
スマートフォンの普及により、今や「レスポンシブ対応」はホームページ制作の大前提。パソコンでもスマホでも見やすくなるように、画面サイズに応じてレイアウトが自動で切り替わる仕組みです。
とはいえ、制作会社とのやりとりの中で、「専門用語がよくわからない」「言われた通りにOKしてしまった」というWeb担当者の声も少なくありません。レスポンシブ対応は、単に“スマホで見れるように”するだけではなく、構造や導線、デザインの設計そのものを見直すことが求められる工程。だからこそ、基本的な用語を理解しておくことが、納得できる発注・制作につながります。
この記事では、レスポンシブWebデザインに関わる用語を「構造」「操作性」「ビジュアル」「モバイル対応」「ナビゲーション設計」などの観点から30個ピックアップし、できるだけわかりやすく解説していきます。これから発注を検討されている方、あるいは社内で制作を進める方も、ぜひ参考にしてみてください。
1. レイアウト・構造に関する用語
レスポンシブWebデザインでは、画面幅に応じてレイアウトが柔軟に変化するため、ページ構造や要素の並び順をどう設計するかが非常に重要です。このセクションでは、Web制作の基本となる「構造」に関する用語を解説します。
01 フレックスボックス
HTML要素を横並び・縦並び・中央寄せなど柔軟にレイアウトできる仕組み。「flex-direction」や「justify-content」などの指定で、レスポンシブ対応がしやすくなります。
02 グリッドレイアウト
複数のカラム(列)で構成されたマス目状のレイアウト。画像一覧や製品紹介など、同じサイズの要素を整列させるときに便利。レスポンシブ対応では、列数を自動で変えるように設定できます。
03 ブレークポイント
画面幅ごとにレイアウトやデザインを切り替える境界線のこと。たとえば「スマホは768px以下」「タブレットは768px〜1024px」など、CSSで指定して画面サイズごとに見え方を調整します。
04 コンテナ
ページ内の要素をまとめて囲う「箱」のような領域。コンテンツの横幅を制限したり、中央揃えにするために使われます。レスポンシブ対応では、画面サイズに応じて「最大幅」を変えることもあります。
05 余白(マージン・パディング)
要素のまわりの「外側の余白(マージン)」と「内側の余白(パディング)」を調整することで、見た目のバランスや読みやすさが変わります。スマホ画面では余白を詰めて情報をコンパクトに見せることも大切です。
2. UI/操作に関する用語
スマホやタブレットなど、指で操作する端末が主流になったことで、ユーザーインターフェース(UI)の考え方も大きく変化しました。このセクションでは、ボタン・メニュー・ナビゲーションといった操作性に関わる用語をまとめています。
06 ハンバーガーメニュー
三本線のアイコンで表現されるメニューの開閉ボタン。スマホ画面などでグローバルナビゲーションをコンパクトに収納する目的で使われ、タップするとメニューが展開されます。
07 トグルボタン
ONとOFFを切り替えるためのボタン。ハンバーガーメニューの開閉や、FAQの表示・非表示など、クリックで「状態が変わる」UIによく使われます。
08 アコーディオン
見出しをタップすると、下にコンテンツがスライド展開されるUI。FAQや詳細説明など、スペースを節約しつつ情報を追加で見せたいときに便利です。
09 スワイプ操作
スマホやタブレットで指を滑らせて左右・上下に移動させる操作。画像のカルーセルや商品一覧の横スクロールなどに使われます。見た目はシンプルでも、意外と重要な動作。
10 ホバー
マウスカーソルを要素に重ねたときの反応。パソコンではボタンが浮き上がる、メニューが展開されるといった演出が使われますが、スマホにはホバーが存在しないため注意が必要です。
11 モーダルウィンドウ
画面の中央に重なるように表示されるポップアップ。お問い合わせフォームや画像の拡大表示などに使われますが、スマホ画面では閉じにくい・使いにくいと感じるユーザーもいるため、慎重に使う必要があります。
3. 表示・ビジュアルに関する用語
レスポンシブデザインでは、限られたスペースに必要な情報を「どう見せるか」が非常に重要です。このセクションでは、画面の見た目や視覚的な演出・効果に関する用語をご紹介します。
12 カルーセル
画像やコンテンツをスライドさせて順に表示する形式。主にトップページのスライダーやお知らせ一覧などに使われます。自動再生やスワイプ操作にも対応可能ですが、情報の見逃しに注意。
13 ファーストビュー
ページを開いたとき、スクロールせずに最初に表示される範囲。ここに表示される情報は、ユーザーの印象を大きく左右するため、最も重要な要素をわかりやすく配置するのが基本です。
14 ビジュアルヒエラルキー
情報の「視覚的な優先順位」を意味します。タイトル、見出し、本文、ボタンのサイズや色の差で、ユーザーに「どこから読んでほしいか」を自然に伝えるためのデザイン技法です。
15 ブレイクポイント
画面サイズに応じてレイアウトを切り替える境目の幅。たとえば「768px以下はスマホ向け」「1024px以上はPC向け」など、CSSで条件を分ける際の基準になります。
16 リキッドレイアウト
画面サイズに応じて幅が“伸び縮み”するレイアウト。画面幅が変わっても要素が自動的にフィットするため、特にスマホ・タブレットに強い設計です。
17 アスペクト比
画像や動画の「縦横の比率」。レスポンシブでは画面サイズに合わせて画像が伸縮しますが、この比率を保つことでレイアウトの崩れを防ぐことができます。
4. モバイル・デバイス対応に関する用語
パソコン以外にも、スマートフォンやタブレットなど多様な端末でWebページが快適に閲覧できるようにするためには、モバイル対応特有の知識や工夫が求められます。このセクションでは、モバイルに関する代表的な用語を解説します。
18 ハンバーガーメニュー
3本線のアイコンで表される、スマホ用ナビゲーションの定番。タップでメニューが開閉される仕組みで、限られた画面スペースを有効活用できます。近年ではPCサイトでも採用されることがあります。
19 タップ領域
ユーザーが指で押すことを前提としたボタンやリンクの「押しやすさ」を考慮した設計。モバイルでは、最低でも40px四方以上を推奨するガイドラインがあり、操作ミスを防ぐための重要な視点です。
20 トグルボタン
オン/オフの切り替えを1つの操作で行えるボタン。ハンバーガーメニューの開閉や、アコーディオンメニューの展開など、状態の変化を視覚的にわかりやすく伝えるUIパーツです。
21 アコーディオン
タップやクリックで、隠れていた内容が開閉されるUI。FAQページなどで「質問をタップすると回答が表示される」といった形式によく使われます。モバイルで情報量を整理するのに便利です。
22 スワイプ
指を滑らせる操作(スライド)によるインタラクション。画像のカルーセルやタブ切り替え、ページ送りなどで多用されます。誤作動を防ぐために操作感の最適化が重要です。
23 モバイルファースト
スマートフォンを最初に設計し、そこからタブレット・PCへ展開する考え方。限られた画面で「必要最小限の情報を、分かりやすく見せる」設計がベースとなるため、情報設計の質も問われます。
5. ナビゲーション・リンクに関する用語
ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるようにするために、ナビゲーション設計はWebサイトの重要な要素です。特にレスポンシブ対応では、デバイスごとの見せ方にも工夫が必要です。
24 グローバルナビゲーション(グロナビ)
すべてのページで共通して表示される主要メニュー。ヘッダーに配置されることが多く、企業サイトでは「会社情報」「サービス」「お問い合わせ」などが並びます。スマホではハンバーガーメニューに収まることも。
25 ローカルナビゲーション(ローカルナビ)
特定のカテゴリや下層ページ内で表示される補助的なメニュー。たとえば「サービス」カテゴリ内で、個別サービスページへのリンクを設けるなど、ユーザーの迷子防止に役立ちます。
26パンくずリスト
現在見ているページの階層を視覚的に表示するためのリンク群。「HOME > サービス > Web制作」といった形で、ユーザーがどの位置にいるかを理解しやすくします。SEOにも有効。
27 アンカーリンク
ページ内の特定の位置にジャンプするリンク。長いページで「この項目へ移動」「一番上に戻る」などの操作に活用されます。スマホユーザーのスクロール負担を減らす工夫として有効です。
28 フッターリンク
ページ最下部にあるナビゲーションエリア。問い合わせ先やSNS、利用規約などを配置することが多く、グローバルナビに入れにくい情報をまとめる役割も果たします。スマホではとくに再訪されやすいエリアです。
6. 開発・運用に関する用語
ホームページのレスポンシブ対応では、見た目だけでなく、実際にどう構築し、どう運用するかも重要です。ここでは、制作の現場でよく使われるキーワードを紹介します。
29 CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
Webサイトの更新や管理を簡単にするためのシステム。WordPressなどが代表例。HTMLなどの専門知識がなくても、ページの追加や編集が可能になります。
30 レスポンシブコーディング
1つのHTMLで、CSSによって画面幅に応じてデザインが切り替わるように構築する技術。PC・タブレット・スマホで同じURLを使えるため、SEOにも有利です。
31 CSSメディアクエリ
画面の幅・高さ・向きなどの条件に応じて、異なるスタイルを適用する仕組み。たとえば「スマホ画面では文字を大きく」「タブレットでは2列表示に」などの設定ができます。
32 レスポンシブテスト
サイトがさまざまなデバイスで正しく表示されるかを確認する検証作業。Googleのモバイルフレンドリーテストなどのツールを使うこともあります。

まとめ|知っているだけで、Web制作の打ち合わせが変わる!
レスポンシブWebデザインは、今や企業ホームページの標準的な設計手法です。しかし、その制作には多くの専門用語が飛び交い、発注者にとっては「よく分からないまま進んでしまう」というケースも少なくありません。
本記事で紹介した30の用語は、制作会社との打ち合わせや発注時に知っておくと安心なキーワードばかりです。すべてを覚える必要はありませんが、「なんとなく聞いたことがある」「言ってる意味がわかる」だけでも、コミュニケーションがスムーズになります。
そして何より、自社のホームページをどう見せたいか・どう使いたいかを言語化できるようになることで、制作の成果も大きく変わってきます。
アトラボでは、専門用語をできるだけかみ砕いてご説明し、目的に合ったレスポンシブ設計をご提案しています。初めてのホームページ制作やリニューアルをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。




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