
BtoB企業のWebサイトにおいて、会社概要や実績紹介はもちろん重要な情報です。ですが、最終的に「この会社に頼もう」と決める後押しになるのは、意外にも「お客様の声」だったりします。それは、どれだけ自社が「実績豊富」「対応力がある」と語っても、第三者によるリアルな評価には敵わないからです。
BtoCであればGoogleクチコミやレビューサイトが信頼の源になりますが、BtoBでは「取引先企業の実例」や「現場の担当者のリアルな言葉」にこそ価値があります。相手企業の判断材料になる“リアルな声”をどう見せるかが、BtoBサイト成功のカギになるのです。
とはいえ、BtoBの場合は「社名を出せない」「顔出しNG」「数字を公開できない」など、情報公開に制約があるのも事実です。だからこそ、「お客様の声」を単なる“おまけコンテンツ”としてではなく、戦略的に設計・デザインすることが、他社との差別化につながります。
本記事では、「お客様の声」がBtoBサイトでなぜ効果的なのか、どのような工夫を加えると信頼を高められるのか、そして制作会社としてどのように設計・表現するべきかを具体的に解説していきます。
「お客様の声」が「BtoBサイト」で重要な理由
BtoBビジネスでは、製品やサービスの価格も導入規模も大きく、最終判断に至るまでの検討期間が長く、慎重な意思決定が求められます。そのため、Webサイト上でどれだけ自社の実績や技術力をアピールしても、発注側は「本当にこの会社で大丈夫か?」という不安を最後まで拭いきれないことも少なくありません。
そんなとき、発注者と同じ立場にある「他社の声」は、非常に強力な“安心材料”になります。自社で語る情報は「主観」に見えてしまう一方、他社から寄せられたコメントには「客観的評価」が含まれているため、説得力がまったく異なります。
また、BtoBでは担当者が複数いるケースも多く、経営層・実務者・購買部門などがそれぞれ異なる視点を持っています。「お客様の声」があれば、それぞれの立場の疑問や不安に、リアルな使用感や対応の丁寧さなどを通じて応えることができます。
さらに、導入事例や実績紹介と組み合わせて掲載することで、「どのような業界・企業規模のクライアントに、どんな成果を提供したのか」が明確になり、共感や信頼の形成につながります。これは営業資料では表現しきれない「肌感覚」や「温度感」を伝える貴重なコンテンツになります。
BtoCとは違う!BtoBサイトでのお客様の声の特徴
「お客様の声」はBtoCでも定番のコンテンツですが、BtoBの場合は“伝えるべき内容”と“表現方法”がまったく異なります。BtoCでは感情的な満足度やサービス体験が重視されますが、BtoBでは合理性や業務改善、導入効果といった“実利”の部分が問われるからです。
たとえば飲食店でのBtoCレビューは「接客が良かった」「料理が美味しかった」といった印象が中心ですが、BtoBの「お客様の声」では「導入前の課題」「選定理由」「導入後の成果」までを明示することが求められます。
また、BtoCの場合はGoogleクチコミやSNSなど第三者プラットフォームに蓄積される声が重視されますが、BtoBでは「自社サイトに掲載されている“公式な声”」の信頼性と網羅性が鍵になります。掲載内容に“裏付け”があるか、どのような企業・立場の人が語っているのかといった情報が、発注者の意思決定に大きく関わります。
さらに、BtoBでは購買や契約の責任が個人ではなく組織にあるため、担当者は「社内に説明できる材料」を必要としています。他社の声が具体的かつ論理的であればあるほど、「うちでも導入できそうだ」と背中を押す判断材料になります。
効果を最大化する「お客様の声」の見せ方5選
1. 事例紹介ページ内で「お客様の声」を掲載する
製品・サービスの導入事例とセットでお客様の声を掲載することで、「課題 → 解決策 → 結果 → 顧客コメント」という流れが生まれ、説得力が増します。
「◯◯株式会社 様の導入事例」として1ページ構成で紹介し、記事下部に担当者コメントを入れると効果的です。
2. トップページや下層ページに“声の抜粋”を掲載
コンテンツボリュームのある事例ページに誘導する前段階として、サイトの主要箇所に抜粋コメントや要約を配置することで関心を引き、詳細ページへの導線に繋げます。
スライダー形式や吹き出し、横並びのカードレイアウトなど、視覚的に印象に残る形が有効です。
3. 業種・用途ごとに分類して掲載する
BtoBの場合、自社と同じような業種やニーズの事例が参考にされやすいため、製造業・医療業界・教育機関・自治体などのカテゴリごとに分類すると効果的です。
「同業他社の成功事例がある」という点が最大の説得材料になります。
4. 動画や写真と組み合わせて臨場感を高める
インタビュー動画や現場写真を交えることで、信ぴょう性が格段にアップします。
「本当にその人が語っている」ことが視覚的に伝わると、信用度が跳ね上がります。
顔出しが難しい場合でも、インタビューフォーマットの構成や現場の風景写真などでカバーできます。
5. 導入前の“不安”に寄り添う構成にする
声の内容を「導入前に迷っていたこと → 導入の決め手 → 導入後の満足点」という流れに整理することで、まだ検討段階にある見込み客にも「自分ごと」として刺さります。
見出しやQ&A形式で構成すると、読みやすさと説得力が両立します。
「出せない」「書けない」場合の工夫と代替案
社名・担当者名を“伏せる”だけでも価値がある
BtoBサイトでは、「取引先の名前は出せない」「担当者の発言を載せるのは難しい」といったケースが多くあります。
その場合でも、社名や名前を出さずに、内容だけ伝えることで十分な訴求効果が期待できます。
たとえば「関東エリアの医療法人」「創業50年の金属加工メーカー」など、業種・規模・エリア・課題内容などの情報だけでも信頼感を補えます。
取引先の“声”ではなく“実績ベースの事実”を語る
声が出せない場合は、「どのようなニーズに応えたか」「どんな成果が出たか」を、事実ベースでストーリーとして伝えることが効果的です。
「工期を1週間短縮できた」「月間の不良率が30%改善した」などの具体的数値や効果があると、読者の信頼を得やすくなります。
スタッフ視点の“納品ストーリー”として展開する
担当スタッフの視点で、「今回の案件ではこのような課題があり、こう解決した」といった形で紹介すれば、顧客名が出せなくても実績紹介や信頼構築に繋がります。
この手法は「スタッフブログ」「製品紹介コラム」などの形でも応用可能です。
イメージ図・アイコン・ピクトを活用した構成
顧客コメントが出せない場合でも、イメージ図やピクトグラムなどを用いて視覚的に「声」や「課題解決の流れ」を伝えることが可能です。
デザインの力で“証言風”に見せることで、読み手に印象を残す演出ができます。
「許諾を取りやすいフォーマット」を制作する
掲載へのハードルが高いと感じる取引先が多い場合は、記入形式で答えてもらえるアンケート型のフォーマットを用意するのも一つの方法です。
「匿名・簡易回答・所要時間5分」などの工夫を凝らすと、協力のハードルが下がり、掲載できる声のストックが増えていきます。
デザイナー・ライター・カメラマンとの連携がカギ
「お客様の声」は“素材”ではなく“コンテンツ”
「お客様の声」は、ただの文章素材ではなく、信頼を生み、共感を引き出す強力なコンテンツです。
そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、取材から文章構成、撮影、そしてデザインまでを一貫して設計することが重要です。
ライターが“深掘り”して本音を引き出す
掲載用の文章は、ただのお礼コメントでは不十分です。
インタビューを通じて、どんな課題があったのか、それにどう対応したのか、そのプロセスまでを引き出すことで、信憑性のある声になります。
プロのライターによる“言語化”は、読者に伝わる力を持ちます。
写真は「人物+背景」で語らせる
特にBtoBサイトでは、代表者や社員の表情だけでなく、「製品」「納品現場」「製造機械」などの背景情報を含めて撮影すると、
よりリアルな雰囲気が伝わります。カメラマンの視点が加わることで、声に“説得力”が生まれます。
デザインで「読みたくなる」構成に
せっかくの良い内容でも、読まれなければ意味がありません。
見出しやアイコン、レイアウトの工夫により、短文でも目に止まる、長文でも読みやすいデザインに仕上げる必要があります。
デザインは、“お客様の声”に命を吹き込む重要な要素です。
アトラボでは、「お客様の声」の活かし方までご提案しています
Webに載せるだけで終わらせない「戦略的コンテンツ」へ
アトラボでは、「お客様の声」を単なる“装飾的要素”として扱うことはありません。
貴社の強みを裏付ける「信頼の証拠」として、どこに・どう配置するかまでを含めて設計します。
見込み客の「知りたい」に応えるコンテンツ設計
たとえば「業種別にまとめる」「課題別に分類する」「対応エリアや規模感を明示する」など、
ユーザーが自分事として読みやすくなる工夫をご提案しています。
ただ読ませるのではなく、“比較検討の材料”として活用される設計が重要です。
求人向けにも活用できる「社外からの評価」
BtoB企業における「お客様の声」は、求職者にとっても魅力的な情報です。
社外の評価を知ることで「この会社は信用されている」と伝わり、応募の後押しになります。
採用コンテンツとの連動も、アトラボではよくあるご提案のひとつです。
取材・撮影・構成・デザインまでワンストップで対応
取材記事の作成や、お客様インタビューの実施が初めてという企業様もご安心ください。
アトラボでは、ヒアリングから記事化、写真撮影、掲載まで一貫して対応いたします。
「誰に・何を伝えるか」を軸にしたコンテンツづくりを、最初から一緒に考えます。

まとめ|「お客様の声」は信頼と成果をつなぐ“最強のコンテンツ”
BtoBサイトにおける「お客様の声」は、単なる評価紹介ではありません。
信頼構築・意思決定支援・営業効率化など、複数の目的を兼ね備えた“キラーコンテンツ”です。
特に製造業や専門性の高いサービス業では、実績と第三者評価の可視化が重要です。
「名前が出せない」「写真が撮れない」といった制約があっても、工夫次第で十分に効果を出すことが可能です。
アトラボでは、企業のWeb担当者様と連携しながら、「お客様の声」をどう活かすかを一緒に考え、設計・制作しています。
“成果につながる声の届け方”を、ぜひ私たちと一緒に設計してみませんか?




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