「そのモチーフ、普通すぎませんか?」と言われたデザイナーが考えたいこと

ホームページ制作の打ち合わせで、デザインの方向性をご提案すると、「少し普通すぎませんか?」「どこかで見たようなモチーフですね」といったご意見をいただくことがあります。

例えば幼稚園であれば子どもや動物、季節の行事。建設会社であれば青空や現場風景。飲食店であれば料理や食材など、その業種を連想させるモチーフはある程度決まっています。

確かに、それだけを見ると「ありきたり」に感じるかもしれません。

しかし、だからといって全く違うモチーフを使えば、魅力的なデザインになるのでしょうか。

実は、デザインのオリジナリティは「何を使うか」よりも、「どう見せるか」で決まることの方が多いのです。

俳句に季語があるように、Webデザインにも「その業種らしさ」を伝えるための共通言語があります。多くの人が瞬時に「幼稚園らしい」「病院らしい」「旅行会社らしい」と感じられるのは、こうしたモチーフが長年使われてきた理由でもあります。

もちろん、他社との差別化は重要です。

しかし、その違いは必ずしもモチーフそのものに求める必要はありません。オリジナルの写真や配色、フォント、レイアウト、余白の取り方など、デザイン全体の組み合わせによって「その会社らしさ」は十分に表現できます。

「ありきたりだから変える」のではなく、「伝わる」を土台にして、そこへ「らしさ」を積み重ねることがWebデザインでは大切です。

今回は、「そのモチーフ、普通すぎませんか?」と言われたときに、デザイナーとしてどのように考えればよいのか、モチーフとオリジナリティの関係について整理してみたいと思います。

なぜ「ありきたり」のモチーフが使われるのか

ホームページのデザインには、その業種を象徴するようなモチーフがあります。

例えば幼稚園であれば子どもや動物、クレヨンや木々。旅行会社なら空や海、地図やスーツケース。建設会社なら青空や現場、ヘルメットや建物などが思い浮かぶでしょう。

こうしたモチーフを見ると、「よくあるデザインだな」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、それらが長年使われ続けているのには理由があります。

ありきたりなのではなく、「誰にでも伝わる」から使われているのです。

モチーフは「業種の共通言語」

ホームページを訪れるユーザーは、数秒で「どんな会社なのか」を判断しています。

そのときに役立つのが、業種を連想させるモチーフです。

例えば、園児たちが楽しそうに遊ぶ写真があれば「幼稚園や保育園かな」と感じますし、大きな工作機械や工場の写真があれば「製造業だろう」と自然に理解できます。

つまり、モチーフは説明を読まなくても業種や雰囲気を伝えてくれる「共通言語」のような役割を果たしているのです。

「らしさ」があるから安心できる

私たちは日常生活の中でも、多くの「らしさ」を無意識に判断しています。

例えば病院のホームページを開いたときに、落ち着いた色合いや清潔感のある写真が並んでいれば安心します。

反対に、奇抜な色使いや業種と結びつかないモチーフばかりが並んでいると、「本当に大丈夫なのだろうか」と違和感を覚えることがあります。

デザインにおける「らしさ」は、ユーザーに安心感を与える大切な要素でもあるのです。

「見たことがある」という感覚は、必ずしもマイナスではありません。むしろ「分かりやすい」「安心できる」という価値につながることがあります。

オリジナリティは「モチーフ」を変えることではない

もちろん、他社との差別化は重要です。

しかし、そのために業種を象徴するモチーフまで無理に外してしまうと、「何の会社なのか分かりにくい」という本末転倒なデザインになってしまうことがあります。

例えば幼稚園なのに子どもの写真が一枚もない。建設会社なのに現場の写真がまったくない。このようなホームページでは、ユーザーが会社の特徴を直感的に理解しにくくなります。

だからこそ、デザインではまず「伝わる」ことを優先し、その上で「その会社らしさ」を加えていくことが大切です。

ありきたりなモチーフは、デザインのゴールではありません。オリジナリティを積み重ねるための「土台」なのです。

その土台があるからこそ、配色や写真、レイアウト、コピーライティングなど、一つひとつの工夫が活きてきます。Webデザインとは、共通言語を活かしながら、その会社だけの個性を表現していく仕事なのです。

「普通」を外すことが正解ではない

「他社と同じようなデザインにはしたくない」という考え方は、ホームページ制作ではとても自然なものです。

しかし、その想いが強くなりすぎると、「業種らしさ」まで捨ててしまうことがあります。

「普通」と言われるものには、多くの人に伝わる理由があります。

「らしさ」は安心感にもつながる

例えば幼稚園のホームページを開いたとき、楽しそうに遊ぶ子どもたちや温かみのあるイラストがあれば、多くの人は「幼稚園らしい」と感じます。

病院なら清潔感、工務店なら施工現場や職人の姿、旅行会社なら風景写真なども同じです。

こうしたモチーフは「よくある」から使われているのではなく、ユーザーが直感的に理解しやすいから使われ続けています。

「違うこと」が目的になってしまう危険性

一方で、「他社とは違うものを」という考え方だけを優先すると、本来伝えるべき情報が伝わりにくくなることがあります。

例えば幼稚園なのに無機質でスタイリッシュな写真ばかりを使ったり、建設会社なのに現場の写真を一切使わなかったりすると、「おしゃれ」には見えても、「何をしている会社なのか」が分かりにくくなってしまう可能性があります。

デザインは見る人を驚かせるためではなく、まずは正しく伝えるためのものです。

「普通」を土台にすると個性が活きる

もちろん、どの会社も同じデザインで良いという意味ではありません。

むしろ、業種を象徴するモチーフという共通の土台があるからこそ、自社ならではの写真や配色、コピーライティング、レイアウトの工夫が際立ちます。

個性とは、「普通」を否定することではなく、「普通」の上に積み重ねることで生まれるものです。

だからこそ私たちは、「ありきたりだから変える」のではなく、「どうすればその会社らしく伝えられるか」という視点を大切にしています。その積み重ねが、他社にはないオリジナリティにつながっていくのです。

モチーフは「語彙」、デザインは「文章」

では、他社と違うデザインはどこで生まれるのでしょうか。

その答えは、「モチーフそのもの」ではありません。

モチーフは「語彙」、デザインは「文章」です。

例えば、「桜」という言葉があります。

俳句や短歌、小説でも「桜」は昔から何度も使われてきた言葉です。しかし、「桜」という単語がありきたりだからといって、すべての作品が同じになるわけではありません。

どんな言葉と組み合わせるのか、どんな順番で並べるのか、どんな情景を描くのか。その違いによって、まったく違う作品が生まれます。

Webデザインもまったく同じです。

例えば幼稚園のホームページなら、「子ども」「動物」「木」「空」「花」といったモチーフは、多くの園で共通しています。

しかし、それらをどう組み合わせるかによって、デザインの印象は大きく変わります。

  • どんな写真を使うのか
  • どんな配色を選ぶのか
  • どんなフォントを組み合わせるのか
  • 余白を広く取るのか
  • イラストをアクセントに使うのか
  • 動きを取り入れるのか

同じ「語彙」を使っていても、「文章」が違えば、まったく別のデザインになるのです。

オリジナリティは、モチーフではなく「組み合わせ方」によって生まれます。

だからこそ、「このモチーフは他社でも使っていますよね」という指摘だけでは、本当に良いデザインになるとは限りません。

むしろ、業種を象徴する共通のモチーフがあるからこそ、その会社ならではの写真やコピー、色使い、レイアウトの工夫が際立ちます。

近年は生成AIでも、業種に合ったモチーフを簡単に提案できるようになりました。

しかし、それらをそのまま並べるだけでは、どこかで見たようなデザインになってしまいます。

一方で、同じモチーフでも、企業の理念やブランドイメージ、ターゲットに合わせて再構成すれば、その会社だけのホームページになります。

デザインとは、「見たことのないモチーフ」を探すことではなく、「見慣れたモチーフを、どう新しく伝えるか」を考える仕事なのです。

だから私たちデザイナーは、新しいモチーフを探し続けるよりも、その会社らしい表現方法を探し続けています。その積み重ねが、結果として「他にはないデザイン」につながっていくのです。

「特徴」はモチーフ以外で作れる

「他社とは違うホームページにしたい。」

これはホームページ制作の打ち合わせで、非常によくいただくご要望です。

もちろん、その考え方はとても大切です。

しかし、「他社と違う=モチーフを変えること」と考えてしまうと、デザインは難しくなってしまいます。

ホームページの個性は、モチーフではなく「表現の積み重ね」で生まれます。

一番のオリジナルは「自社の写真」

例えば幼稚園であれば、園児が遊んでいる様子や先生との触れ合い、運動会や発表会などの写真は、その園だけが持っているオリジナルの素材です。

建設会社なら実際の施工現場、製造業なら工場や製品、飲食店なら料理や店舗の雰囲気なども同じです。

同じ「子どもの写真」でも、同じ「工場の写真」でも、自社で撮影した写真には、その会社ならではの空気感があります。

だからこそ、オリジナル写真は何よりも大きな差別化要素になります。

配色やフォントも「らしさ」を作る

同じモチーフを使っていても、配色が変われば印象は大きく変わります。

明るく元気な印象なのか。

落ち着いて上品な印象なのか。

親しみやすいのか、信頼感を重視するのか。

また、フォントの選び方や文字の大きさ、余白の取り方によっても、ホームページ全体の雰囲気は大きく変化します。

つまり、モチーフは同じでも、「その会社らしさ」は十分に表現できるのです。

レイアウトには「デザイナーの個性」が出る

写真やイラストをどこに配置するのか、どの情報を先に見せるのか。

これはテンプレートだけでは決められない部分です。

ユーザーがどの順番で情報を理解するのかを考えながら構成を組み立てることで、同じ素材でもまったく違うホームページになります。

ここには、デザイナーの経験や設計力が大きく表れます。

「何を使うか」よりも、「どう組み立てるか」がデザインの価値なのです。

だからモチーフを無理に変えなくていい

オリジナリティを求めるあまり、「他では見たことのないモチーフ」を探し始めると、本来伝わるはずだった「業種らしさ」まで失ってしまうことがあります。

それよりも、誰もが理解できるモチーフを土台にしながら、自社ならではの写真や配色、コピー、レイアウトを積み重ねていく方が、結果として印象に残るホームページになります。

本当に特徴的なデザインとは、「見たことのない素材」を使うことではなく、「その会社にしかできない表現」を作ることなのです。

だから私たちは、モチーフ探しに時間をかけるよりも、その会社ならではの魅力をどう表現するかに時間をかけています。その積み重ねこそが、長く愛されるWebデザインにつながると考えています。

アトラボの考え方|「伝わる」を土台に「らしさ」を積み上げる

私たちもホームページ制作の中で、「もっと他社にはないデザインにしたい」「普通ではないデザインにしたい」というご相談をいただくことがあります。

もちろん、その想いはよく分かります。

せっかくホームページを新しく作るのであれば、「どこかで見たことがある」ではなく、「この会社らしい」と感じてもらえるデザインにしたいと思うのは自然なことです。

しかし、そのために最初から「普通ではないこと」を目指すと、本来の目的を見失ってしまうことがあります。

私たちが最初に考えるのは、「他社と違うこと」ではなく、「正しく伝わること」です。

まずは「業種らしさ」を共有する

ホームページは、初めて会社を知る方が訪れることも少なくありません。

だからこそ、最初の数秒で「何をしている会社なのか」が伝わることはとても重要です。

そのため、業種を連想しやすいモチーフや写真、レイアウトを採用することは決して悪いことではありません。

むしろ、「らしさ」があるからこそ、ユーザーは安心してホームページを読み進めることができます。

「らしさ」は会社ごとに違う

一方で、同じ業種でも会社の特徴はまったく同じではありません。

地域密着を強みにしている会社もあれば、技術力を強みにしている会社もあります。

歴史や実績を伝えたい会社もあれば、若いスタッフの活気を見せたい会社もあります。

そうした「その会社ならではの魅力」を表現するために、

  • オリジナル写真
  • コピーライティング
  • 配色
  • フォント
  • レイアウト
  • 余白や動き

などを組み合わせながらデザインを設計していきます。

つまり、「業種らしさ」という共通言語の上に、「会社らしさ」を積み重ねていくという考え方です。

「意外性」は最後に加えるもの

デザインには、見る人を惹きつける「意外性」も大切です。

しかし、その意外性は最初から作るものではありません。

まずはユーザーが安心して理解できる土台を作り、その上で「この会社らしい」と感じる工夫を加えることで、初めて意外性が魅力として伝わります。

土台がないまま個性だけを追求すると、「おしゃれだけど何の会社か分からない」というホームページになってしまうこともあります。

伝わることと、個性を出すこと。この順番を大切にすることが、成果につながるWebデザインだと私たちは考えています。

デザインは「連想ゲーム」の積み重ね

私たちはデザインを考えるとき、「見たことのないもの」を探し続けているわけではありません。

ユーザーが自然に連想できるモチーフや表現を土台にしながら、その会社だけが持っている魅力をどう組み合わせれば伝わるのかを考えています。

それは、俳句で季語を使うことにも少し似ています。

誰もが知っている言葉だからこそ、その使い方によって作品の個性が生まれます。

Webデザインも同じです。

私たちは「ありきたり」を否定するのではなく、「伝わる」という土台の上に、その会社だけの「らしさ」を積み上げることを大切にしています。

その積み重ねが、流行だけに左右されない、長く愛されるホームページにつながると考えています。

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まとめ

Webデザインにおいて、「ありきたり」という言葉は、どこかネガティブな印象を持たれがちです。

しかし、多くの人が共通してイメージできるモチーフには、それだけ長く使われてきた理由があります。

幼稚園らしさ、病院らしさ、建設会社らしさ。その「らしさ」は、ユーザーが安心してホームページを理解するための大切な手がかりでもあります。

「見たことがあるモチーフ」は、デザインの敵ではなく、「伝わる」ための土台なのです。

もちろん、他社との差別化も重要です。

ただし、その違いは必ずしもモチーフそのものを変えることで生まれるわけではありません。

オリジナルの写真や配色、フォント、レイアウト、余白、コピーライティングなど、さまざまな要素を組み合わせることで、「その会社らしさ」は十分に表現できます。

だからこそ、「普通だから変える」のではなく、「普通をどう活かすか」という視点が、デザインではとても大切になります。

オリジナリティとは、「見たことがないもの」を作ることではなく、「見慣れたものを、その会社らしく表現すること」です。

生成AIの普及によって、業種ごとのモチーフやイラスト、レイアウトのアイデアは、以前より簡単に手に入る時代になりました。

だからこそ今後は、「どんなモチーフを使うか」よりも、「それをどう組み合わせ、どんな想いを込めて表現するか」が、より重要になっていくでしょう。

ホームページは、会社の魅力を伝えるためのコミュニケーションツールです。

「ありきたり」を無理に避けるのではなく、「伝わる」を土台にしながら、その会社だけの「らしさ」を積み重ねていくこと。それこそが、長く愛されるWebデザインにつながるのではないでしょうか。

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