中小企業のホームページにとって「お問い合わせ」は、商品・サービスに興味を持ってくれた見込み客との貴重な接点です。ですが、実際には「問い合わせがなかなか来ない」と悩んでいる企業が少なくありません。その背景には、電話や問い合わせフォームといった“従来の窓口”が、利用者にとって意外にハードルの高い存在になってきていることが挙げられます。
「電話するほどではないけど、ちょっと気になる」「フォームに名前や住所まで書くのは抵抗がある」。そんな声に対して、もっと気軽に、もっとフランクにやりとりできる手段として注目されているのが、LINE公式アカウントを使った問い合わせ対応です。
LINEは今や、日本国内でのユーザー数9,500万人を超える、誰もが日常的に使っているコミュニケーションツール。そのLINE上で直接問い合わせができるようになれば、見込み客が“最初の一歩”を踏み出す心理的ハードルはぐっと下がります。
本記事では、LINE公式アカウントを使って中小企業が「問い合わせの敷居を下げる」ための具体的なポイントを解説します。実際の運用ステップや、導入にあたっての注意点、ホームページとの相性なども含めてご紹介します。
なぜ今、問い合わせに「LINE」が選ばれるのか?
1. 圧倒的な普及率と「慣れた使い方」
LINEは、老若男女問わず広く使われているSNSのひとつであり、日本国内では約9,500万人が利用しています。特にBtoCビジネスにおいては、「電話をかけるよりもLINEのほうが気軽」という感覚を持つユーザーが年々増えています。普段から使い慣れているアプリを通じて問い合わせできることが、心理的ハードルを大きく下げるのです。
2. 匿名性の高さと「様子見」しやすさ
LINE公式アカウントの「友だち追加」だけであれば、ユーザーは個人情報を詳しく入力する必要がありません。問い合わせフォームのように、実名や電話番号、住所を入力する手間や抵抗がなく、気軽に「まずは聞いてみる」が可能になります。これは特に、まだ購入や契約の意思が固まっていない層にとって重要な接点となります。
3. 返信のしやすさとタイムラグの少なさ
メールと違って、LINEでは通知がリアルタイムで届きます。そのため、ユーザーとのコミュニケーションもスピーディに行いやすく、返信までのラグが少ないことも特長です。簡単な質問や在庫確認など、「即レス」が求められる場面でも、LINEなら対応可能です。
4. 継続的な接点が持てる
LINEは一度「友だち」になってもらえれば、その後も継続的にメッセージ配信ができるため、単なる「1回きりの問い合わせ」で終わらず、ファン化や再来店・再購入の促進にもつなげやすいツールです。LINEならではのリマインド配信やクーポン送付なども活用できます。
よくある問い合わせ導線のミスマッチ
1. フォームが「聞く気」を削いでしまう
ホームページ上にある「お問い合わせフォーム」が、名前・電話番号・住所・具体的な相談内容など、多くの入力項目を求めてしまうと、それだけでユーザーの手が止まります。まだ検討段階で「ちょっと聞きたいだけ」なのに、まるで契約を前提とした質問のように感じてしまい、離脱の原因に。
2. 電話はハードルが高い
「気になったらお電話ください」と記載していても、特に若い世代では「電話をかけること」自体が心理的ハードルになっているケースも多く見受けられます。営業時間を気にしないといけない、言葉で説明しなければいけない、といった要素が壁になり、結果的にアクションを起こしてもらえないことも。
3. SNSのDMは運用が属人的になりやすい
InstagramやXなどのSNSのDMを問い合わせ窓口として運用している企業もありますが、運用担当者によって返信スピードや対応品質がばらつきやすく、社内で履歴管理もしづらいというデメリットがあります。また、DMではビジネスらしいやりとりが難しいという懸念もあるため、一定の距離感を保ちたいユーザーにとっては不向きな場合もあります。
4. チャットボットは「かゆいところに手が届かない」
自動応答のチャットボットを導入しても、選択肢だけでは本当に知りたいことにたどり着けなかったり、結局は「お問い合わせはこちら」へ誘導されてしまう構造になっていることも。特に少し複雑な相談や、人に聞いてみたいような内容では不満が残りやすく、かえって印象を悪くしてしまうケースもあります。
LINE公式アカウントの導入で得られる3つの効果
1. 問い合わせの「数」が増える
LINEは日本国内での利用率が非常に高く、多くのユーザーにとって最も身近なコミュニケーション手段です。電話やフォームと比べて圧倒的に手軽なため、「ちょっと聞いてみたい」というライトな相談でも気軽に問い合わせができるようになります。その結果、潜在的な見込み客との接点が増え、問い合わせ数の底上げにつながります。
2. 見込み客との「関係」を育てられる
LINE公式アカウントでは、一度友だち追加してもらえれば、その後も定期的なメッセージ配信やクーポン、お知らせなどを通じて継続的な接触が可能です。見込み客がすぐには成約に至らなくても、タイミングを見て再アプローチできるため、長期的な関係構築に適しています。
3. 社内対応の「負担」が減る
LINEからの問い合わせには、テンプレート返信や営業時間外対応の自動メッセージ機能などが利用できるため、担当者の対応コストを抑えることが可能です。また、LINEアプリやPC管理画面で複数人での対応や履歴管理ができるため、属人化を防ぎながら効率的な顧客対応が実現できます。
LINEで問い合わせを受けるには?3つのステップ
1. LINE公式アカウントを開設する
まずは、LINE公式アカウントの開設からスタートです。LINE公式アカウントの開設ページから無料で登録でき、業種や目的に応じてアカウントの基本設定を行います。企業名やロゴ、プロフィールなどをきちんと設定することで、信頼感のあるアカウントに仕上がります。
2. 問い合わせ対応用のメッセージ設計を行う
LINEでは、あらかじめ設定しておける「応答メッセージ」「自動応答」「キーワード応答」などを活用することで、効率よく問い合わせに対応できます。営業時間外には「ただいまの時間は対応できません」といった自動返信を設定しておくと、利用者にも安心感を与えられます。よくある質問に対するテンプレートも用意しておきましょう。
3. ホームページやチラシに「友だち追加」導線を設置する
LINEでの問い合わせを促すには、ユーザーに友だち追加をしてもらう導線が必要です。LINEの「友だち追加」用QRコードやURLを、ホームページ・ブログ・チラシ・名刺などさまざまな接点に設置しましょう。特にホームページには「LINEで相談する」「LINEで問い合わせる」といったボタンを設け、わかりやすく誘導することがポイントです。
よくある質問とその工夫例
LINE公式アカウントを導入すると、問い合わせのハードルが下がる反面、「どんな質問が来るのか分からない」「返信対応が増えて大変そう」といった不安を持つ企業担当者も少なくありません。そこで、実際によくある質問と、それをうまく処理するための工夫をいくつか紹介します。
Q1. 営業時間はいつですか?
このような基本情報は、自動応答メッセージで対応できます。「営業時間:平日9:00〜17:00/土日祝休業」といった情報を、あらかじめ設定しておけば、ユーザーの質問に即座に答えられます。
Q2. 予約はLINEからできますか?
LINE単体では予約システムがないため、外部予約ツールとの連携が有効です。たとえば「freee予約」や「STORES予約」などの予約ページURLを自動応答に組み込み、「こちらのリンクからご予約ください」と誘導するだけで、手間なく予約を受け付けられます。
Q3. 資料をもらえますか?
LINEではPDFや画像などのファイルも送信できるため、あらかじめ資料を用意しておき、個別に配信する対応が可能です。また、事前にURLで案内してダウンロードさせる形式も便利です。
Q4. 相談したいのですが、電話でもいいですか?
電話への切り替えを希望する方には、「ご都合のよい時間を教えてください」と一度LINE上でヒアリングしてから架電することで、スムーズな対応が可能になります。LINEで一次対応し、詳細相談を電話や対面に繋げるハイブリッド対応が効果的です。
Q5. 回答が遅いと印象が悪くなりませんか?
自動返信と営業時間明記で、返信の遅れによる不安を和らげましょう。たとえば「現在営業時間外のため、翌営業日にご返信いたします」といった定型文を活用すると、ユーザー側も安心して待てるようになります。
アトラボができること:LINE導線の設計から設置まで
「LINE公式アカウントで問い合わせを増やしたいけど、どう始めていいか分からない…」「ホームページとどうつなげればいいの?」と悩まれる企業様も多いのではないでしょうか。アトラボでは、LINE導線の設計からアカウント初期設定、Webサイトへの組み込みまでを一貫してサポートしています。
ホームページとの導線設計
ユーザーが自然にLINEでの問い合わせに進めるよう、バナー設置やボタン配置、ポップアップの設計まで、Webサイト全体の動線を最適化。訪問者が「問い合わせしやすい」と感じるUXを構築します。
LINE公式アカウントの初期設定
アカウントの開設、自動応答メッセージやリッチメニューの設定、業種に応じたテンプレートの導入など、面倒な初期設定をアトラボが代行。少ない工数でLINE導入が完了します。
セミオート対応の仕組みづくり
「全部を手作業で対応するのは大変…」という企業様には、よくある質問への自動返信と、必要に応じて担当者が対応するハイブリッド運用の設計を支援。日々の運用負荷を最小限に抑えます。
マーケティング活用のご提案も
LINEは「問い合わせ窓口」だけではありません。友だち登録ユーザーへの情報発信やキャンペーン活用など、今後の広報・販促ツールとしての活用も見据えた提案も可能です。
LINE導入を「面倒そう」と感じている方ほど、アトラボにぜひ一度ご相談ください。業種・課題に応じた最適な導入をご提案いたします。
まとめ:「ちょっと聞きたい」層を逃さない導線設計を
問い合わせの導線は、企業とお客様をつなぐ最初の一歩です。特にBtoC向けの中小企業では、電話や長い入力フォームでは拾いきれない「ちょっと聞きたい」「少しだけ相談してみたい」というライトなニーズが日常的に存在しています。
そんなニーズに応える手段として、LINE公式アカウントの活用は非常に有効です。敷居の低いコミュニケーション手段を用意することで、これまで取りこぼしていた見込み客との接点が生まれ、将来的な商談・成約のチャンスを広げることにつながります。
ホームページは情報提供だけでなく、問い合わせの入口として機能させるべきツールです。だからこそ、「誰に・どのように相談してもらうか」を設計することが重要です。
LINEの導入は目的ではなく、手段。大切なのは、それをどう活かしていくかです。アトラボでは、企業の課題や目的に応じた最適な導線設計をお手伝いしています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

コメント