情報が伝わる見出し、伝わらない見出し|Webデザインの分かれ道

Webサイトのデザインにおいて、「見出し」は単なる飾りではありません。訪問者がページを開いたとき、最初に目にするテキスト要素のひとつであり、そのページの内容を読み進めるかどうかを左右する「導線」のスタート地点でもあります。

しかし、実際の制作現場では「とりあえず見出しを中央に大きく」「デザインとして映えるように目立たせる」といった“ビジュアル先行”の見出し設計が少なくありません。とくにトップページや採用サイトなど、見た目の印象が重視されるページではなおさらです。

もちろん見た目の印象も大切ですが、“誰に”“何を”“どんな順番で”伝えるかという情報設計の観点がなければ、ユーザーにとっては「何のページなのか分からない」「興味を引かれない」といったUXの低下を招いてしまうことも。

この記事では、Webページにおける見出しの役割やレイアウトの向き不向き、サブタイトルの有効な使い方などを、UXの観点から丁寧に解説していきます。発注側のWeb担当者や、構成指示を行うディレクターの方にも役立つ内容です。

見出しは「構造」と「意図」を伝えるパーツである

Webページにおける「見出し」は、デザイン上のアクセントや装飾として捉えられがちですが、実際には情報構造を示す“道しるべ”であり、ページ全体の意図を示す“ナビゲーション”の役割を果たします。

たとえば「サービス紹介」ページでは、各セクションの見出しが適切であることで、訪問者は自分に関係する情報をスムーズに見つけられます。逆に、抽象的だったり意図が見えにくい見出しでは、ページ全体が読みづらくなり、結果として離脱や迷走を招きやすくなります。

また、検索エンジンもこの「構造」に注目しています。h1〜h3といった階層構造に基づいて、どの情報が重要か、どのように関連付けられているかを判断しており、これはSEOにも密接に関わる部分です。

デザインの見栄えだけでなく、「ユーザーが情報を正しく、効率的に理解できるか」という視点から、“構造”と“意図”をセットで考えた見出し設計が求められます。

センター寄せと左寄せ|レイアウトで変わる“読みやすさ”と“印象”

見出しの配置方法としてよく使われるのが「センター寄せ」「左寄せ」です。どちらが正解というものではなく、ページの目的やコンテンツの構造によって使い分けることが重要です。

センター寄せの特徴

  • 印象:視覚的にバランスがよく、落ち着きや華やかさを演出
  • 適した用途:トップページのヒーローセクションや採用ページなど、印象やメッセージ性を重視した場面
  • デメリット:文章の開始位置が毎回中央になるため、読み進めるリズムが乱れやすい

左寄せの特徴

  • 印象:整然とした印象で、情報整理されているように見える
  • 適した用途:サービス紹介ページやコラムなど、情報を多く含む構成の下層ページ
  • デメリット:デザインの自由度やインパクトはセンター寄せに比べて控えめ

感覚で配置を選ぶのではなく、ページの目的やユーザーの動線を意識して配置することが、見た目だけでなくUXの質にも直結します。特に「情報を整理して伝えたい」場合には左寄せのほうが合理的であることが多く、逆に「感情に訴えかけたい」場合にはセンター寄せが効果的です。

見出しに“サブタイトル”を加えるべきか?

見出しはユーザーにとってページの「地図」や「目印」のような役割を果たします。しかし、見出し単体では内容の意図や詳細が伝わりにくい場合もあります。そこで有効なのがサブタイトル(補足文)です。

サブタイトルを入れるメリット

  • 一目で「何についての見出しか」がわかる
  • 見出しの内容を具体的に補足することで離脱を防げる
  • SEO対策としてキーワードを補完的に含めやすい

サブタイトルの注意点

  • 文が長すぎるとUX的に読みにくくなる
  • フォントサイズや余白によっては視覚的なごちゃつきの原因に
  • 文章がメイン見出しと矛盾してしまうと混乱を生む

特に情報量が多いコンテンツページやサービス紹介ページでは、サブタイトルの有無で「理解の速さ」が大きく変わります。ただし、ビジュアル重視のトップページやLPでは、余分なテキストが逆効果になることもあるため、ページの目的に合わせて使い分けることが大切です。

「文字量が多い=悪い」ではない|UX的に見出しが果たす役割

Web制作の現場では、よく「見出しは短くシンプルに」という声を聞きます。確かに第一印象やデザインの観点では、短く簡潔な見出しが有利な場面も多くあります。しかし、ユーザー体験(UX)の観点からは、必ずしも「短い=正解」ではありません

例えば、情報量の多いサービスページや、検索意図の明確なコラム記事では、「少し長くても内容が具体的に伝わる見出し」の方がユーザーにとって親切です。文字量が多いことで、ユーザーはその先に書かれている情報を予測しやすくなり、読み進めるモチベーションにもつながります。

実際にあった好例

ある採用特設ページでは、「会社紹介」よりも「働く環境・雰囲気を知りたい方へ|会社紹介」という見出しにしたことで、直帰率が大幅に下がったケースがありました。ユーザーが「自分の探している情報だ」と判断できる情報を、見出しでしっかり伝えることがUX向上に直結します。

ビジュアルとのバランスを意識

もちろん、長文すぎる見出しはデザインを損なう原因にもなりえます。文字サイズや改行位置、余白などビジュアルの調整もセットで考えることが必要です。「読ませたい」「理解させたい」「行動させたい」その目的に合った文字量と伝え方を選びましょう。

よくあるNG例|伝わらない見出しデザインとその改善案

見出しは、単に「目立たせる」ためのパーツではなく、情報の流れや意味を的確に伝えるためのガイドです。しかし現場では、意図せずユーザーに伝わりづらい見出しが設計されているケースも少なくありません。

NG例1|あいまいな見出し

【例】「私たちの想い」「サービスについて」
これらは一見すると問題なさそうに見えますが、内容が具体的に想像できず、ユーザーにとって「読み進める意味」が伝わりづらい見出しです。

改善例:「私たちの想い」→「お客様に選ばれ続けるための私たちの姿勢」
「サービスについて」→「中小企業向けに最適化した3つのWebサービス」

NG例2|ページの目的とズレている

採用ページで「企業の強み」とだけ見出しがあると、読み手にとっては「何に対しての強み?」と感じてしまいます。
見出しはページ全体の目的や文脈と結びつけて設計する必要があります。

改善例:「企業の強み」→「未経験から活躍できる仕組みとサポート体制」

NG例3|デザイン優先で読みにくい

見出しのテキストがすべて大文字だったり、極端に細いフォントで表示されているケースは、デザインとしてはおしゃれでも、読みやすさを損ねてしまいます。特にモバイルでは注意が必要です。

改善案:情報の重要度に応じて視認性の高いフォントとサイズを使い分ける。読みやすさを最優先にしつつ、デザインバランスを取るのが理想です。

見出しデザインの改善は、ちょっとした言葉の工夫や、デザインの再調整で大きく変わります。読み手に伝わることを最優先に設計していきましょう。

アトラボでは、情報設計とビジュアル設計の“両立”を重視しています

私たちアトラボでは、見た目の美しさやインパクトだけに偏らない、「伝わる」ことを第一にしたWebデザインを大切にしています。

ホームページにおける見出しやレイアウトは、ただ装飾的に配置されるのではなく、そのページの目的・導線・読者の理解度を考慮して設計された“情報の骨格”です。そのうえで、フォント、サイズ、配置、余白などのビジュアル要素が加わり、ブランドらしさや印象を高めていきます。

特にBtoB企業や中小企業のサイトでは、「ユーザーが知りたい情報にストレスなくたどり着けること」が成果に直結します。見出しやナビゲーションひとつの違いが、「読まれる」「理解される」「問い合わせにつながる」かどうかを左右するからです。

アトラボでは、情報設計からワイヤーフレーム、ビジュアル設計、実装、検証に至るまで、すべてを社内で一貫して対応。お客様との対話を重ねながら、「本当に必要とされるWebサイト」を形にしていきます。

「構成はあるけど、情報設計に自信がない」「デザインがバラバラで統一感がない」とお悩みの方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ|見出しは“読み手へのナビゲーション”

Webサイトにおける「見出し」は、ただの文字装飾ではありません。ページ全体の構造を伝え、ユーザーを導く“道しるべ”のような役割を持っています。

左寄せかセンター寄せか、サブタイトルを入れるか入れないか、文字数をどうするか…。こうした判断ひとつひとつが、情報の伝わりやすさや、読者の行動に大きく影響します。

特にスマートフォンでの閲覧が中心となった今、限られたスペースの中でも「今どの情報を読んでいるのか」「その先にどんな情報があるのか」が明確に伝わることは、ユーザー体験の向上に直結します。

見出しは、UX(ユーザー体験)を支える最前線の設計要素です。ビジュアルと機能、印象と論理、両方を兼ね備えた見出しデザインを意識することで、Webサイトの質は一段と高まります。

今後のWeb制作において、ぜひ「見出し=ナビゲーション」という視点を持って設計・チェックを行ってみてください。

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