採用サイトを見に来る求職者にとって、「どんな人が働いているのか」は非常に大きな関心ごとのひとつです。
職場の雰囲気や、自分がその中でうまくやっていけそうかどうかを判断するために、多くの人がまずチェックするのが「社員紹介」や「先輩インタビュー」のページです。
ところが、いざ自社でそのコンテンツを作ろうとすると、「何を聞いたらいいの？」「どこまで載せていいの？」「本音が引き出せない…」と戸惑う企業も少なくありません。
台本のようなやり取りや、表情のない写真では、本当に伝えたい“雰囲気”や“魅力”が届かないのです。
本記事では、求職者に響く「社員紹介」や「先輩インタビュー」の作り方を、具体的な質問や演出の工夫を交えてご紹介します。
とくに中小企業や地方企業など、知名度が高くない企業ほど、この“社員の言葉と表情”は採用力の要になります。
求職者が「この人たちと働きたい」と思えるような、魅力的な社員紹介コンテンツを一緒に考えていきましょう。
よくある「もったいない社員紹介」の共通点
せっかく時間をかけて撮影・インタビューを行っても、「これはもったいない…」と感じる社員紹介コンテンツは少なくありません。
求職者の知りたいことと、企業が見せたいことがズレていると、残念ながら心には届きません。
・「なんとなくカッコいいけど中身がない」
オシャレなデザインでキャッチーな言葉を並べても、実際の仕事内容や働き方、職場の空気感が伝わってこなければ、印象には残りません。
求職者は表面の言葉よりも、その言葉の背景にある“本音”や“現実”を見ています。
・内容が抽象的で、どの会社でも通じそう
「やりがいがあります」「職場の雰囲気がいいです」「成長できる環境です」といった表現は、一見ポジティブですが、どこの企業でも使われているテンプレートのようにも映ります。
その人自身の体験談や具体的なエピソードがないと、求職者は共感できません。
・写真が証明写真のように硬い
真顔で直立している写真、背景が無機質な室内…これでは「リアルな職場の空気感」や「人となり」がまったく伝わりません。
撮影された本人も緊張していることが多く、結果として“使えない”写真ばかりになってしまうことも。
これらの要素に共通しているのは、「つくり手目線」で用意されたコンテンツになっていることです。
採用サイトは企業のアピールの場であると同時に、求職者が「自分の未来」を想像する場でもあることを忘れてはいけません。
魅力的な「社員紹介」をつくる3つの基本方針
では、求職者に届く魅力的な社員紹介を作るためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。
ここでは、撮影・インタビューの現場で実際に使える3つの基本方針をご紹介します。
1. 事前準備で「話す内容」と「気持ち」を整える
初めて取材を受ける社員さんの多くは、「何を話せばいいのか分からない」「うまく答えられるか不安」と感じています。
そこでおすすめなのが、事前にアンケート用紙を渡し、紙に書き出してもらうことです。
特に「入社を決めたきっかけ」や「入社直後に感じたこと」など、時系列に沿って整理できる質問を中心に設計すると、インタビュー当日にスムーズに話しやすくなります。
さらに撮影スケジュールの最後にインタビューを行うよう配慮することで、現場の雰囲気に慣れてから話してもらえるため、自然な表情や言葉が引き出しやすくなります。
2. 質問は「時系列」で構成する
話の流れを作りやすくするためには、質問は「時系列」に並べるのがポイントです。
- この会社に応募したきっかけは？
- 入社前に不安だったことはありますか？
- 入社して最初に任された仕事は？
- やりがいを感じた出来事は？
- いま、どんな仕事をしていますか？
- これから挑戦してみたいことは？
このような流れで話を聞くことで、社員さん本人も思い出しやすく、読み手である求職者にとってもストーリーとして頭に入りやすくなります。
3. 緊張を和らげる「空気づくり」が鍵
特に緊張しやすい方には、1対1ではなく複数人での座談会形式や、同席者がフォローできる体制も効果的です。
インタビュアーが質問を読み上げるだけでなく、雑談のような雰囲気で会話を進めることで、社員さんも自然体で話しやすくなります。
インタビューは「話してもらう場」ではなく、「気持ちよく話せる場」を用意することが大切です。
具体的にどんな質問をすればいい？
インタビューで最も大切なのは、「その人らしさ」が自然に引き出される質問をすることです。
誰もが答えやすく、それでいて求職者が「知りたい」と思っていることに直結する質問が効果的です。
以下に、社員紹介インタビューで実際に活用されているベーシックな質問例を紹介します。
■ 入社前について
- この会社を知ったきっかけは？
- 応募を決めた理由は何ですか？
- 入社前に不安だったことはありましたか？
■ 入社後のギャップや印象
- 入社して最初に担当した仕事は何ですか？
- 働いてみて、印象に残っている出来事は？
- 「この会社にしてよかった」と思った瞬間は？
■ 今の仕事とやりがい
- 現在どんな業務を担当していますか？
- 仕事のやりがいや面白さを感じるのはどんなとき？
- 大変なことや苦労したことはありますか？どう乗り越えましたか？
■ プライベートやオフタイムについて
- 休日の過ごし方や趣味は？
- 仕事とプライベートのバランスについてどう感じていますか？
■ これからについて
- 今後チャレンジしたいことや目標はありますか？
- これから入社する方にメッセージをお願いします
インタビューではすべての質問に答えてもらう必要はありません。
社員さんの個性やエピソードに合わせて、深掘りしたり順序を変えたりする柔軟さも大切です。
なお、事前にこれらの質問を「紙のアンケート」として配布しておくと、本人の中での整理がしやすく、当日のインタビューもスムーズに進みます。
写真と文章は「セット」で設計する
社員紹介ページは、単なるインタビュー記事ではありません。
読んでもらうだけでなく、「見てもらう」コンテンツとして設計することが重要です。
■ 表情のある写真が“語る”こと
文章だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や人柄は、写真の中に強く表れます。
たとえば、同僚との笑顔のカット、業務中の真剣な表情、手を動かしている瞬間など、日常の延長線上にある「その人らしい一瞬」を捉えた写真は、文章以上に信頼感を生みます。
スチール撮影の際にインタビューも同時に行うことで、自然な会話中の表情や動きが出やすくなり、結果として「使える写真」が増えます。
■ 写真と文章のリンクを意識する
たとえば「入社1年目の頃は…」というエピソードに、入社当初の写真や、若手の先輩と一緒に写っているカットを合わせる。
「いま担当している仕事」について語る場面には、実際の作業中の写真を使用する。
このように写真と文章の内容がリンクしていると、求職者はよりスムーズに内容を理解し、リアリティを感じることができます。
■ 撮影スケジュールにも一工夫を
社員さんが緊張してしまう場合は、撮影やインタビューを1日のスケジュールの最後に組むと、場の雰囲気にも慣れて、柔らかい表情を引き出しやすくなります。
また、1対1でなく、座談会形式やチーム撮影にすることで自然な空気感を演出することも可能です。
「社員紹介」は、写真と文章のどちらが欠けても成立しません。
どちらも連動させて設計することで、より魅力的で伝わるコンテンツになります。
アトラボでは、インタビューとコンテンツ設計の両面から支援します
株式会社アトラボでは、採用サイト制作における「社員紹介コンテンツ」の重要性を深く理解した上で、撮影・インタビュー・構成設計をトータルでご支援しています。
■ インタビューに不慣れな社員さんにも安心の対応
事前のアンケートや話しやすいインタビュー導線の設計など、「気持ちよく話してもらえる場づくり」を大切にしています。
一人では緊張してしまう方には、座談会形式や他の社員との同席インタビューもご提案可能です。
■ 写真と文章の一貫性を意識した撮影ディレクション
スチール撮影とインタビューを並行して行うことで、自然な表情や職場の空気感をリアルに表現できる構成を心がけています。
カメラマンとも連携し、コンテンツとして映える写真を事前に設計・指示した上で撮影します。
■ 採用サイト全体のコンテンツ設計からご相談可能
「社員紹介ページ」単体ではなく、採用サイト全体の構成設計や導線設計もサポート可能です。
コンテンツが求職者にとって「ストーリー」として伝わるよう、戦略的な順序や見せ方をご提案いたします。
「うちの社員、うまく話せないかも…」「どんな質問をすればいいの？」といったご不安にも丁寧に対応いたします。
リアルな言葉で“その人らしさ”を伝える社員紹介を、ぜひ私たちと一緒につくってみませんか？
まとめ｜「その人らしさ」を丁寧にすくい取ることが成功の鍵
採用サイトにおける社員紹介は、ただの「紹介記事」ではありません。
求職者が「この会社で働いたらどうなるんだろう？」とイメージを膨らませるための、最もリアルで信頼性の高いコンテンツです。
しかし、その魅力を最大限に引き出すには、撮影・インタビュー・構成・表現のすべてに工夫が必要です。
社員さんにとっても気持ちよく話せる環境を整え、言葉と表情の両方で「その人らしさ」を丁寧に引き出していくことが成功の鍵となります。
そしてなにより重要なのは、その情報がきちんと“求職者のために”編集され、伝わる形で届けられること。
それができてこそ、社員紹介は企業の魅力を体現する力強いコンテンツになります。
社員一人ひとりの言葉が、次の仲間を呼び寄せる。
そんな採用コンテンツを、これからの採用戦略にぜひ活かしてみてください。
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