
ブログを「毎日」更新している企業はそう多くありません。
昨年の今頃「しばらく書いてなかったけど、久々にちょっとやってみるか…」とリスタートを切りましたこのブログ、土日祝や年末年始、夏季休暇を除いた「毎営業日更新」というスタイルで、この1年ブログ運営を続けてきました。
年間を通しておおよそ200本以上、時には1記事で1万字を超えるボリュームにもなったこの積み上げ型のコンテンツ群は、今やアトラボの営業活動や信頼形成における重要な「資産」となっているのかもしれません。
そもそも、なぜ私たちはここまで継続的な発信に力を入れてきたのか。その背景には「営業活動をしないための営業装置を作る」という考え方があります。強いセールストークではなく、問い合わせ前から信頼を得られる状態をつくること。それこそが、限られたリソースの中で最大限の成果を上げるためのWeb戦略であると考えています。
そして、実際にこの1年間の取り組みを通じて「検索からの流入数の変化」「問い合わせの質の変化」「営業現場での説明工数の変化」など、社内でも確かな手応えを感じています。この記事では、そんなアトラボの「積み上げ型」ブログ運営の1年間をふり返りながら、なぜ中小企業にとって継続発信が営業力の強化につながるのかを、具体的にご紹介していきます。
“積み上げ型”ブログ運営とは?|一発逆転ではなく、信頼をつくる戦略
ブログ運営と聞くと、「バズを狙う」「SNSで拡散を狙う」といった派手な成果を期待されることがあります。しかし、アトラボが目指してきたのはそうした一過性のものではありません。この1年私たちが行ってきたのは、検索にじわじわと積み上がっていく“資産型”のブログ運営です。
中小企業にとって、マーケティングや営業のリソースは限られています。そうした中で、「一発逆転」ではなく、「毎回の相談や問い合わせの質を少しずつ高めていく」ことができるコンテンツの積み重ねこそが、長期的に見たときにもっとも効果的な営業戦略だと実感しています。
アトラボが特に重視してきたのは、次の3つの観点です。
- ロングテールキーワードの活用:検索ボリュームは少なくてもニーズが明確なテーマを拾い、着実に検索結果へ表示させる
- 地域性の強いテーマ設定:千葉県や関東近郊の中小企業に向けた具体的な話題・事例で、共感と親近感を得る
- “実務の困りごと”に寄り添う記事内容:経営・営業・採用・業務効率など、現場担当者が直面するリアルな悩みを丁寧に言語化
その中でも特に親和性が高かったのが「営業と顧客管理」というカテゴリです。実務の現場で「これ、いつも説明しているな」「初回打ち合わせの前に伝えておきたいな」と感じるような内容を記事化することで、相談前の信頼形成や、業務理解の下地づくりにつながるケースが増えていきました。
このように、表面的なPV(ページビュー)よりも、“読むことで関係性が進む”記事の蓄積を目指すのが、アトラボの“積み上げ型”ブログ運営の基本スタンスです。
1年間続けて実感した3つの“見える変化”
アトラボでは「毎営業日更新」を約1年間続ける中で、検索順位や流入数といった数字面だけでなく、営業現場や社内の動きにも変化が現れました。ここでは、特に実感の大きかった3つの“見える変化”を紹介します。
(1)検索流入が安定的に上昇

まず大きく変わったのが、検索経由での流入数の増加です。日々の積み上げによって、検索結果に表示される記事数が着実に増えたことで、全体の流入がじわじわと右肩上がりに伸びていきました。
特に伸びが顕著だったのは、「営業」「採用」「Webマーケティング」といった実務に直結するカテゴリです。中でも「営業と顧客管理」は、毎月安定して閲覧されるようになり、検索から入ってサービスページへ遷移する動線も自然に生まれました。
また、ブログの内容に共感してもらえるようになったことで、会社名での検索(指名検索)も増え、「事前に読んでから問い合わせました」という流れが定着しつつあります。
(2)サイト滞在時間と回遊性の向上
次に変化が見られたのは、サイト内でのユーザーの動きです。ブログを読んだあとに別のブログやサービス紹介ページへ移動するユーザーが増え、滞在時間やページビューが向上しました。
また、「これを読んで、自分が何を相談すればいいか明確になった」と言われる機会が増え、問い合わせ時の解像度が高まっています。営業メールや初回面談での“説明コスト”が確実に下がったと実感しています。
(3)問い合わせの質の変化
3つ目の変化は、問い合わせ内容の具体性と精度の向上です。フォームからの問い合わせや営業メールの中で、「◯◯の記事を読みました」「あの内容に共感しました」といった文言が増加。
また、業種や業界も広がり、SaaSベンダー、士業、建設業、製造業などから、より具体的な課題意識を持った問い合わせが来るようになりました。ブログを通じて「アトラボの考え方」が伝わっているため、初回提案の段階で共通理解がすでにあるという状況が生まれています。
このように、“毎営業日更新”は単なる投稿の積み重ねではなく、営業活動そのものを変化させる仕組みとなりました。
継続が生んだ“見えない変化”|営業戦略としての効果
「毎営業日更新」を1年間続けたことで、アクセス数や問い合わせ数といった“数値で見える変化”に加えて、社内外の認識やコミュニケーションの質にも大きな変化がありました。それらは明確な数字には表れにくいものの、営業戦略として確実に効いていると感じています。
“どんな会社なのか”を、記事が代弁してくれる
ブログ記事を読んでいただくことで、アトラボという会社がどんな価値観を持ち、どのように仕事に向き合っているかが自然と伝わるようになりました。
「なぜ外注を使わないのか」「なぜ下請けをしないのか」「なぜ打ち合わせの初期段階から深くヒアリングするのか」──これらの姿勢を、営業担当が毎回説明しなくても、ブログが“事前に伝えてくれている”のです。
「一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる関係構築
読んでいただいた上で問い合わせをしてくれたお客様は、価格や機能ではなく“考え方”に共感してくれているケースが多く、初回の打ち合わせから話が深まりやすくなりました。
特にBtoB領域においては、「自分たちのことをよく理解してくれそう」「この会社と一緒に考えながら進めていけそう」と感じてもらうことが、受注の成否に大きく関わります。ブログはその“信頼形成の助走”として機能しています。
採用面でも“働く会社のリアル”を伝える
ブログの存在は、採用にも好影響をもたらしています。実際に、応募者の多くが「ブログを読んできました」「考え方がしっかりしていると思った」と話してくれるようになり、会社理解が深い状態で面接を迎えることができています。
特に中小企業では、求人票や会社概要だけでは伝わりづらい“企業の姿勢”や“考え方”を、継続的なブログ更新が補完してくれます。
“共通言語”が生まれ、社内外の連携もスムーズに
ブログで発信してきた考え方や用語が社内の会話でも定着し、お客様との打ち合わせでも“共通言語”として機能する場面が増えました。社内の共有資料や営業トークにもブログの表現が引用されるなど、情報の資産化という側面でも効果を実感しています。
このように、“見えないけれど確実に効いている”変化の数々は、単なるブログ更新ではなく、営業戦略や採用戦略を支える基盤として継続してきたからこその成果だと感じています。
アクセスデータから読み解く“積み上げ型”の好循環
毎営業日更新を1年間続けたことで、Search Consoleのデータには明確な“積み上げ”の兆しが現れ始めました。特定のバズに頼らず、着実に評価を得ていく「積み上げ型」運営の好循環が、数字の上でも確認できるようになっています。
クリック数・表示回数ともに安定成長
日々の記事更新を続けるなかで、月ごとのクリック数と表示回数が緩やかな上昇トレンドを描いています。とくに下半期にかけては、特定カテゴリだけでなく全体的に検索結果の露出が増え、安定的な流入の基盤が整いつつあると実感しています。
平均掲載順位の向上 → 流入増加の好循環
特定のキーワード群では、平均掲載順位がじわじわと上昇し、それに伴ってクリック数も増加。評価される記事が増えることで、ドメイン全体の信頼性が高まり、ほかの記事のインデックス速度や表示回数にも好影響を及ぼしています。
この「評価 → 順位上昇 → 流入増 →さらなる評価」の循環構造こそ、積み上げ型運営の真価だといえるでしょう。
“新規記事のインデックス速度”が速くなった
更新初期は、新しい記事が検索結果に表示されるまでに時間がかかる傾向がありましたが、半年を過ぎたあたりから新着記事のインデックス速度が明らかに速くなっています。これは、Googleから“このブログは定期的に質の高い記事を発信している”と評価されたことの表れと考えられます。
カテゴリ間の連携で“ドメイン全体の評価”が上昇
特定の記事が評価されることで、同カテゴリの記事群全体のパフォーマンスが底上げされる傾向も見られました。さらに、「営業と顧客管理」カテゴリが伸びた影響で、「人事・採用」や「Webマーケティング」カテゴリへの回遊も増加。ブログ全体の滞在時間や閲覧ページ数が増え、SEO観点からもプラスに働いています。
このように、数値の裏には“評価の蓄積”があり、その積み重ねがブログ全体の信頼性と可視性を押し上げる結果につながっているのです。
記事制作の裏側|毎営業日更新を続けるために工夫したこと
ブログを毎営業日更新するというのは、想像以上に“地味な重労働”です。ですが、やみくもに書き続けるのではなく、「仕組み化」と「テーマ選定の工夫」によって、1年間止まらずに継続することができました。
カテゴリごとに「書くべきテーマ」を体系化
まず行ったのが、カテゴリごとに「誰に」「どんな困りごとがあって」「どんな情報を求めているか」を棚卸しする作業でした。「Webマーケティング」「営業と顧客管理」「人事と採用戦略」など、弊社の事業領域に即したカテゴリを設定し、それぞれで想定読者のペルソナとニーズを明確にすることで、自然と書くべきテーマが浮かび上がってきました。
“量産しない”ためのテンプレート化
毎営業日更新といっても、記事を“量産”しているわけではありません。1本1本の質を担保するために、記事構成のテンプレートを用意しています。たとえば「導入部→問題提起→実例→解決策→まとめ」という基本構成をベースに、「営業」「人事」などテーマに応じたパターンを複数用意。それに沿って骨子を組むことで、執筆時の迷いが減り、1記事ごとの濃度を保てました。
業種ごとの共通課題を“記事素材”に変換
弊社では、製造業、建設業、不動産業、士業など、幅広いクライアントに対応しています。そのなかで得た“業界特有の困りごと”や“よくある質問”を記事のテーマとして活用。業種ごとの悩みに特化したコンテンツは検索との相性が良く、成果にもつながりやすいと感じています。
ネタ枯れを防ぐ「現場起点」の着想法
ネタ切れを防ぐために、社内で日常的に発生する会話ややりとりを常に記事化のヒントとして蓄積してきました。たとえば、クライアントとのやりとりで感じた“誤解”や“よくあるつまずき”、見積り段階での質問内容、実案件の進行プロセスなど、すべてが貴重なネタです。そうしたリアルな事例は、同じ課題を持つ見込み客の検索ニーズにも合致しやすくなります。
「続けるための運用ルール」を設計
もう一つのポイントは、執筆・校正・公開の一連の作業フローを、無理なくまわせるペースで整備したことです。テンプレートとチェックリストで作業を平準化し、「時間がないからできない」を防ぎました。
こうした仕組みと習慣の積み重ねによって、“更新が目的化しない”ブログ運営を実現できたと考えています。
営業と顧客管理の視点から見た「ブログ運営の価値」
ブログというと「集客のためのツール」として語られることが多いですが、アトラボではむしろ、営業活動や顧客対応の“補助線”としての機能にこそ、大きな価値があると考えています。1年間の運用を通して、その重要性をより実感するようになりました。
“何度も説明していること”を記事化して時間を生み出す
営業活動の中で、毎回口頭で説明していたことを記事にまとめることで、事前に読んでもらえる土台ができました。これにより、初回面談やメールでの説明が効率化し、本質的な部分に時間を使えるようになっています。
準顕在層へのアプローチ|問い合わせ前の接点づくり
すぐには問い合わせに至らない“準顕在層”にも、ブログは効果的に働きます。「こういうことに悩んでいる人向けですよ」という記事をストックしておくことで、潜在ニーズ層が検索経由でアクセスし、数か月後に問い合わせにつながるというケースも少なくなさそうです。
クレーム・ミスマッチの未然防止
ブログを通して、弊社の考え方や得意領域、やらないこと(例:下請けをしない理由)まで伝えておくことで、「頼んでみたけど、思っていたのと違った」というトラブルを防げるようになりました。これは顧客満足度にも直結します。
顧客との“共通言語”を育てるメディアとして
制作やコンサルティングの打ち合わせで、「あの記事に書いてあった件ですね」といった形で、ブログが“共通の土台”になることが増えました。これにより、認識のズレが減り、議論の精度やスピードも向上しています。
営業効率の向上=本業の時間が増える
こうしたさまざまなメリットが積み重なることで、結果的に営業効率が上がり、社内リソースに余白が生まれます。記事が“もうひとりの営業担当”として機能し、長期的には本業の質の向上にもつながるのです。
これからの1年に向けた戦略|何を強化するか?
今後もブログの更新は継続していく予定ですが、カテゴリ別の反応や流入傾向を見ながら、より戦略的な更新方針を検討中です。人事・採用、営業・顧客管理、地域SEOなど、今後の重点領域を見極めた上で、リライトや導線設計の強化も視野に入れています。
また、デザインや表現のブラッシュアップ、記事からサービスへの導線整理、PDFや動画など別フォーマットへの展開など、“ブログという枠を越えた活用”についても現在思案中です。

まとめ|積み重ねが“会社の強み”になる
この1年間、毎営業日のブログ更新を続けてきたことで、アクセスや問い合わせが増えたのはもちろんですが、それ以上に、営業プロセスや顧客対応の「質」が変化したという実感があります。
ブログは単なる集客装置ではなく、信頼形成の装置であり、営業活動そのものを支える“資産”です。派手なバズや即効性はなくても、コツコツ積み上げることで得られる成果は、確実に「会社の強み」となって蓄積されていきます。
限られたリソースでも、1本1本を丁寧に積み上げれば、やがて“顧客の判断材料”や“スタッフの共通言語”になり、結果としてより良い仕事ができる環境が整っていく。それが、私たちがこのブログを続けている理由です。
これからも「より戦略的に」「より体系的に」、このブログを積み上げていきます。




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