
これまで製品を「販売する」ことを中心にビジネスを展開してきた企業でも、最近では「短期間だけ借りたい」「必要なときだけ使いたい」といったニーズに応えるため、レンタルやリースの仕組みを導入するケースが増えています。
たとえば、店舗設備やイベント用機材、建設工具、農業機械など。「購入するまでもないが、必要」というお客様の声に応えることで、これまで取りこぼしていた層を取り込むことが可能になります。
しかし、レンタル事業を始めたからといって、電話やメールでの問い合わせ対応だけでは、商機を逃してしまうかもしれません。最近では、「予約もネットで完結してほしい」という声が圧倒的に増えているからです。
特にBtoCの業態では、「営業時間外でも受付できる」「在庫状況を自分で確認できる」といったWeb予約機能が、“選ばれる理由”になってきています。
本記事では、WordPressを使ったホームページ上に、レンタル・リース予約機能を簡単に追加できるプラグインを3つ厳選してご紹介します。これからレンタル事業に挑戦したい企業のWeb担当者や経営者の方にとって、導入のヒントとなる内容です。
「カート型EC」では対応できない?レンタル予約の難しさとは
オンラインでの予約といえば、ECサイトのような「カート型」の仕組みを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、レンタルやリースのように“商品を一定期間だけ貸し出す”ビジネスの場合、通常のカート型ECでは対応が難しいことがあります。
なぜなら、カート型のECサイトは基本的に「在庫=個数」で管理される仕組みのため、“期間”という要素を管理するのが苦手だからです。たとえば、同じ機材を「9月1日から3日まで」と「9月2日から5日まで」など、日付が重複する予約を防ぐには、別の仕組みが必要になります。
また、予約の際に「カレンダーで空き状況を見て、そこから申し込みたい」というユーザーの期待に応えるには、在庫管理と日付選択が連動した仕組みが求められます。これは、一般的なカート型ECでは標準機能として備わっていないケースがほとんどです。
そのため、レンタルビジネスでは「予約機能に特化したWordPressプラグイン」を活用することで、スムーズな運用と顧客満足度の向上が期待できます。
WordPressサイトに予約機能を加える3つのプラグイン
ここでは、レンタル・リース商品を「日単位」「週単位」「月単位」で予約・管理できる、実用性の高いWordPressプラグインを3つご紹介します。どれも多くの企業に利用されている定番のツールで、日本語対応やカスタマイズ性の点でも安心して導入できるものばかりです。
1. Bookly PRO
直感的な操作と高い拡張性が魅力の予約システム。元々は「サービスの時間予約(美容室・相談・整体など)」を想定したプラグインですが、設定次第でレンタル商品の時間貸し・日貸しにも対応可能です。Googleカレンダー連携、SMS通知、支払い機能(Stripeなど)など、多機能かつ見た目も洗練されているため、BtoC業種に特におすすめです。
2. WooCommerce Bookings
EC機能を備えた「WooCommerce」に予約機能を追加できる拡張プラグイン。販売とレンタルを同時に扱いたい企業に特に向いています。たとえば「この製品は購入もできますが、短期レンタルもOKです」といった形で併用できるため、柔軟な販売戦略を立てられます。WooCommerceとの連携なので、在庫管理やクーポン配布など、ECとしての機能もフル活用できます。
3. WP Simple Booking Calendar
名前の通りとにかくシンプルに予約状況だけを表示したい場合に便利なのがこのプラグイン。カレンダーに「予約済」「空き」のステータスを色分けで表示するだけの構成なので、現場で電話予約を受けながら空き状況だけをWebに表示するような使い方にぴったりです。有料版では複数カレンダーや詳細設定にも対応しているため、小規模なレンタル業に最適です。
どのプラグインを選ぶべき?用途別・業種別に解説
3つのプラグインにはそれぞれ特徴があり、ビジネスの内容や運用スタイルによって向き・不向きがあります。ここでは「用途別」「業種別」に最適なプラグインの選び方を解説します。
■「予約と同時に決済」もしたい → Bookly PRO
予約の段階でクレジットカード決済や前払いを導入したい場合は、Bookly PROが便利です。特に、レンタル期間が短く、気軽にオンラインで完結させたいBtoC業種(例:機材レンタル・レンタカー・アウトドア用品)には最適です。SMS通知やGoogleカレンダーとの連携機能もあるため、予約管理の自動化にも優れています。
■「販売とレンタルを併用したい」 → WooCommerce Bookings
自社製品を「購入」と「レンタル」どちらでも提供したい場合には、WooCommerce Bookingsが最有力候補です。たとえば製造業で部品や製品の試用レンタルを提供してから販売につなげる、といった戦略にも向いています。在庫管理・クーポン・会員管理などECの高度な機能と併用できる点も大きなメリットです。
■「空き状況の表示だけでOK」 → WP Simple Booking Calendar
実際の予約は電話やメールで受けつけるが、ホームページ上では「いつ空いているかだけを見せたい」という業種には、WP Simple Booking Calendarが手軽です。民泊・レンタルスペース・不動産管理などの施設系レンタルに向いており、初期設定も簡単です。1日単位の稼働状況だけをWebで見せるだけでも、信頼感がアップします。
このように、それぞれのプラグインには得意な分野や業種との相性があります。自社の予約スタイルや顧客の期待に応じて、最適なものを選びましょう。
予約フローで差がつく!問い合わせから予約完了までのUX設計
どのプラグインを使うか以上に重要なのが、「予約完了までの流れがどれだけスムーズに設計されているか?」という点です。ユーザー体験(UX)の良し悪しは、予約数や離脱率に直結します。
■ユーザーは「迷う」と離脱する
予約ページでの離脱が多い原因のひとつが、「使いづらさ」や「情報の不足」です。たとえば「予約するにはまず会員登録が必要」「空き状況が見づらい」「料金体系が不明瞭」などは、ユーザーの心理的ハードルを上げ、予約完了までに至らない原因になります。
■理想のUX設計:5ステップで完結
理想的な予約フローは、次のようなシンプルな構成です:
- 商品ページ:レンタル商品やサービス内容を分かりやすく表示
- 空き状況の確認:カレンダーや時間帯の選択画面で即時確認
- 基本情報の入力:名前、連絡先など必要最低限に
- 支払い方法の選択:必要に応じて(例:前払い・現地払い)
- 予約内容の確認&完了:直感的に理解できるUIとサンクスページ
この流れを滞りなく進められる構成にすることで、ストレスなく予約完了まで誘導できます。とくにモバイルユーザーは操作時間が限られているため、より簡潔なUI・導線が求められます。
■「確認メール」「リマインド通知」もUXの一部
予約完了後に送られる「確認メール」や、前日に送る「リマインド通知」も、実はUXの一部です。これらを丁寧に設定しておくことで、キャンセル率の低減や、信頼感の向上につながります。
せっかく導入したWeb予約システムも、UX設計が甘ければ“使われないツール”になってしまいます。導入と同時に、「どう見せるか」「どう誘導するか」の視点で構築していきましょう。
アトラボでは、WordPress予約機能の導入からカスタマイズまで対応可能
「予約機能を入れたいけれど、どこから始めたらいいのかわからない」「プラグインを入れてみたものの、うまく設定できなかった」そんな中小企業・個人事業主の声を、私たちはこれまで数多く聞いてきました。
アトラボでは、WordPressをベースとしたWebサイトへの予約機能の導入支援を一貫して対応可能です。単なるプラグインの設置にとどまらず、業種や運用形態に合わせて、以下のようなカスタマイズにも対応しています。
■ アトラボのサポート内容(一例)
- 商品の種類・予約単位(日・週・月)に応じたプラグイン選定
- 多店舗・複数スタッフなどの条件に応じた予約フロー設計
- スマートフォン対応のUI設計・導線改善
- LINE公式アカウントやGoogleカレンダーとの連携
- リマインドメールの自動送信設定や通知システムの構築
特に、“製造→販売”モデルから“レンタル・リース”モデルへの転換を検討している企業にとっては、予約機能の整備が販路拡大の鍵となる場合もあります。
「今のホームページに予約機能を追加したい」「プラグインを選んで設置までお願いしたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。アトラボでは導入から実運用まで、実際の業務フローに即したかたちでサポートしています。

まとめ
リースやレンタルといったビジネスモデルが拡大する中、「予約のしやすさ」はユーザーに選ばれる大きな要因となっています。せっかく魅力的な商品やサービスを提供していても、予約方法が煩雑だったり、電話やメールでしか受け付けていなかったりすると、機会損失につながってしまうことも。
そんな中小企業や個人事業者にとって、WordPressで予約機能を実装できるプラグインは非常に心強い味方です。今回ご紹介したようなプラグインを活用すれば、日単位・週単位・月単位など柔軟なスケジュール管理や、ユーザー目線のスムーズな予約体験を実現できます。
ただし、プラグイン選びや導入・設定には、一定の知識や経験が必要なことも事実。予約フローやカレンダー連携など、自社の業種や運用に合った最適な構成にするにはプロのサポートが欠かせません。
アトラボでは、レンタル・リースの予約導線設計からWordPressサイトへの導入・カスタマイズまでを一貫して支援しています。「EC以外の予約ってどう作ればいい?」「こんな業種でも対応できる?」といったご相談からでも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。




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