「観光協会のホームページ、もう何年も更新してないなあ…」
「動画やSNSも活用したいけど、どう組み込めばいいかわからない」
地域の観光振興に携わるみなさんの中には、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
一昔前までは、観光協会のホームページといえば「観光マップの掲載」や「加盟店一覧」のような、いわばデジタル版のパンフレット的な役割が中心でした。しかし今や、観光協会のホームページは地域ブランディングの最前線。観光だけでなく、移住・定住促進や地域の経済活動とも連携しながら、“地元の顔”としての重要な役割を果たす時代に変わってきています。
一方で、デザインや導線が昔のままだったり、スマホ対応が不十分だったりすることで、せっかくの魅力が「伝わらない」「埋もれてしまう」ケースも少なくありません。来訪者の期待に応えるサイト設計ができていないと、地域の印象すら損ねかねないのです。
この記事では、観光協会のホームページを「今の時代に合った形」へアップデートするための7つの視点を、具体例とともにご紹介します。小さな改善が、地域全体の魅力発信力を大きく変える第一歩になるはずです。
1. スマホで見にくい構成・導線のままになっていないか?
最近の観光客の多くは、旅先の情報をスマートフォンで検索しています。電車の中で、宿で一息ついた時に、あるいは現地で「近くのおすすめは?」と探す──そんな行動が日常化しています。
しかし、いまだに多くの観光協会サイトがパソコン画面を前提とした構成のままになっており、「スマホでは見づらい」「操作しづらい」と感じられてしまうことが少なくありません。
せっかくの魅力ある観光情報も、“見にくさ”が原因で離脱されてしまう──それでは本末転倒です。
よくある「スマホで見づらいサイト」の例
- ファーストビューが文字だらけで、写真や魅力が見えてこない
- メニューが小さく、指で押しにくい・階層が深すぎて迷子になる
- 地図や表などがPCサイズのまま表示され、横スクロールが必要
- 画像が大きすぎて通信量がかかり、表示に時間がかかる
これらは、観光協会の方々にとっては“気づきにくい問題”でもあります。なぜなら、更新作業は多くの場合パソコンで行うため、「自分が見る分には問題ない」と感じてしまうからです。
今すぐ見直したいスマホ対応のチェックポイント
- スマホ画面での第一印象:スクロールせずに魅力が伝わるか?
- メニュー設計:迷わず操作できる導線になっているか?
- アクセス情報・営業時間:すぐに確認・共有・保存できるか?
- 現地から見ても便利:ナビ・SNS連携・予約などが機能しているか?
観光客にとって、ホームページは旅の最初の案内人です。地図アプリやSNS、クチコミサイトと併用される前提で、スマホ画面に最適化された「親切なサイト設計」が、今の観光協会には求められています。
2. 地元の魅力が“ジャンル別”で分断されていないか?
多くの観光協会ホームページでは、情報が「食べる」「泊まる」「遊ぶ」「買う」といったジャンルごとに分類されています。それ自体はユーザーにとって分かりやすい構造ではありますが、各ジャンルがバラバラに並べられているだけでは、地元の魅力は断片的にしか伝わりません。
たとえば、観光客が「この温泉地に行ってみたい」と思っても、その周辺にどんなカフェがあり、どんな体験ができるのか、スムーズにわからなければ、旅の想像が広がりません。
観光は“点”ではなく“流れ”で楽しむもの。訪れる場所、食べるもの、泊まる宿、それぞれをつなぐ「ストーリー」や「コース設計」があることで、旅は印象的な体験になります。
ありがちな課題
- 「モデルコース」がPDFで埋もれている
- ジャンルのページに行くと、別サイトに飛ばされる
- 地元の人の目線で選ばれた順番や組み合わせになっていない
- 「誰にとっておすすめなのか」が書かれていない
改善のヒント|テーマ・人物・季節で情報を再構成する
- テーマ別:絶景スポット巡り、ローカルグルメ満喫、温泉で癒し旅など
- 人物別:カップル旅行、子連れ家族、ソロ旅、シニア向けなど
- 季節別:春の桜コース、夏の涼スポット、秋の紅葉狩り、冬の雪見体験など
観光協会のホームページは、単なる情報の羅列ではなく、その地域でどんな旅ができるのかを“物語”として伝える役割を担っています。ジャンル分けをベースにしつつも、来訪者の動線や目的に沿った再編集が求められる時代です。
3. 写真や動画に“観光客の目線”が足りているか?
地域の観光協会サイトには、美しい風景や施設の写真、動画が掲載されていることが多いですが、“撮る側”の視点ばかりで、“見る側”の気持ちが置き去りになっているケースも少なくありません。
たとえば、ドローンで空撮した絶景の映像。確かに壮観ですが、訪れる人が実際に目にする視点ではないため、「きれいだけど、自分が行ったときにこの景色見られるの?」と、リアリティが湧きにくくなります。
また、地元のプロカメラマンが撮影した「完璧な構図」の写真も、画質は美しくとも、観光客が撮る写真とは違うため、Instagramでのシェアや再訪につながりにくいこともあります。
観光客目線の写真・動画とは?
- 実際に歩いた人が「この角度で撮りたくなる」構図
- 子どもと一緒に訪れた家族が体験している様子
- 店主との会話シーンや調理中のリアルな動き
- 「来てよかった!」という笑顔が写っている場面
“誰かの記録”ではなく、“自分ごと”として感じられる映像や写真が、今の観光情報には欠かせません。来訪者が「行ってみたい」「体験してみたい」と思えるような共感性の高いビジュアルを意識しましょう。
補足:地元事業者や観光客によるUGCの活用もおすすめ
SNSで投稿された実際の来訪者の写真や、地域事業者が発信している動画も、今では立派なプロモーション素材となります。無理に全部をプロ撮影で仕上げるよりも、ユーザー目線の「ありのままの魅力」を集めて見せる工夫が求められています。
4. SNSや予約ページと“つながって”いない
観光協会サイトの中には、SNSや宿泊予約・体験予約サイトと連携していないものが多く見受けられます。しかし今や、多くの旅行者が「情報収集 → 気になる → すぐ予約」の流れをスマホで完結させたいと考えています。
にもかかわらず、SNSのアカウントを下部に小さく表示していたり、予約に関しては「各店舗に直接お問い合わせください」といった案内のみでは、せっかくの来訪意欲を“取りこぼす”可能性が高くなります。
よくある「つながっていない」状態とは
- InstagramやFacebookの投稿が埋め込まれていない/更新されていない
- 宿泊施設紹介に「住所・電話番号」しか記載されていない
- アクティビティ紹介ページから予約ページに遷移できない
- SNSで話題になったスポットが公式サイトに載っていない
特に最近では、観光地選びにSNSの投稿が与える影響が非常に大きいため、公式サイトとの連携は欠かせません。また、外部予約サービス(じゃらん・楽天トラベル・アソビューなど)を活用している場合も、しっかりと導線を張っておくことが重要です。
理想的な連携とは?
- SNSのハッシュタグキャンペーンや、地域タグを紹介ページに反映
- 「この施設の空き状況を確認する」ボタンを配置
- 地元店舗の予約ページやInstagramへシームレスにリンク
- 投稿されたUGC(ユーザー生成コンテンツ)を紹介するコーナーを設置
「見て終わり」ではなく「行動につながる」観光サイトこそ、今求められている観光協会ホームページの姿です。情報の受け皿としてだけでなく、次の一歩を後押しできる設計が不可欠です。
5. ターゲット設定が曖昧で、誰に向けた情報かわからない
観光協会のホームページは、地域の情報を広く届ける役割を担っていますが、その分「誰に向けて発信しているか」が曖昧になりがちです。結果として、何を見せたいのか、誰に響かせたいのかがぼやけた“情報の倉庫”になってしまうことも少なくありません。
たとえば、若年層向けのアクティビティ情報のすぐ隣に、シニア向けの史跡情報や、地元の祭りの参加者募集などが並列に並んでいると、ユーザーは「自分向けの情報なのかどうか」が判断しづらくなります。
特にスマートフォンで閲覧する現代のユーザーは、数秒で「このサイトは自分にとって役に立つか」を判断しています。対象が見えていない構成では、離脱されてしまうリスクが高まります。
ターゲットを意識した情報設計のポイント
- 「誰に向けた情報か」をページ冒頭に明記(例:「ファミリーにおすすめ」「ソロ旅向け」など)
- シニア・外国人観光客・若者・カップル・子連れなど、複数ターゲットを軸で分けて設計
- モデルコースや体験ストーリーで、それぞれのターゲットに合わせた訴求を展開
- 地元住民・移住希望者向け情報は、観光客向けと区別してナビゲーション
「誰のための情報なのか」を明確に設計するだけで、ホームページの伝わり方は格段に変わります。自治体や地域の事情に合わせつつも、ターゲット別に整理されたサイト構成が、今後はより重要になっていくでしょう。
6. 会員向け・地元事業者向けの情報が観光客導線と混在していないか?
観光協会のホームページには、観光客に向けた情報だけでなく、地元事業者や会員向けの告知、報告、申請書類などの業務的コンテンツも掲載されることが多くあります。これは観光協会という組織の性質上、当然のことです。
しかし、その情報が観光客向けの導線の中に紛れ込んでしまっている場合、ユーザー体験を大きく損ねる原因となります。たとえば、イベント一覧の中に「会員総会のお知らせ」や「商工事業者向け助成金説明会」などが混ざっていると、観光客にとってはノイズになります。
逆に、地元事業者にとっても「情報が見つけにくい」「申請フォームがどこかわからない」など、業務に支障をきたす可能性すらあります。
両者を分けるためのポイント
- メインナビゲーションでは観光客向けを優先し、事業者向けは別タブまたはフッターなどに配置
- 観光系・地域住民系・会員系などターゲット別に入口を設ける
- URL構造やパンくずリストも明確に分離して、混在を防ぐ
- CMS管理画面でも投稿カテゴリを明確に分ける(担当者のミスも防げます)
すべての人にわかりやすく──ではなく、「このページは誰に向けたものか?」を明確にすることが、観光協会サイトのUXを大きく左右します。情報の量が多くなるからこそ、ターゲットごとの線引きが重要なのです。
7. 地域ブランドの“らしさ”がデザインに反映されているか?
観光協会のホームページは、ただの観光情報発信だけでなく、地域の個性やストーリーを「伝えるメディア」としての役割を持っています。にもかかわらず、全国どこかで見たことがあるようなテンプレートのようなデザインでは、その地域ならではの魅力が伝わりません。
「観光マップがある」「グルメ情報がある」「四季の写真が載っている」──これだけでは差別化はできない時代です。重要なのは「ここに行ってみたい」と思わせる、情緒や雰囲気の伝え方です。
“らしさ”を表現するためのデザインの工夫
- 配色・フォント・装飾などに、地域の伝統や風土を反映
- コピーライティングも、地元の言葉やストーリーを織り交ぜて構成
- 動画や写真には、観光地だけでなく“人”や“暮らし”を写す
- 訪問者の滞在体験に合わせたモデルコース・ストーリー型コンテンツの導入
たとえば、雪国ならではの“静けさと荘厳さ”、温泉地の“ゆったりとした時間”、漁村の“賑わいと人情”──そうした“空気感”を表現することが、実は一番強いブランディングになります。
「観光地」ではなく「旅先」として選ばれる地域へ。 その第一歩は、ホームページにおける「らしさ」の再設計から始まります。
アトラボでは、地域の「らしさ」を引き出す観光サイト制作を行っています
アトラボでは、千葉県を拠点にしながら、地域密着型のWebサイト制作を多数手がけてきました。ただ情報を並べるだけではなく、「この地域ならではの魅力とは何か?」を深掘りすることを、観光サイト制作において最も重要なプロセスと位置付けています。
私たちは、観光協会の職員や関係事業者の方々との丁寧なヒアリングを通して、「らしさ」の再発見をお手伝いしています。地元の言葉や風習、季節ごとのイベント、日常の中にある非日常。それらをWeb上で“感じてもらえる”ように、写真の選定やコピー、動画の構成にもこだわります。
また、地域ブランディングや移住定住の文脈と連動した設計、SNSとの連携や、スマホでもストレスなく閲覧できるUI・UX設計、予約や問い合わせ導線の最適化まで、一貫した制作体制でサポート可能です。
アトラボの観光協会向けホームページ制作の特長
- 地域のストーリー性を活かした企画・構成
- 地元事業者・観光客・住民・移住希望者など、複数ターゲットに配慮した導線設計
- スマホファーストの操作性と情報の見せ方
- 紙・動画・看板など他メディアとの連携も可能
- 公開後も一緒に育てていく運営サポートあり
「観光協会サイトは地域の顔」です。だからこそ、アトラボは、見た目だけでなく“らしさ”と“成果”を両立するデザインをご提案します。地域の魅力を、もっと伝わる形に。お気軽にご相談ください。

まとめ
観光協会のホームページは、かつての「観光案内所の代替」から、今では地域ブランドを発信するメディアとしての役割を担うようになっています。だからこそ、スマホ対応やSNS連携といった表面的な要素だけでなく、「誰に、どんな印象を与え、どう行動してもらいたいか?」まで設計されたデザインが求められます。
今回紹介した「7つのアップデート」は、どれも大がかりなリニューアルでなくても見直せる視点ばかりです。そして、何より大切なのは、地域の「らしさ」を発見し、正しく伝える姿勢です。それは派手な演出よりも、「らしい」言葉や写真、レイアウトで十分に伝えることができます。
アトラボでは、地域とともに考える観光サイトづくりを大切にしています。 今の観光協会サイトに少しでも「見づらさ」「古さ」「伝わらなさ」を感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。丁寧に、でもしっかりと、改善の道筋をご提案いたします。


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