「とりあえず自動翻訳」で大丈夫?多言語サイトの落とし穴と設計のポイント

海外からの問い合わせや、外国語を話す取引先・パートナーとの接点が増える中で、企業サイトに「多言語対応」を取り入れる動きが広がっています。
特に、翻訳機能を自動で追加できるツールやCMSの普及により、コストをかけず手軽に“対応している風”のサイトがつくれる時代になりました。

しかし、実際には「伝えるつもりが、逆に誤解を生んでしまっている」「海外ユーザー向けに見せているのに、社内にその言語がわかる人がいない」といった、表面だけの対応による問題も増えています。

多言語対応とは、単に言葉を置き換えることではなく、「その言語を使う人に、伝わる構造をつくること」。
本記事では、自動翻訳に頼りきった“なんちゃって多言語サイト”が抱える落とし穴と、本当に効果を発揮するための設計の考え方をご紹介します。

なぜ今、多言語対応が注目されているのか?

昨今、多言語対応が話題にのぼる背景には、インバウンド需要の回復海外取引の拡大があります。
コロナ禍を経て訪日外国人観光客が急増し、観光・サービス業だけでなく、地方の中小企業や製造業にも海外からの問い合わせが届くようになってきました。

また、販路拡大や人材採用の一環として、外国人材の採用や海外企業との取引を進める企業も増加。
こうした流れを受けて「日本語サイトだけでは伝わらない相手にどう情報を届けるか」が重要なテーマとなり、Webサイトの多言語対応が検討されるケースが増えているのです。

特に英語・中国語・ベトナム語といった主要言語だけでなく、特定の国との業務提携や工場委託を行う企業では、その国の言語での対応が求められる場面もあります。
「誰に」「何を伝えるために」多言語化するのかを明確にしないまま、形式的に“対応しているつもり”になることが、後々の課題につながりやすいのです。

“ただの翻訳”が逆効果になる理由

多言語サイトというと、「とりあえず自動翻訳を設置すればOK」と考えてしまいがちです。しかし実際には、単に言語を変換しただけのページは、ユーザーに誤解や不安を与えるリスクがあります。

1. 誤訳や不自然な文章がブランドイメージを損なう

自動翻訳は便利ですが、「文脈の読み違い」「専門語の誤訳」など、細かなニュアンスが崩れやすい傾向があります。
特に製造業や専門サービス、士業などでは、誤訳=専門性が低い企業という印象につながり、信頼性を損なう場合もあります。

2. 日本語前提の情報構造のままでは伝わらない

ページ内容をそのまま翻訳しただけでは、外国語圏のユーザーの情報の探し方に合っていないことが多くあります。
・日本では当たり前の「お問い合わせ前提の説明」
・曖昧な表現や遠回しな言い回し
・数字や基準が国ごとに異なる商習慣
こうした「日本語での当たり前」は、外国語では通用しないことが少なくありません。

3. 会社として“対応できない問い合わせ”が届く

多言語ページを公開すると、その言語で問い合わせが来るのは当然の流れです。
しかし、社内にその言語を理解できる人がいなければ、
返答ができない → 放置 → 評判を下げる
という最悪の流れになってしまいます。

4. 国によって求められる情報がそもそも違う

例えば英語圏と東南アジアでは、重視する情報や考え方が大きく異なります。
日本語のページを翻訳しただけでは、その国のユーザーが本当に知りたい情報が抜け落ちていることが多いのです。

このように、「ただ翻訳しただけ」の多言語ページは、むしろ逆効果になる可能性があります。
多言語化を成功させるには、言語そのものではなく“その言語を使うユーザー”に合わせた設計が欠かせません。

ありがちな“勘違い多言語サイト”

実際のWeb制作現場でも、「とりあえず多言語対応しておこう」という意図で作られたサイトをよく目にします。
しかし、その多くが“多言語対応のつもり”になっているだけで、実際にはユーザーにとって不親切なケースも少なくありません。

1. 自動翻訳ウィジェットを設置しただけ

Google翻訳やブラウザ翻訳ツールを使えば、確かに簡単に多言語化できます。
しかしこれは「言語切り替え」ではなく「ユーザー任せの翻訳」であり、企業としての正式対応とは言えません。
意図しない訳語や誤解を招く表現がそのまま表示されるリスクもあります。

2. 日本語ページを直訳しただけ

言葉としては間違っていなくても、「日本語的な文脈」や「日本独自の商習慣」をそのまま訳すと、伝わらない、または違和感を持たれることがあります。
海外のユーザーが「この企業は自分たち向けではない」と判断して離脱してしまうことも。

3. ページ構成は日本語サイトとまったく同じ

例えば、英語版ページでも「会社概要」「事業案内」「代表メッセージ」といった日本語サイトと同じ構成になっているケースはよくあります。
しかし、海外ユーザーにとっては「製品情報」や「連絡先」「対応エリア」「サポート内容」のほうが優先されることも多く、情報の優先順位が合っていないままでは、思うような成果にはつながりません。

4. 問い合わせフォームや電話対応が日本語のみ

英語ページが用意されていても、問い合わせフォームが日本語しか受け付けていない、電話で英語が通じない、といったことは意外とよくあります。
結果として「対応できないなら最初から翻訳しないほうがよかったのでは?」という状況に。

5. 社内で誰も英語が読めない・話せない

多言語ページを用意したのはいいものの、実際に対応できるスタッフがいないという本末転倒なケースも。
結局「放置された問い合わせ」が増え、ユーザーとの信頼関係が築けないまま終わってしまいます。

このようなケースを避けるためにも、「言語を追加すること=対応範囲を広げること」であるという意識を持ち、社内体制や目的とセットで設計することが大切です。

“伝わる”多言語対応とは?4つの設計ポイント

多言語対応は「翻訳すること」ではなく、「伝わる形で情報を届けること」が本来の目的です。
ここでは、ユーザーにしっかり届く多言語対応サイトを構築するために意識すべき4つのポイントをご紹介します。

1. 対象ユーザーと目的を明確にする

まず大切なのは、「誰に向けて、何のために多言語対応を行うのか」を明確にすることです。
海外の顧客に商品の魅力を伝えたいのか、海外のビジネスパートナー向けの信頼性を高めたいのか、それによってページ構成や言葉選びは大きく変わります。

2. 機械翻訳ではなく“文脈に合わせた翻訳”を

翻訳そのものはツールで簡単にできますが、その文脈が伝わるかどうかは人の判断が必要です。
業界用語、文化的な表現、敬語表現など、正確かつ自然な翻訳はプロの手を借りるのが安心です。
機械翻訳とのハイブリッドで対応する場合も、最低限の校正・監修は必須です。

3. 言語ごとにレイアウトや構成も最適化する

言語が変われば、読みやすい文章の長さや見出しの配置、視線の流れも変わります。
単純に日本語サイトを置き換えるのではなく、その言語圏のWeb閲覧文化に合わせた設計が必要です。
特にモバイル表示時の可読性やボタン配置には要注意です。

4. 問い合わせ対応や社内体制もセットで考える

多言語対応は「見せる」だけでなく、「対応する力」が求められます。
問い合わせへの返信、電話対応、見積書や契約書類のやりとりなど、社内で誰が・どう対応するのかもあわせて準備しましょう。
体制が整わない場合は、対象を限定するか、明記しておくことも選択肢のひとつです。

これらのポイントを意識することで、多言語サイトは「なんとなく」ではなく、戦略的に成果を上げる武器になります。

翻訳か、ローカライズか|目的別に見る言語対応の考え方

多言語対応と聞くと、多くの方が「とりあえず翻訳すればいい」と思いがちですが、「翻訳」だけでは足りないケースも少なくありません。
言語対応の設計を考える際は、「翻訳」と「ローカライズ」の違いを理解したうえで、目的に合った手法を選ぶことが重要です。

「翻訳」は文字通りの置き換え

翻訳は、日本語の文章を別の言語に置き換える作業です。
商品紹介や会社概要、基本的なサービス説明など、意味が正確に伝わればOKという内容には、翻訳で十分対応可能です。
ただし、業界用語や専門性の高い文章は、正確な翻訳が難しくなることもあるため注意が必要です。

「ローカライズ」は“現地の文脈”に最適化すること

一方、ローカライズとは、単なる翻訳を超えて、現地の文化・習慣・価値観に合わせて情報を最適化するプロセスです。
たとえば、キャンペーンのキャッチコピーや導線設計、色使いや写真の選び方など、現地の“共感”を得るための調整が求められます。
海外向けプロモーションや現地ユーザー獲得を目的とする場合は、ローカライズが欠かせません。

目的別|どちらを選ぶべきか?

  • 取引先に企業情報を伝える → 基本は「翻訳」でOK(PDF資料や会社概要ページなど)
  • 越境ECで販売を促進したい → 商品ページは「ローカライズ」が重要(表現・文化に配慮)
  • 観光業で外国人集客を狙う → ほぼ「ローカライズ」が必須(文化的感覚・導線設計)
  • 外国籍の従業員向け社内ページ → 文意重視で「翻訳」がメイン(制度説明など)

すべてのページでローカライズを行う必要はありません。
目的や対象読者によって、適切な“深さ”を見極めることが、コストと効果のバランスを取るカギです。

よくある質問・懸念点へのアドバイス

多言語対応に関心があっても、「費用対効果はあるの?」「運用は大変じゃない?」といった疑問から一歩を踏み出せないケースは少なくありません。
よくある質問と、それに対するアドバイスをまとめました。

Q1. 自動翻訳じゃダメなんですか?

自動翻訳は便利ですが、意味が通じても“意図”が伝わらないことが多くあります。
商品やサービスの価値を正しく理解してもらいたいなら、最低限の人の目によるチェックや編集は必要です。

Q2. 英語対応だけで十分ですか?

対象とする国やユーザー層によって異なります。英語が通じる地域でも、母国語での情報提供が信頼感につながることは多いです。
たとえば東南アジアでは、タイ語やベトナム語対応が成果を左右することもあります。

Q3. 社内に外国語ができるスタッフがいません

問い合わせ対応やページ更新に不安がある場合は、専用の問い合わせフォームや外注サポートを活用する方法もあります。
また、「資料請求・商談は日本語で」など制限を明記することで誤解を防ぐことも可能です。

Q4. 維持費や更新が大変そう

すべてをリアルタイムに更新する必要はありません。
重要なページだけを多言語化し、更新頻度の少ないページは静的な翻訳で運用する、といった割り切りも可能です。

Q5. 結局、やる意味あるの?

はい、「やる目的」と「届けたい相手」が明確なら、大きな意味があります
特にニッチな市場や現地特化型の戦略をとる企業ほど、多言語対応によって競合との差別化が図れます。

よくある質問・懸念点へのアドバイス

多言語対応に関心があっても、「費用対効果はあるの?」「運用は大変じゃない?」といった疑問から一歩を踏み出せないケースは少なくありません。
よくある質問と、それに対するアドバイスをまとめました。

Q1. 自動翻訳じゃダメなんですか?

自動翻訳は便利ですが、意味が通じても“意図”が伝わらないことが多くあります。
商品やサービスの価値を正しく理解してもらいたいなら、最低限の人の目によるチェックや編集は必要です。

Q2. 英語対応だけで十分ですか?

対象とする国やユーザー層によって異なります。英語が通じる地域でも、母国語での情報提供が信頼感につながることは多いです。
たとえば東南アジアでは、タイ語やベトナム語対応が成果を左右することもあります。

Q3. 社内に外国語ができるスタッフがいません

問い合わせ対応やページ更新に不安がある場合は、専用の問い合わせフォームや外注サポートを活用する方法もあります。
また、「資料請求・商談は日本語で」など制限を明記することで誤解を防ぐことも可能です。

Q4. 維持費や更新が大変そう

すべてをリアルタイムに更新する必要はありません。
重要なページだけを多言語化し、更新頻度の少ないページは静的な翻訳で運用する、といった割り切りも可能です。

Q5. 結局、やる意味あるの?

はい、「やる目的」と「届けたい相手」が明確なら、大きな意味があります
特にニッチな市場や現地特化型の戦略をとる企業ほど、多言語対応によって競合との差別化が図れます。

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「WEBの力で集客を」がアトラボのホームページ制作業務のコンセプト。オリジナルデザインでユーザーがわかりやすい・使いやすいコンテンツを目指し、確かな効果を発揮するホームページを構築してまいります。

まとめ|多言語対応は“伝わる”から始めよう

海外からの問い合わせや需要が高まる中、「多言語対応」は確かに必要な視点です。
しかし、「ただ翻訳しただけのサイト」では、伝えたいことが伝わらないどころか、信頼性を損なってしまうリスクさえあります。

誰に・何を・どう届けるのか?
これは日本語サイトと同様、むしろそれ以上に明確にすべき点です。
自動翻訳やテンプレートでは対応しきれない“伝える設計”こそ、多言語Web対応における本質といえるでしょう。

アトラボでは、言語・文化・ユーザー特性に合わせた情報設計をベースに、多言語でのWeb展開をサポートしています。
「とりあえず翻訳」ではない、多言語戦略をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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