
ホームページ制作を進めていると、デザイン提案の段階でこんな言葉をいただくことがあります。
「なんか違うんですよね…」
制作側としては、ヒアリング内容をもとに構成を考え、ターゲットを想定し、導線や情報設計を整理したうえでデザインを作っています。
それでも、この「なんか違う」が出てくることは珍しくありません。
実はこの言葉、デザインの問題ではないことがほとんどです。
少し昔の話ですが、私自身もこんな経験があります。
独立して間もない頃、気合いを入れてトップページのデザインを作り、クライアントにお見せしました。
当時の自分なりに「今っぽいデザイン」を研究して作ったものです。
すると返ってきた言葉はこうでした。
「もっとヤフーみたいに、わかりやすくできませんか?」
「え?あのポータルサイトの?企業ホームページなのに?」
当時の私は、正直そう思いました。
今でこそ笑い話ですが、この経験で学んだことがあります。
人は「見たことがないもの」より、「見慣れているもの」に安心する。
そしてもうひとつ大事なことがあります。
ホームページのデザインに対する評価は、その人が頭の中で想定している「見る人」によって変わるということです。
つまり、制作会社が想定しているユーザー像と、クライアント担当者が想定しているユーザー像が違えば、デザインの評価も変わってしまうのです。
このズレがあると、
- 「なんか違う」
- 「もう少し高級感を」
- 「もっとわかりやすく」
といったやり取りが続き、デザイン検討が長引いてしまいます。
では、このズレをなくすにはどうすればいいのでしょうか。
その答えは意外とシンプルです。
ホームページ制作の最初に、「たった一人」を決めること。
この「最初に想定する一人」が明確になると、デザインも構成も驚くほどスムーズに決まるようになります。
今回は、ホームページ制作でよく起きる「なんか違う」をなくすための考え方として、最初に決めるべき「たった一人」についてお話しします。
なぜホームページ制作では「なんか違う」が起きるのか
ホームページ制作では、デザイン提案の段階で
- 「なんか違う」
- 「イメージと少し違う」
- 「もう少し高級感を出せないか」
といったフィードバックが出ることがあります。
一見するとデザインの問題のように思えますが、実際にはデザインそのものが原因ではないことが多いのです。
多くの場合、原因は「誰を想定しているか」のズレにあります。
制作会社は「見る人」を想定して設計している
ホームページ制作会社は、ヒアリング内容をもとに
- どんな人がサイトを見るのか
- その人は何を知りたいのか
- どんな情報があれば安心できるのか
といったことを考えながら構成やデザインを設計しています。
つまり、制作会社の頭の中には「このサイトを最初に見る人」が存在しています。
クライアント担当者の頭の中にも「想定している人」がいる
一方で、クライアント担当者にも当然ながら
- こういうお客様に見てほしい
- この層に来てほしい
- この人に伝わるサイトにしたい
という想定している顧客像があります。
しかしこの顧客像は、必ずしも制作会社と同じとは限りません。
この「想定している人」のズレが、デザインの評価のズレにつながります。
デザインの評価は「誰を想定するか」で変わる
たとえば、同じデザインでも
- 若い求職者を想定すれば「少し地味」
- 企業の役員を想定すれば「安心感がある」
- 個人のお客様を想定すれば「少し堅い」
と、評価はまったく変わります。
つまり
デザインの良し悪しは「誰を想定しているか」で変わるのです。
社内にはさらに別の「見る人」が存在する
さらにややこしいのは、ホームページは社外のユーザーだけでなく、社内の人も見るという点です。
例えば
- 社長
- 営業担当
- 採用担当
- 現場社員
それぞれが違うお客様を思い浮かべていることも珍しくありません。
その結果、
- 「もっと高級感を」
- 「もっとわかりやすく」
- 「もっと派手に」
といった意見が出てきます。
しかしこれは、デザインの問題というよりも
「誰を想定しているサイトなのか」が整理されていない状態
と言えるでしょう。
この状態のまま制作を進めると、デザインの議論はどうしても「好み」や「感覚」の話になりがちです。
だからこそホームページ制作では、最初に「誰のためのサイトなのか」をはっきりさせておくことが重要になります。
「ターゲット」ではなく「たった一人」を決める理由
ホームページ制作の打ち合わせでは、よく「ターゲット層」という言葉が出てきます。
たとえば
- 30代〜50代の企業担当者
- 子育て世代のご家庭
- 地域の中小企業
といった具合です。
もちろん間違いではありません。
しかし実際のWeb設計では、このような広いターゲット設定だけでは判断基準として弱いことが多いのです。
そこで重要になるのが「最初に想定するたった一人」です。
広いターゲットではデザインが決まらない
例えば「30代〜50代の企業担当者」と言っても、その中にはさまざまな人がいます。
- 初めて問い合わせを検討している担当者
- 他社と比較している担当者
- すでに具体的な見積もりを検討している担当者
この3人では、知りたい情報も安心材料もまったく違います。
つまり
ターゲットが広いままだと、デザインや情報設計の判断基準がぼやけてしまうのです。
そこで「最初にこの人に伝える」というたった一人を決めます。
例えば
- 初めて外注を検討している企業担当者
- 学童を探している共働きの保護者
- 転職を考えて会社の雰囲気を知りたい求職者
このように具体的な一人を想定することで、情報の優先順位やデザインの方向性が整理されます。
もうひとつ存在する「社内の見る人」
ただし、ここでもう一つ忘れてはいけない視点があります。
ホームページは外部のユーザーだけでなく、社内の人も見るということです。
例えば
- 社長
- 営業部長
- 採用担当
- 現場スタッフ
それぞれが「こういうお客様に来てほしい」というイメージを持っています。
これを整理しないまま制作を進めると
- 「もっと高級感を」
- 「もっとわかりやすく」
- 「もっと親しみやすく」
といった意見が出てきて、デザインの方向性が揺れてしまいます。
つまり、ホームページには「社外の見る人」と「社内の見る人」の2つが存在するのです。
まずは「最初に見る一人」を決める
そこで重要になるのが
「最初に誰に見てほしいサイトなのか」を決めることです。
この「最初に想定する一人」が決まると
- どの情報を最初に見せるか
- 写真の雰囲気
- 文章のトーン
- 問い合わせまでの導線
といった判断が一気にクリアになります。
そして社内でも
「このサイトは、この人のために作っている」
という共通認識が生まれるため、デザインの議論が好みではなく目的ベースになります。
「たった一人」を決めることは、デザインを決めるための最もシンプルな方法なのです。
デザインの好み問題はなぜ起きるのか
ホームページ制作でよくあるのが、「デザインの好み」の問題です。
制作会社としては、ターゲットや情報設計を踏まえてデザインを提案しているのですが、
- 「もう少し高級感を出せないか」
- 「もっとシンプルなほうがいい」
- 「この色は好きじゃない」
といったフィードバックが出てくることがあります。
もちろん、こうした意見が出ること自体は珍しいことではありません。
ただし問題なのは、デザインの議論が「目的」ではなく「好み」になってしまうことです。
実はこの「好みの議論」が起きる背景には、もう一つの理由があります。
社内には複数の「見る人」がいる
ホームページは社外のユーザーに向けて作るものですが、
実際には社内でも多くの人が目にします。
例えば
- 社長
- 営業担当
- 採用担当
- 現場スタッフ
それぞれの立場で「こういうお客様に来てほしい」というイメージを持っています。
そのため、同じデザインを見ても
- 「少し堅すぎる」
- 「もっと安心感が欲しい」
- 「若い人には地味では?」
といった意見が出てきます。
これは単なる好みではなく、「想定しているお客様」が違うために起きる現象です。
誰のイメージを基準にするのか
例えば、同じ会社でも
- 社長は「長年付き合いのある企業」を思い浮かべている
- 営業は「新規の問い合わせ」を想定している
- 採用担当は「求職者」を思い浮かべている
といったことがよくあります。
この状態でデザインを検討すると、
「誰の想定しているお客様を基準にするのか」が決まっていない
ため、意見がまとまりにくくなります。
デザインの議論は「好み」ではなく「目的」で決める
ホームページ制作では、
「かっこいいかどうか」
「好きかどうか」
ではなく、
「最初に見る人にとってわかりやすいかどうか」
で判断することが大切です。
そのためにも、最初に決めておくべきなのが
「このホームページは、誰に一番見てほしいのか」
という視点です。
この基準が共有されるだけで、
デザインの議論は驚くほどスムーズになります。
「たった一人」を決めるとデザインは通りやすくなる
ここまでお伝えしてきたように、ホームページ制作で起きる「なんか違う」の多くは、デザインの問題ではありません。
「誰を想定しているのか」が共有されていないこと
これが原因であることがほとんどです。
逆に言えば、制作の初期段階で「最初に想定するたった一人」が明確になっていると、デザインは驚くほどスムーズに決まります。
デザインの判断基準が共有される
例えば
「このサイトは、初めて問い合わせを検討している企業担当者に向けて作る」
と決まっていれば、
- 難しい専門用語は避ける
- サービス内容を整理して見せる
- 信頼感のある写真を使う
といった方向性が自然と決まってきます。
つまり、デザインが「感覚」ではなく「目的」で決まるようになるのです。
社内の議論も整理される
社内でホームページのデザインを確認する際にも、この「たった一人」が大きな役割を果たします。
例えば
- 「社長はもう少し高級感を出したい」
- 「営業はもっとわかりやすくしたい」
- 「採用担当は若い印象にしたい」
といった意見が出たときでも、
「このサイトは、最初にこの人に見てもらうためのサイト」
という基準があれば、議論の軸がぶれません。
好みではなく「誰に伝えるか」で判断できるようになるのです。
制作会社も迷わなくなる
制作会社にとっても、「最初に見る一人」が明確であることは大きな意味があります。
なぜなら、デザインや構成の判断をするときの基準がはっきりするからです。
例えば
- トップページで見せる情報
- 写真の雰囲気
- 色使い
- 問い合わせへの導線
すべてが「この人にとってわかりやすいか」で判断できるようになります。
デザインが通りやすいプロジェクトには、必ずこの「判断基準」が存在します。
「たった一人」がサイト全体を整える
もちろん、実際にはホームページを見る人は一人ではありません。
しかし最初の設計段階では
「まずこの人に伝える」という基準を作ること
がとても重要です。
この「たった一人」が決まると、構成、文章、写真、デザイン、導線など、サイト全体の方向性が自然と揃っていきます。
そして結果として、デザインの承認もスムーズに進むようになります。
実際のホームページ制作ではどう決めるのか
「最初に想定するたった一人が大切」と言われても、実際の制作現場ではどのように決めていけばよいのでしょうか。
特別なマーケティング調査が必要というわけではありません。
多くの場合、すでに社内にはヒントがあります。
重要なのは「実際に来てほしい人」を具体的に言葉にすることです。
① 最初に見てほしい人は誰か
まず整理したいのは「このホームページを最初に見てほしい人」です。
例えば
- 初めて問い合わせを検討している企業担当者
- 学童を探している共働きの保護者
- 会社の雰囲気を知りたい求職者
などです。
「誰でもいい」ではなく「まずこの人」と決めることがポイントです。
② その人は何を知りたいのか
次に考えるのは、その人がホームページを見たときに知りたいことです。
- サービスの内容
- 料金の目安
- 実績や事例
- 会社の信頼性
この視点で整理すると、トップページで伝えるべき情報の優先順位が見えてきます。
③ どんな不安を持っているのか
ホームページを見る人は、多くの場合「何かを判断する前の段階」にいます。
例えば
- この会社に相談して大丈夫だろうか
- 実績はあるのだろうか
- 自分たちに合うサービスなのだろうか
こうした不安を先回りして解消することが、ホームページの役割です。
「知りたいこと」と「不安」を整理すると、サイトの構成が自然と見えてきます。
④ ホームページを見たあと、どう行動してほしいのか
最後に考えるのは、その人にどんな行動を取ってほしいのかです。
- 問い合わせをする
- 資料請求をする
- 採用に応募する
- 会社を訪問する
このゴールが明確になると、問い合わせ導線やページ構成も決まりやすくなります。
最初の整理だけで制作はスムーズになる
ホームページ制作が迷走するケースの多くは、
「誰に、何を伝えるサイトなのか」が整理されないままデザインに入ってしまうこと
が原因です。
しかし制作の初期段階で
- 最初に見てほしい人
- その人が知りたいこと
- その人の不安
- 最終的な行動
を整理しておくだけで、構成もデザインも驚くほど決めやすくなります。
アトラボでは「最初に見る一人」を設計します
アトラボでは、ホームページ制作を「デザインづくり」から始めることはほとんどありません。
まず最初に行うのは、
「このサイトを最初に見る一人は誰なのか?」を整理することです。
企業のホームページは、さまざまな人が訪れます。
既存のお客様、見込み客、求職者、取引先など、見る人は一人ではありません。
しかし制作の初期段階では、
「まずこの人に伝える」という軸を決めることが重要
だと考えています。
ヒアリングで整理するのは「お客様のイメージ」
打ち合わせでは、いきなりデザインの話をすることはありません。
まずはクライアントと一緒に、
- どんなお客様に来てほしいのか
- 実際に問い合わせをしてくるのはどんな人なのか
- その人は何を不安に思っているのか
- どんな情報があれば安心できるのか
といった点を整理していきます。
この「見る人のイメージ」が明確になると、サイトの設計が一気に具体的になります。
デザインの前に「サイトの役割」を決める
ホームページの役割は会社ごとに違います。
- 新規問い合わせを増やすサイト
- 採用応募を増やすサイト
- 会社の信頼性を伝えるサイト
役割が違えば、見せ方も変わります。
だからこそ、アトラボでは
「このサイトは誰に見てほしいのか」「何をしてほしいのか」
を最初に整理します。
社内の認識も揃える
ホームページ制作では、社内の認識が揃っているかどうかも重要です。
社長、営業、採用担当など、それぞれが違うお客様を思い浮かべていると、
- 「もっと高級感を」
- 「もっとわかりやすく」
- 「若い人向けに」
といった意見が出てきて、デザインの方向性が揺れてしまいます。
「最初に見る一人」を共有することで、社内の判断基準も揃いやすくなります。
デザインは「目的」に沿って作る
アトラボでは、デザインを「見た目」だけで考えることはありません。
誰に伝えるのか、何を伝えるのか、どんな行動につなげるのか。
この設計があって初めて、デザインは意味を持ちます。
そのため、制作の最初の段階から「最初に見る一人」を一緒に考え、サイト全体の方向性を設計していきます。

まとめ|ホームページ制作は「たった一人」から始まる
ホームページ制作では、デザイン提案の段階で「なんか違う」というフィードバックが出ることがあります。
しかしその多くは、デザインのクオリティの問題ではありません。
原因の多くは「誰に向けたホームページなのか」が共有されていないことにあります。
ターゲットを広く設定すること自体は間違いではありません。
ただ、実際の制作では
- 誰が最初にこのサイトを見るのか
- その人は何を知りたいのか
- どんな不安を持っているのか
といった視点まで具体的に整理しておくことが大切です。
つまり、最初に想定する「たった一人」を決めること。
この一人が明確になると、
- サイト構成
- 情報の優先順位
- デザインの方向性
- 問い合わせ導線
といったすべての判断基準が揃います。
また社内でのデザイン確認の際にも、「誰に向けたサイトなのか」という共通認識があることで、好みではなく目的で議論ができるようになります。
ホームページは、さまざまな人が訪れるものです。
しかし制作のスタート地点では、
「まずこの人に伝える」という軸を決めることがとても重要です。
もしこれからホームページ制作を検討しているのであれば、ぜひ最初に考えてみてください。
「このサイトは、まず誰に見てほしいのか?」
その「たった一人」が決まるだけで、ホームページ制作は驚くほどスムーズに進むようになります。



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