最近、中小企業や個人事業主の方からよくいただくご相談のひとつが、「補助金を活用してホームページを制作したい」というご要望です。
確かに、「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」といった制度は、過去にWebサイト制作の支援として多く利用されてきました。コロナ禍をきっかけに、補助金でホームページを作るという流れが加速し、関心が高まったのも事実です。
しかし、2025年現在、これらの補助金ではホームページ制作が“対象外”となっているケースがほとんど。制度そのものがなくなったわけではありませんが、「何でもかんでも補助金で作れる」時代ではなくなっています。
この記事では、
- ホームページ制作に補助金が使えるケース/使えないケースの見極め方
- なぜ使えなくなったのかという制度の背景
- それでも補助金以外の価値があるホームページ制作の必要性
をわかりやすく解説していきます。
「補助金ありき」で検討していた方こそ、ぜひ最後までご覧ください。
よく聞く2大補助金|「ホームページ制作」は対象外?
まず最初に、多くの中小企業・個人事業主の方が注目する2つの主要補助金について見ていきましょう。
小規模事業者持続化補助金(商工会・商工会議所)
販路拡大などの取り組みを支援する目的で、幅広い事業に使えることで知られるこの補助金。
過去にはホームページ制作にも申請が通った例が数多くありました。
しかし、2025年度の公募要項では、補助金全体の1/4(最大50万円)までしかWeb関連費用に使えないという明確な上限が設けられています。
さらに、単独でのホームページ制作は不可。
他の取り組み(チラシ配布や展示会出展など)とセットでの活用が前提です。
そのため、「ホームページだけを補助金で作りたい」という目的では、ほぼ申請が通らないのが現実です。
IT導入補助金
業務効率化や生産性向上を目的とするIT導入補助金も、以前はホームページ制作を含むサービスの導入に使われていました。
しかしこちらも、2025年度の制度では、「ITツール(会計ソフト、顧客管理、予約管理など)の導入」が前提となっており、ホームページ制作単体での申請は不可となっています。
たとえば「Web予約システム」や「ECサイト構築」など、業務機能と連動しているサイト制作であれば対象とっていた時期もありましたが、現時点ではECサイトも、コーポレートサイト・採用サイトの制作も対象外です。
結論:「ホームページ制作」は対象外が基本
このように、小規模事業者持続化補助金も、IT導入補助金も、現在の制度設計ではホームページ制作単体での申請は現実的ではありません。
補助金の名称や対象業種だけで判断せず、最新の公募要領を必ず確認することが重要です。
なぜ「使えなくなった」のか?補助金対象から外れた背景
ここ数年で、ホームページ制作が補助金の対象から外れるケースが増えた背景には、いくつかの要因があると考えられます。
以下は、あくまでも公表されている情報や過去の制度の傾向から読み取れる、“推察”に過ぎない内容としてご理解ください。
1. 成果の見えにくさ
ホームページは、作ったからといってすぐに成果が出るとは限りません。
特に「名刺代わり」として作成されたような静的なWebサイトでは、販路開拓や売上増加といった補助金の目的と乖離しやすい傾向があります。
事業成果の「定量的な報告」が求められる補助金においては、このような性質が問題視された可能性があります。
2. 一部の不正利用・形式的な申請
どの補助金でも見られる話ですが、過去に「実態のないサイト制作」や「流用・転用を前提とした制作」など、補助金の趣旨に反する事例が散見されていたことが指摘されています。
その結果、制度の信頼性を維持するために「Web制作全般」を制限する動きが強まったとも考えられます。
3. デジタルツールとの区別が難しい
近年の補助金制度では、「ITツールの導入」と「Webサイトの構築」の線引きが複雑化しています。
EC機能や予約機能など、システムとWebが連携するケースも多くなったことで、補助金の対象範囲の線引きが厳格になったと推察されます。
今後も「ホームページ単体」は厳しいかも?
こうした流れから考えると、今後もしばらくは「ホームページ制作単体」で補助金を活用するのは難しい状況が続くと考えられます。
ただし、次にご紹介するように、自治体独自の補助金や、広い意味で「Web関連費用」が対象となる制度もあります。
国の代表的な補助金が難しいからといって、すぐに諦める必要はありません。
とはいえ「使える補助金」もある!チェックすべき制度
「国の代表的な補助金ではホームページ制作が難しい」とお伝えしましたが、すべての補助金でNGというわけではありません。
実際、いくつかの制度では、条件次第でホームページ制作やWeb活用費用が補助対象として認められるケースがあります。
1. 地方自治体の独自制度
都道府県や市区町村が独自に実施している補助金・助成金制度の中には、「販路開拓」「デジタル化支援」などの名目でホームページ制作が対象となる場合があります。
特に、地域産業の活性化や観光促進、商店街支援などの目的で、中小企業や個人事業主向けに小規模ながら手厚い支援を行っている自治体も存在します。
ただし、期間限定の募集であったり、予算の上限が少ないといった制約がある点には注意が必要です。
2. Webサービスを含む「デジタル化支援」系の補助金
一部の省庁や団体では、中小企業のデジタル化やDX推進を支援する目的の補助金を提供しており、その中で「情報発信に関わる費用」としてWebサイト制作が認められるケースもあります。
この場合も、ホームページ単体というよりは、クラウドサービス導入やデータ活用といった全体設計の一部として扱われることが多く、事業計画の整合性や経費の妥当性が重視されます。
3. 商工会議所・商工会の限定施策
全国の商工会議所や商工会では、独自に会員事業者向けのサポート制度を設けていることがあります。
その中で、ホームページ作成費用の一部を負担するプログラムや、特定業種への支援施策が期間限定で実施されるケースもあります。
補助金ではなく「支援金」や「助成金」の名目であることもあるため、広い視点で調査するのがおすすめです。
制度を探すときのポイント
- まずは自社の所在地の自治体(市・区・町・村)の公式サイトをチェック
- 都道府県や業界団体が出している最新の「事業者向け支援制度一覧」を確認
- 「販路開拓支援」「情報発信支援」「デジタル化支援」などのキーワードで検索
ただし、これらの制度は常時募集ではないものが多く、予告なく終了する場合もあります。
気になる制度があれば、早めに問い合わせ・申請準備を始めるのが賢明です。
補助金頼りは危険?現実的なスケジュール感を知ろう
「補助金が出るなら、そのタイミングでホームページをリニューアルしよう」と考えている方も多いかもしれません。
しかし、補助金申請にかかる手間と時間を正しく理解していないと、結果的にチャンスを逃してしまうことがあります。
申請〜採択までにかかる時間は想像以上
補助金制度の多くは、「公募開始 → 申請書類の作成 → 締切 → 審査 → 採択発表」という流れで進みます。
この間、最短でも2〜3ヶ月、長ければ半年以上かかることも珍しくありません。
採択後も、契約、実施、報告書提出、補助金の入金まで含めると、1年がかりのプロジェクトになるケースもあります。
「今年度中に公開したい」には不向きなケースも
例えば「決算前にリニューアルしたい」「10月の展示会に間に合わせたい」「年明けから採用強化をしたい」といった具体的なスケジュールがある場合、補助金頼みのスケジュールでは間に合わない可能性が高いです。
また、採択後でなければ着手できないというルールの補助金も多く、事前に制作を始めてしまうと補助金の対象外になってしまうこともあるため注意が必要です。
書類作成や事務処理の負担も大きい
補助金の申請には、事業計画書の作成や見積書の提出、実施報告などの事務作業が必要です。
これらは本業の傍らで進めるには大きな負担となるため、社内にリソースが少ない中小企業や個人事業主にとってはハードルが高いのが実情です。
現実的な選択とは?
もちろん、補助金をうまく活用できるに越したことはありません。
しかし、「まずホームページをリニューアルしたい理由」や「成果を出したいタイミング」を軸にスケジュールを組み、補助金は“使えたらラッキー”というスタンスで考えるのが現実的です。
特に、事業成長や採用強化、営業活動の武器としてホームページを活用したい場合は、「今必要なものを、今の予算で作る」という決断が、長期的な成果にもつながります。
補助金が使えなくても、ホームページを作る価値はある!
「補助金が出ないなら、今じゃなくてもいいか…」と考えてしまう気持ち、よくわかります。
しかし、ホームページは“作ること”自体が目的ではなく、“活用して成果を上げる”ためのツールです。
補助金が使えないからといって機会を先延ばしにすることで、見込み客や人材との接点を逃しているかもしれません。
1.「情報の整備」で、信頼感と安心感が生まれる
問い合わせ前にホームページを見て企業の信頼性を判断する時代。
古いデザインや情報が少ないサイトは、それだけで信頼性を損ないます。
最新の情報をわかりやすく伝えるだけでも、企業イメージは大きく向上します。
2.営業・採用活動の“受け皿”になる
「展示会に出展しても、検索してもらえる場所がない」
「採用ポータルに求人を出しても、自社の魅力が伝わる情報がない」
このような状況では、せっかくの機会も取りこぼしてしまいます。
ホームページは、営業・採用など他の活動を支える“受け皿”としての役割も大きいのです。
3.情報発信による継続的な集客も可能に
オウンドメディアやブログ、施工事例の更新など、中長期的に検索流入を獲得できる土台としてもホームページは有効です。
SNSや広告との連携によっても、資産として育てていくことが可能です。
4.補助金に頼らず「できる範囲」で始める選択肢も
近年では、WordPressなどのCMSを使った段階的な制作や、ページ数を絞ってのスタートなど、予算を抑えても成果を出せる方法も増えています。
「全ページリニューアルは難しいけど、採用ページだけ作り直したい」
「LP(ランディングページ)だけでも作って運用してみたい」
といった部分的な施策も、成果につながる有効な一手です。
5.補助金に合わせるより、自社の“タイミング”を重視
補助金のタイミングに合わせて「今すぐじゃないけど作る」「予算のために内容を削る」よりも、今必要な施策を最適な形で実行するほうが、費用対効果が高くなるケースも多いです。
限られた経営資源を、「必要なところに、必要なタイミングで投資する」という判断こそが、補助金よりも大きな成果を生むこともあるのです。
アトラボでは、補助金の有無を問わず“成果が出る”ホームページをご提案
株式会社アトラボでは、これまで数多くの中小企業様のホームページ制作を支援してまいりました。
その中には「補助金ありき」で制作した案件もあれば、自社のタイミングと戦略に基づいて実施したプロジェクトも多数あります。
大切なのは、補助金があるかどうかではなく、「誰に、何を、どう伝え、どんな成果を得るか」という視点です。
アトラボでは、単なる“制作代行”ではなく、お客様の業種・エリア・強みに合わせた「戦略的なWeb設計」を心がけています。
予算に応じた“段階的”な提案も可能
「まずは必要最低限のページでスタートし、後から拡張したい」
「採用強化のために、求人ページだけを先に刷新したい」
といった柔軟な進め方にも対応可能です。
ホームページ制作に正解は1つではありません。
中小企業様ごとに、最適な進め方をご提案いたします。
補助金情報の相談もOK!
現時点では補助金の活用が難しい状況ですが、最新の補助金動向や各自治体の制度についても情報共有は可能です。
「今は難しくても、来年度に向けて準備しておきたい」といったご相談も歓迎しております。
補助金があってもなくても、成果につながるホームページ制作を。
Web戦略に関するお悩みは、アトラボまでお気軽にご相談ください。

まとめ
2025年現在、「補助金を使ってホームページ制作をしたい」というニーズは非常に多い一方で、国の主要補助金ではホームページ単体での申請が難しくなっているのが現状です。
特に「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」は、制度の変更や過去の不正利用の影響により、単独でのホームページ制作には適用されにくくなっています。
しかし、すべての補助金が使えないわけではありません。
一部の自治体や商工団体による地域密着型の補助金、特定事業目的に沿った支援制度など、条件を満たせばホームページ制作に活用できるケースも存在します。
とはいえ、補助金ありきで制作を計画するのは現実的ではありません。
審査や交付決定までの期間、年度末までに事業を完了しなければいけないスケジュールの制約など、柔軟性が求められる中小企業にとってはリスクも伴います。
今すぐに集客や採用に役立つホームページが必要であれば、まずは予算内で最大限の成果を得る設計を考えることが重要です。
補助金が使えるかどうかに左右されず、“戦略的に価値あるWebサイト”を作ることこそが、長期的な成果への近道となります。
アトラボでは、補助金の有無に関わらず、貴社の目標達成に寄り添ったホームページ制作を全力でサポートしています。
「予算が限られているけど、成果が出るサイトを作りたい」「補助金の最新情報も知りたい」
そんなご相談もお気軽にどうぞ。


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