2025年9月11日頃、Google検索をめぐるちょっとした変化が、静かに多くのWeb担当者をざわつかせました。
「三連休明けにパソコンを開いてSearch Consoleを見てみたら、表示回数(インプレッション)がガクンと減ってる…」
そんな声が、中小企業のWeb担当者からも次々と聞こえてきています。
しかも、クリック数や検索順位はあまり変わっていないのに、「平均掲載順位が急に上がっている」という、ちょっと不思議な現象まで。
実はこの変化、SEO対策がうまくいったから…ではなく、Google側の「仕様変更」によって起きたものなのです。
この記事では、Search Consoleをたまに確認している中小企業のWeb担当者の方に向けて、
この“異変”の背景と、Googleがその裏で目指している本当の意図について、わかりやすくご紹介していきます。
数字の変化に惑わされることなく、本当に注視すべきポイントを理解するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
Search Consoleに見られた“異変”とは?
今回の異変に気づいた方の多くが最初に違和感を抱いたのは、「合計表示回数(インプレッション)」が前週と比べて急激に減少していたという点です。
たとえば、いつも1週間で「3,000回程度の表示」があったページが、ある日を境に1,800回まで減っていた。そんなケースも多く見られました。
同時に「平均掲載順位」が1〜2位ほど上がっている、という不自然な“好転”も確認されています。
こうした変化が起きたのは、2025年9月11日前後。このタイミングでGoogle検索の検索結果ページに関する仕様が変更され、これまで表示されていた“情報の量”に変化が生じたのです。
SEOの順位自体や、ページの品質が急に変わったわけではありません。
あくまで、Search Consoleに「表示された」とカウントされる仕組みが変わったことで、数値上の見え方に違いが出たというのが今回の“異変”の正体です。
では、その背景にはどのような変更があったのでしょうか? 次の章で詳しく見ていきましょう。
原因はこれ!「&num=100」が使えなくなったGoogle検索の仕様変更
Search Consoleにおける合計表示回数の激減。その正体は、Google検索結果をスクレイピングしていたツールの“アクセス”がカウントされなくなったことにあります。
これまで、さまざまなSEOツールや企業内の解析スクリプトなどが、Googleの検索結果(SERP)を自動で取得=スクレイピングしていました。
具体的には、Google検索URLの末尾に &num=100
というパラメータを付けることで、1ページに100件の検索結果を一括表示し、それを自動ツールが読み込む…という使われ方が多くされていたのです。
このとき、検索結果に「自社サイト」が含まれていれば、Search Console上では「表示された」とカウントされていました。
つまり、人間ではなくロボット(ツール)による表示も、インプレッションとして記録されていたのです。
しかし2025年9月11日頃、Google側の仕様変更により、このようなスクレイピングによるアクセスが「表示」としてカウントされないように修正されたようです。
これにより、Search Consoleの「合計表示回数」は減少。一方で、順位を決定するロジックには影響がなかったため、「平均掲載順位」はむしろ上昇するといった現象が発生しています。
今回の対応は、スクレイピングを規約で禁止しているGoogleにとっては、当然ともいえるものです。なぜなら、自動化されたツールによって検索結果ページが大量に読み込まれることは、本来の検索体験やサーバー負荷にとって好ましくないからです。
スクレイピングによる“擬似的な表示”が数値に含まれなくなったことで、より「本物のユーザーの行動」に近い数値がSearch Consoleに反映されるようになったと考えるべきでしょう。
どうして表示回数が減るの?表示方法とインプレッションの関係
Search Consoleでカウントされる「表示回数(インプレッション)」とは、ある検索クエリに対して、あなたのWebページが検索結果に表示された回数を指します。
ただし、ここで重要なのが、「人間が見た表示」だけでなく、ツールやボットが読み込んだ表示もカウント対象になっていたという点です。
たとえば、SEO分析ツールや企業内の検索順位チェックプログラムなどが、Google検索を自動的に実行して結果をスクレイピング(情報取得)していた場合でも、検索結果に対象ページが含まれていれば「1表示」としてカウントされていました。
このようなツールは、&num=100
パラメータなどを使って、一度のアクセスで100件以上の結果を一気に取得することが多く、結果として本来のユーザーよりも多くの“表示回数”が記録されていたわけです。
今回、Googleはこうしたスクレイピング行為を検出し、人間以外のアクセスによる表示を「表示回数」としてカウントしないよう仕様変更を行いました。
その結果、表示回数(インプレッション)は減少。一方、順位そのものは変わっていない、あるいは平均順位が改善して見えるという“数値のギャップ”が生まれています。
つまり、今回の異変は「実際に人が見ていない表示」が除外されたことによる、データの正常化と考えるのが妥当です。
決してSEOが悪化したわけでも、Googleから評価を下げられたわけでもありませんので、過度に不安になる必要はありません。
実はGoogleの“正当な対応”。背景にはスクレイピング対策も
「表示回数が急に減った」「インプレッション数が半分になった」——これだけを見ると、不安に感じるのも無理はありません。
しかし、今回の仕様変更は、Googleが本来あるべき検索体験を守るために行った、きわめて“正当な対応”です。
というのも、これまでGoogle検索は一部のツールや業者から、自動で検索結果ページ(SERP)を大量取得=スクレイピングされていたという背景があります。
こうした行為はGoogleの規約上、正式には認められておらず、検索インフラへの負荷や、検索結果の不正使用といったリスクも含んでいました。
さらに言えば、人間が見ていない検索結果でも「表示された」として記録されていたことで、Search Consoleの指標が「実際のユーザー行動とかけ離れてしまう」恐れもあったのです。
今回のGoogleの対応は、そうした状況を是正するもので、本当に人間が見た検索結果のみを「表示回数」としてカウントする方向に仕様を正したと言えます。
結果として、表示回数が減ってしまったように見えるかもしれませんが、それは数値の“ズレ”がなくなり、より信頼性の高いデータになったということでもあります。
したがって、Search Consoleの数字だけを見て焦るのではなく、「実際にクリックされたか?」「CVにつながったか?」といった本質的な指標を見直す機会と捉えるのが賢明です。
中小企業のWeb担当者はどう捉えるべき?
今回のGoogle検索仕様変更によってSearch Consoleの表示回数が減ったとしても、中小企業のWeb担当者がやるべきことが大きく変わるわけではありません。
むしろ、「本当のユーザーに届いているか?」を見直すチャンスです。
これまでは、順位チェックツールやスクレイピングによる“機械的な表示”も含まれていたため、「なんとなく数が多い=好調」と判断してしまいがちでした。
しかし今後は、実際に人の目に触れた“本当の表示回数”だけが記録されるため、より正確な分析が可能になります。
特に、中小企業のWeb担当者にとって重要なのは「表示回数」より「クリック数」や「コンバージョン(問い合わせ・資料請求など)」です。
「順位は高いけど誰もクリックしていない」ページよりも、「順位は10位前後でもちゃんとクリックされて成果が出ている」ページのほうが価値があるのは言うまでもありません。
今後は“クリックされるタイトルや説明文(メタディスクリプション)”の改善や、“ユーザーの検索意図に応える内容”を意識したページ作りに注力することで、数字以上の成果につながる可能性があります。
今回の仕様変更を「数字が下がった」とネガティブに捉えるのではなく、“実態に即した指標で、正しいSEOに取り組める環境が整った”と前向きに考えることが、これからのWeb運用には求められます。
アトラボでは、こうした仕様変更もサポートします
Search Consoleの数値に急な変化があると、「何か間違ったことをしてしまったのでは?」「SEO対策がうまくいっていないのでは?」と不安になる担当者の方も少なくありません。
アトラボでは、こうしたGoogleの仕様変更によって起こる“数字の揺れ”に関しても、丁寧に状況を確認し、的確にリサーチして原因や見解をお伝えするサポートを行っています。
「自社で確認してもよくわからない」「制作会社が何も教えてくれない」そんなときも、気軽にご相談ください。
SEOの専門ツールや複雑な分析に頼らなくても、実態に基づいた改善のヒントを一緒に見つけるお手伝いが可能です。
Search Consoleの見方がわからない、どこを見ればいいかわからないという方にも、現状の数字と変化の理由をわかりやすくご説明いたします。
まとめ
2025年9月中旬のGoogle検索仕様変更により、「Search Consoleでの表示回数が急減した」「平均掲載順位が急に上がった」といった現象が多くのWeb担当者に確認されています。
しかしこれは、スクレイピングツールなど人間が見ていない検索結果の“機械的な表示”が除外されたことによる、自然な変化です。
決してSEOの成果が落ちたわけではなく、むしろ「本当に見られた数」だけが記録される、より精度の高いデータに近づいたと考えるべきでしょう。
Googleの検索結果の表示仕様やカウント方法は、今後もユーザー体験の向上と不正対策の観点から、さまざまに変化していく可能性があります。
また今回の対応は「生成AI各社がGoogle検索結果をスクレイピングすることを防止するためではないか」と複数の業界関係者が推測しているようです。
だからこそ大切なのは、「順位がどうなったか」や「表示回数が何件か」だけを見るのではなく、ユーザーの意図に合った内容を届け、結果としてクリックや問い合わせにつながるWeb運用を続けることです。
“見え方が変わった”だけで、検索の本質——ユーザーに役立つ情報を提供し、信頼を得ること——は何も変わっていません。
数字の変動に一喜一憂せず、これまで通り“中身のある情報発信”を続けていきましょう。


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