
Googleアナリティクスを使ってホームページのアクセス解析をしていると、「見覚えのないドメインからのアクセス」が記録されていることがあります。たとえば wake-up-network.com や trafficbot.life など、不自然なURLがレポートに突然現れて「何これ?」と驚いた経験のある方も多いのではないでしょうか。
これらの正体は「リファラースパム」と呼ばれる悪質なスパムの一種です。見た目には特に被害がないように思えるかもしれませんが、放置しておくとアクセス解析のデータが歪められ、誤った判断や無意味な施策につながる可能性もあります。
しかも最近では、従来の「海外の怪しいサイト」だけでなく、AI系サービスを名乗るURLや日本語のドメインを使った“巧妙な”スパムも確認されています。知らずにクリックしてしまうと、悪質なサイトに誘導されるケースも…。
この記事では、リファラースパムの正体や、よく見かけるドメインの例、放置すると起きる問題点、そしてGoogle Analyticsでの基本的な対策まで、初心者の方でもわかるように丁寧にご紹介します。Web担当者の方も、普段あまり解析画面を見ない方も、ぜひこの機会にご一読ください。
リファラースパムとは?
「リファラースパム」とは、アクセス解析ツールに偽のアクセス情報を送りつけて、自社サイトのURLを他人のアクセスレポートに表示させるスパム行為のことです。目的は、興味を持ったWeb担当者やマーケターがそのURLをクリックし、スパムサイトへの訪問を誘導することにあります。
つまり、実際にはあなたのホームページにアクセスしていないにも関わらず、アクセス解析データ上では“訪問があったように見せかける”というのがリファラースパムの特徴です。
なぜこんなことをするのか?
スパム業者は、Google Analyticsやサーバーログに自サイトのURLが残るようにすることで、リンクを踏ませてアクセスを稼ぐ、もしくは詐欺サイト・フィッシングサイトへの誘導SEO効果の偽装などを狙っています。
Botによる2つの代表的な手口
- 偽のリファラ情報を使ったスパムアクセス
実際にあなたのサイトにアクセスし、偽の参照元(リファラ)を送ることで解析ツールに記録を残します。 - “ゴーストリファラー”と呼ばれるアクセス
サイトに実際にはアクセスせず、Google Analyticsの計測用トラッキングIDを使って外部から直接データを送信します。
代表的なスパムドメインの例
以下のようなドメインが、リファラースパムとして多く報告されています(アクセスしないように!):
wake-up-network.combottraffic.xyztrafficbot.lifegoogleads.g.doubleclick.net(正規に見せかけた偽装ドメイン)
これらはクリックしないように注意し、アクセス解析上のノイズとして処理することが大切です。
実際に現れやすいスパムドメインの例
リファラースパムに使われるドメインは、日々新しいものが登場していますが、中でもよく報告されるものにはいくつかの傾向があります。以下は、2024〜2025年現在で特に目立つスパムドメインの例です。
頻繁に報告されているドメイン一覧
wake-up-network.com(日本のサイトでも急増中)bottraffic.xyztrafficbot.lifefree-seo-tools.orgevent-tracking.comgoogl.win(Googleを装う紛らわしいドメイン)alibabastats.com(有名企業風の偽装)rainmakertrk.com7makemoneyonline.com
これらのドメインは、アクセス解析ツールに「参照元」や「トラフィックの流入元」として表示されることが多く、「あれ?なんだこのサイト?」とクリックしてしまうのが狙いです。
ドメインに共通する特徴
- 一見それっぽいが、正体不明のドメイン名(例:marketing-analytics.xyz)
- Googleや有名企業風の名称を使って信用させる
- .xyzや.winなど、無料・格安で取得できるドメインを利用
注意点
アクセス解析にこれらのドメインが表示された場合、絶対にクリックしないことが第一です。中には、クリック先でウイルス感染やフィッシング詐欺の被害にあうものも存在します。
また、「うちのサイトがどこかで紹介されたのかも?」と期待してクリックしてしまうケースも少なくありません。心当たりのないドメインには、むやみに反応しないようにしましょう。
放置すると何が問題?
リファラースパムは「ただの迷惑アクセス」ではありません。アクセス解析の信頼性を大きく損なうだけでなく、場合によってはセキュリティ上のリスクにもつながります。ここでは、リファラースパムを放置することで発生する主な問題を整理しておきましょう。
1. アクセス解析のデータが歪む
Googleアナリティクスなどの解析ツールに、リファラースパムが「参照元」や「流入元」としてカウントされると、正確なユーザー行動の分析ができなくなります。たとえば、以下のような影響が出ます。
- 不自然に直帰率が高くなる
- 滞在時間が0秒などの異常値が混ざる
- 特定の国(ロシア・アメリカなど)からの流入が急に増える
- 「参照元サイト」や「ランディングページ」のデータがノイズだらけになる
これにより、「キャンペーンの効果測定」や「改善すべきページの特定」といった本来の解析目的が果たせなくなってしまいます。
2. 管理者の心理的ストレスや対応工数が増える
何度も現れる謎のアクセスに、「不正アクセスかも?」「セキュリティ対策が甘いのでは?」といった不安を感じる方も多いです。また、社内でレポートを作成している場合、不要なフィルタ処理や修正対応に時間を取られるのも地味に大きな負担となります。
3. 思わぬセキュリティリスクの入口になることも
中には、スパムドメインにアクセスさせることで、マルウェアに感染させる、パスワードを盗むフィッシングサイトに誘導するなど、明確な悪意をもった攻撃のケースも存在します。つまり、クリックすること自体が危険である場合もあるため、URL先に「興味本位」でアクセスしないよう、周知しておくことも大切です。
リファラースパムを見分ける5つのポイント
リファラースパムは、見た目だけでは通常のアクセスと区別がつきにくいこともあります。しかし、いくつかのポイントを押さえておくことで、怪しいアクセスを早期に発見し、フィルタリングすることが可能です。ここでは、リファラースパムを見抜くための5つの視点をご紹介します。
1. 直帰率が100%、滞在時間が0秒
スパムアクセスは、ユーザーが実際にページを見ているわけではないため、直帰率100%・平均滞在時間0秒という不自然な数値になるのが特徴です。これが特定の参照元ドメインから何度も発生している場合は、スパムの可能性が高いでしょう。
2. 突然増える海外からのアクセス
国内向けのサービスや企業サイトであるにもかかわらず、ロシア、アメリカ、インドなど海外からのアクセスが急増している場合も要注意です。特に、複数のアクセス元が同じドメインや不審な文字列で始まっているケースはスパムを疑いましょう。
3. ドメイン名に見覚えがない
リファラー(参照元)として表示されるドメインが、「wake-up-network.com」「trafficbot.life」など、サービス名でも企業名でもない不自然なURLであることがあります。このような見覚えのないドメインは、検索せずにスパムと判断して構いません。
4. 同じドメインから複数回アクセスがある
リファラースパムは、短期間に同じドメインから繰り返しアクセスしてくることが多いです。これは、アナリティクスに表示されることでユーザーを誘導しようとする意図があるためです。アクセス頻度もチェックポイントです。
5. 該当ページが存在しない/URL構成が不自然
スパムアクセスのランディングページを見ると、「そんなURLのページは存在しない」といった構成になっていることもあります。これはツールを使ってランダムにURLを生成している可能性があるためで、URL構成が雑・意味不明という点も、見極めのヒントになります。
Google Analytics(GA4)での主な対策方法
リファラースパムを放置していると、アクセス解析の精度が落ちてしまいます。特にGA4では従来のユニバーサルアナリティクス(UA)とは設定方法が異なるため、最新の対応方法を押さえておくことが重要です。ここでは、GA4で実施できる主なスパム対策を紹介します。
1. 無効な参照元を除外するフィルタ設定
GA4には、特定の参照元を除外する直接的なフィルタ機能はありませんが、参照元除外リストを設定することで間接的にスパムを除外することが可能です。
- GA4管理画面 → 「データストリーム」 → 「ウェブ」 → 「タグ設定を表示」
- 「調整」 → 「参照の除外リスト」→ スパムドメインを手動で追加
これにより、該当する参照元からのアクセスは「参照元なし(direct)」として処理され、レポートに表示されなくなります。
2. 不審なトラフィックのセグメント除外
GA4のエクスプロレーション機能を使えば、特定のドメインや条件に一致するアクセスのみを除外したレポートを作成できます。たとえば、以下の条件でスパムと思われるトラフィックを除外します。
- 参照元(source)に「.life」「.xyz」「.network」などが含まれる
- 国が不自然な場所(例:ロシア、アフリカ諸国)
- セッション継続時間が0秒
このような除外フィルタを使い、定期的にレポートを監視・確認することが効果的です。
3. Googleタグマネージャー(GTM)との連携でスクリプト制御
GTMを導入している場合は、リファラーやホスト名に応じたスクリプトの発火制御も可能です。例えば、信頼できるホスト名以外ではGAタグを発火させない設定にすることで、スパムアクセスを測定対象から外すことができます。
この設定は少し高度になりますが、社内でWeb担当者や制作会社に依頼することで対処できます。
4. 定期的なスパムドメインの監視と見直し
リファラースパムは常に新しいドメインが登場するため、定期的なチェックと除外設定の更新が必要です。月に1度程度、「参照元/メディア」レポートを確認し、怪しいドメインをメモしておくとよいでしょう。
また、以下のようなリファラースパムの監視サイトや海外フォーラムを活用すると、今後のスパム傾向を先読みできます。
それでも減らない時は?社内周知とサポート依頼を
リファラースパムは、GA4で設定を行っても完全に防げるものではなく、イタチごっこのように新しい手法やドメインで繰り返されます。特にセキュリティ対策が甘い状態では、再びレポートが汚染されてしまうリスクも高く、社内の意識と体制を整えることが重要です。
1. 担当者が1人で抱え込まない仕組みづくり
Web担当者が孤立して作業していると、問題が深刻になるまで誰も気づかないということも。アクセスレポートに関心を持つメンバーを増やし、「変なアクセスがあったら教えて」など、社内共有のルールや文化を整えると安心です。
2. レポートを複数人で確認する運用
Google Analyticsのレポートを社内で共有し、月に1回は定例的に確認するなどの運用ルールを設けましょう。マーケティング担当、営業、経営層など複数人で見るようにすれば、異変に気づきやすくなります。
3. 専門家へのサポート依頼も検討を
どうしても対策しきれない、設定がよくわからないという場合は、Web制作会社やSEOコンサルタントなど、外部の専門家に相談するのもひとつの手です。定期的な確認や設定の見直し、フィルターの提案まで一括して依頼することで、安心して解析環境を保てます。
特にGoogle Analytics 4(GA4)は仕様が大きく変わったため、UA時代の知識のままだと設定ミスや未対応が起きがちです。不安な場合は、無理せず専門家に頼ることをおすすめします。
アトラボでは、GAレポートの“ノイズ除去”や改善支援も行っています
株式会社アトラボでは、中小企業や個人事業主の皆さまのWeb活用をサポートする中で、Google Analytics(GA)レポートの見直し・整備も数多く対応しています。リファラースパムによってレポートが乱れてしまうと、正しい分析ができず、改善施策の判断を誤ってしまう危険性があります。
私たちは、GA4の設定見直しからスパム除外設定、レポートのカスタマイズ、定期的なモニタリング体制の構築まで、アクセス解析環境の“ノイズ除去”と“活用支援”を一括対応しています。
「GAのデータが信用できない」…そんな状態から脱却を
アクセス解析の数値にノイズが混じっていると、改善すべきページの特定やユーザー行動の理解が難しくなります。「なんとなく見ているけど、活かせていない」と感じている場合こそ、“使えるデータ”に整えることが第一歩です。
ホームページとセットでの分析改善も
アトラボでは、ホームページ制作・改善と連動したGA活用支援にも対応可能です。例えば、
- 問い合わせにつながる導線設計
- ユーザーの離脱ポイントの特定と改善
- スマホユーザー比率の変化とUI見直し
など、“数字から見えてくる課題”を、制作や運用に反映するところまでしっかり伴走します。
「数字はあるけど、見てもよくわからない…」「GA4って何を見ればいいの?」そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ|アクセス解析の“質”が、Web施策の成果を左右する
Google Analytics(GA)に表示されるリファラースパムは、見逃すと「数字が正しく見えなくなる」だけでなく、「誤った判断で施策を打つ」原因にもなりかねません。特に中小企業では、限られたリソースを効果的に使うためにも、正確なアクセス解析が不可欠です。
「なんだか変なドメインからアクセスがある」「セッション数が急に増えたけど理由がわからない」──そんなときは、リファラースパムを疑い、原因を特定し、必要なフィルターや対策を講じることが大切です。
アトラボでは、GAの初期設定から改善支援、スパム対策、さらにはホームページ運用まで一括サポートが可能です。「見えるけど、使えていない」GAデータを、「成果につながる」データに変えることで、日々の運用や改善がぐっとスムーズになります。
「最近、GAレポートがちょっとおかしいかも…」と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。




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