍しくありません。

それ自体は悪いことではありません。むしろ地域密着の小さな不動産会社だからこそ、柔軟で幅広い対応ができる強みでもあります。

問題なのは、それをそのまま求人に持ち込んでしまうことです。

求職者からすると、「いろいろ経験できそう」と感じる前に、「結局何をするのかわからない」「何でもやらされそう」という不安のほうが先に立ちます。

特に未経験者ほど、この傾向は強くなります。不動産業界の仕事のイメージがない人ほど、仕事内容が見えない求人には応募しづらくなるからです。

求人で使っている職種名が社内用語になっていないか、一度見直してみることが重要です。

小さな不動産会社の仕事は、実はかなり面白い

ここまで読むと、「小さな不動産会社の仕事って大変そう」と感じるかもしれません。確かに、一人あたりの担当範囲が広く、マルチタスクになりやすいのは事実です。

ただ、それは裏を返せば単調ではない仕事とも言えます。

大手企業のように役割が細かく分かれている環境では、一つの業務を深く担当する一方で、「全体像」が見えにくいこともあります。

一方、小さな不動産会社では、

  • 物件情報の更新
  • お客様対応
  • 内見案内
  • オーナー様対応
  • 賃貸管理
  • SNSやホームページ更新

など、さまざまな仕事に関わる可能性があります。

地域の不動産ビジネス全体を近い距離で体験できるのは、小さな会社ならではの魅力です。

また、不動産の仕事は単なる「物件案内」ではありません。

お部屋探しは進学や就職、結婚、転勤といった人生の節目ですし、売買や相続、空き家相談などは、もっと大きな人生の転機に関わることもあります。

地域密着の不動産会社ほど、お客様との距離も近くなります。

「あの時のお客様がまた相談に来てくれた」
「親御さんからお子さんの住まい相談をいただいた」

そんな関係性が生まれるのも、この仕事の特徴です。

さらに最近は、WebやSNSに関わる機会も増えています。

ポータルサイトへの掲載だけでなく、自社ホームページの更新やInstagramでの物件紹介、Googleビジネスプロフィールの活用など、小規模不動産会社でもデジタル業務は当たり前になっています。

そのため、「事務だけやりたい」という方には向かないかもしれませんが、いろいろなことに挑戦したい人には、むしろ面白い環境とも言えます。

問題は、この魅力が求人でほとんど伝わっていないことです。

本来は魅力になる“幅広さ”が、伝え方次第で“何でもやらされそう”に見えてしまうのが、小さな不動産会社の採用の難しさなのです。

でも「何でもやって」は危険

小さな不動産会社の現場では、「できれば幅広く対応してほしい」と考えるのは自然なことです。実際、人数が少なければ役割を細かく分けるのは難しく、一人が複数の業務を担当するのが現実でしょう。

ただ、その感覚のまま求人を出してしまうのは危険です。

社内では「いろいろお願いしたい」という感覚でも、求職者から見ると印象はまったく違います。

「何でもやってほしい」=「便利屋募集?」

こう見えてしまうことがあるからです。

企業側の“柔軟にお願いしたい”が、求職者には“業務範囲が不明確”に見えるのは、小規模企業の採用でよくある落とし穴です。

特に未経験者ほど、この不安は大きくなります。

不動産業界の経験がある人なら「このくらいの会社ならそうだよね」と理解できるかもしれません。しかし、異業種からの転職希望者や若い求職者にとっては、「どこまで求められるのか」が見えない仕事は応募しづらいものです。

また、仕事内容が広いこと自体と、説明が曖昧なことは別問題です。

例えば、

「物件情報の更新やお客様対応を中心に、慣れてきたら内見案内やオーナー様対応もお任せします」

と書かれていれば、業務の広がりがあっても理解しやすくなります。

一方で、

「営業アシスタント募集(幅広く活躍できます)」

だけでは、想像の余地が大きすぎます。

同じ仕事内容でも、「伝え方」が違うだけで応募のハードルは大きく変わるのです。

小さな不動産会社の採用で必要なのは、「何でもできる人」を探すことではなく、「どんな仕事から始まるのか」をきちんと伝えることです。

まずやるべきは仕事内容の言語化

小さな不動産会社の採用で最初にやるべきことは、「かっこいい求人票を作ること」でも「採用サイトを作ること」でもありません。まず必要なのは、仕事内容をきちんと言葉にすることです。

家族経営レベルの会社ほど、日々の業務が“当たり前”になっています。

電話が鳴れば出る。来店があれば対応する。ポータルサイトの情報を更新する。空室確認の連絡をする。オーナー様から相談があれば動く。SNSも気になれば更新する。

こうした日常業務は、社内にいると自然すぎて、わざわざ整理しようと思わないものです。

しかし、求職者にはその「当たり前」が見えていません。

採用で重要なのは、社内では当たり前の仕事を、外の人にもわかる言葉に翻訳することです。

例えば、「営業アシスタント」という言葉をそのまま使うのではなく、

  • お部屋探しのお客様対応サポート
  • 物件情報の更新・掲載管理
  • 賃貸管理業務のサポート
  • 来店・電話・LINE問い合わせ対応

のように、実際の仕事内容を具体的に書くだけでも印象は変わります。

さらに、「最初から全部できる必要はありません」と伝えることも大切です。

小さな会社ほど業務範囲は広くなりがちですが、最初からすべてを任せるわけではないはずです。

「まずは物件情報の更新やお客様対応から」
「慣れてきたら内見案内や管理業務も」

というように、仕事のステップが見えるだけで安心感は大きく変わります。

また、不動産会社の仕事は「営業」「事務」といった単純な分類では整理しにくい仕事でもあります。

だからこそ、無理に職種名だけでまとめようとせず、実際にどんな一日になるのか、どんな人と関わるのかまで含めて言語化するほうが伝わります。

小さな不動産会社の採用では、「肩書き」より「仕事内容」のほうがはるかに重要です。

アトラボの考え方

アトラボでは、採用のご相談をいただく際、「まず採用サイトを作りましょう」とは考えていません。

特に今回のような、社員数1〜4名ほどの小さな不動産会社の場合、採用で最初に必要なのはWeb制作よりも、「どんな仕事を、どんな人にお願いしたいのか」を整理することだと考えています。

なぜなら、小さな会社ほど仕事内容が柔軟で、良くも悪くも“人に合わせて仕事が変わる”ことがあるからです。

それ自体は地域密着の強みでもありますが、採用では「よくわからない会社」に見えてしまう原因にもなります。

例えばハローワーク、Indeed、求人媒体、自社ホームページの採用ページ、SNSでの採用発信。どの手段を使うにしても、伝えるべき仕事内容が整理されていなければ、メッセージは曖昧になります。

採用サイト以前に、「採用で何を伝えるか」が整理されているかどうかが重要です。

一方で、小さな不動産会社だからこそ伝えられる魅力もあります。

地域のお客様との距離の近さ、幅広い仕事に関われること、デジタル業務にも関われること、経営者の近くで仕事を覚えられること。こうした魅力は、大手企業にはない価値です。

それをきちんと言葉にできれば、採用は変わります。

アトラボはホームページ制作会社ですが、「採用サイトを作ること」ではなく、「採用で伝えるべき価値を整理すること」からご一緒したいと考えています。

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まとめ

家族経営レベルの小さな不動産会社にとって、「そろそろ誰か採用したい」というタイミングは珍しくありません。業務は増えているのに、人手は足りない。けれど、何という職種で募集すればいいのか、何をお願いしたいのか、自分たちでも整理しきれていない——そんな状況はよくあります。

その結果、「営業アシスタント募集」といった、社内では通じても外には伝わりにくい求人になってしまいます。

しかし求職者が見ているのは、肩書きではありません。「結局、自分は何をする仕事なのか」「自分にもできそうか」という点です。

小さな不動産会社の仕事は、実はかなり面白く、地域とのつながりも強く、幅広い経験ができる魅力的な仕事です。ただ、その魅力が「何でもやってほしい」という曖昧な表現になってしまうと、応募のハードルを上げてしまいます。

大切なのは、まず仕事内容を言葉にすることです。

最初にお願いしたい仕事は何か。慣れたらどこまで広がるのか。どんなお客様と関わるのか。そうした情報を整理するだけでも、求人の伝わり方は大きく変わります。

小さな会社だから採用が難しいのではなく、小さな会社だからこそ「伝え方」で差がつくのかもしれません。

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