日程調整にかける“無駄なやりとり”、まだ続けますか?
「来週のどこかでお打ち合わせできますか?」「◯日◯時はいかがですか?」「その日は別の予定が…」
――このようなやり取り、毎日のように続いていませんか?
メールや電話、チャットでの日程調整は、思っている以上に時間と労力を奪う業務です。特に社外とのやり取りが多い中小企業にとっては、「調整のための調整」が生産性を下げる原因になっていることも。
近年では、営業、採用面談、社内会議、外注との打ち合わせなど、あらゆるシーンで「日程調整ツール」を導入する企業が増えています。カレンダーと自動連携して候補日時を提示できるほか、ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議との連携も進み、“予定調整を自動化”できる環境が整ってきました。
本記事では、中小企業にも導入しやすく、実務で使える日程調整ツール6選を比較・解説します。
どのツールも無料プランありで、業務内容に応じた使い分けが可能です。ぜひ、ツール導入の検討にお役立てください。
比較の前に|日程調整ツールを選ぶ際の3つの視点
日程調整ツールを導入する際、まず整理しておきたいのは、「誰との日程を、どんな流れで調整するのか?」という前提です。
特に中小企業においては、顧客・取引先・求職者など“社外”とのやりとりに活用されるケースが大半。
「社内会議の調整」などを想定した高機能ツールよりも、外部との連携がスムーズかどうかが重要な選定基準になります。
ここでは、顧客対応や外注調整を目的としたツール選びで重視すべき3つのポイントをご紹介します。
1. 相手に「操作の負担」をかけない設計か
日程調整ツールを送った相手が「これは何?」「アカウント登録が必要?」「カレンダー連携しないと使えない?」と戸惑ってしまっては逆効果です。
メールリンクをクリックするだけで候補日を選べるなど、相手に負担がかからない設計かどうかは、もっとも重要な視点の一つです。
2. 普段使っているカレンダーと連携できるか
GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携できるツールであれば、自分の予定を自動で取り込めて便利です。
「二重予約の防止」や「空き時間の自動抽出」ができると、調整の手間が格段に減ります。
3. 通知・リマインドの仕組みがしっかりしているか
予約が入った後の通知メールの文面や、前日リマインドの有無なども確認しておきたいポイントです。
「うっかり忘れ」や「日程の行き違い」などのトラブルを防ぐ仕組みが備わっていれば、信頼性もアップします。
このように、日程調整ツールは単なる「便利グッズ」ではなく、顧客や取引先とのコミュニケーションを円滑にするインフラです。
ツールを“こちらの都合だけで選ぶ”のではなく、相手にとっても使いやすいかという視点が、実際の運用成功には欠かせません。
中小企業におすすめの日程調整ツール6選
ここからは、実際に中小企業が導入しやすく、顧客や外注先との日程調整をスムーズにしてくれる代表的なツールを6つご紹介します。
それぞれ特徴や得意なシーンが異なるので、業務内容に合ったものを選ぶ参考にしてください。
1. TimeRex|外部との予定調整に強い、王道のカレンダー連携型
GoogleカレンダーやOutlookと自動連携し、自分の空き時間を自動で抽出して候補日を提示できるツール。リンクを相手に送るだけで調整が完了します。
- 特徴:外部との調整がシンプル&高速。URL送信のみで完結
- 無料プラン:あり(基本的な機能は無料で十分)
- 有料プラン:月額825円〜
- 向いている業務:営業活動、個別商談、採用面談など
2. 調整アポ|商談・面談に便利な“予約ページ型”調整ツール
相手が「予約サイト」のような画面から日時を選べる設計で、複数人対応やGoogle Meet・Zoom連携も標準搭載。採用面談やWeb商談に向いています。
- 特徴:予約ページ形式で相手も直感的に使える/複数人での対応も可能
- 無料プラン:あり(1名まで)
- 有料プラン:月額1,650円〜
- 向いている業務:オンライン面談、採用業務、BtoC商談
3. GroupSession|社内スケジューラーとしても活用できる国産グループウェア
社内でのグループ管理に強く、自社サーバーへの設置も可能なスケジューラー。外部連携よりも、内部の効率化・スケジュール共有に向いています。
- 特徴:社内利用に特化/自社運用型も可能/機能が豊富
- 無料プラン:あり(OSS版)
- 有料プラン:クラウド版は月額220円/ユーザー〜
- 向いている業務:社内のチームスケジュール管理、勤怠連携
4. eeasy|営業マン視点で設計された、外部との日程調整に最適
相手が選べる日程調整のリンク作成が簡単で、メール署名に貼っておくだけで「予約対応」が可能。案件メモやリマインド通知など営業に嬉しい機能が充実。
- 特徴:メールでのやりとりを減らせる/営業・コンサル用途に強い
- 無料プラン:あり(1ユーザーまで)
- 有料プラン:月額980円〜
- 向いている業務:営業、提案活動、コンサルティング
5. Spir|採用業務・チーム運用に強い多機能型スケジューラー
日程調整だけでなく、候補者のステータス管理や社内担当との連携など、採用業務の自動化に強みあり。GoogleやTeams連携も可能。
- 特徴:日程調整+採用管理を一体化/チーム対応向け
- 無料プラン:あり(制限あり)
- 有料プラン:月額1,650円〜
- 向いている業務:採用活動(新卒・中途)、複数担当が関わる面接調整
6. Jicoo|デザイン性◎!予約ページも作れるノーコード型ツール
美しいUIと柔軟なカスタマイズが魅力で、個人事業主・サロン・教室など顧客向け予約管理にも最適。Stripeと連携して事前決済も対応可能。
- 特徴:デザイン性が高く、予約ページのブランディングが可能
- 無料プラン:あり(機能制限あり)
- 有料プラン:月額1,078円〜
- 向いている業務:BtoC予約業務、個人サロン、オンライン教室など
目的別|こんな会社にこのツールがおすすめ!
ここまで6つの日程調整ツールをご紹介してきましたが、実際にどれを選べばいいのかは業務内容や社内の体制によって異なります。
そこで、目的別・業種別におすすめのツールを以下のように整理しました。自社の状況に近いところからチェックしてみてください。
こんな用途・会社におすすめ | おすすめツール | 理由・ポイント |
---|---|---|
顧客との商談日程を素早く決めたい | TimeRex eeasy |
空き時間を自動抽出でき、リンクを送るだけで調整が完了。 eeasyはメール署名に組み込める点が便利。 |
オンライン面談や採用面接を自動化したい | 調整アポ Spir |
予約ページ形式で候補者も直感的に使える。 Spirは選考状況の管理まで一括で対応可能。 |
個人事業やサロンで予約受付をしたい | Jicoo |
洗練されたデザインで予約ページの印象アップ。 事前決済などの機能も充実。 |
社内のスケジュールを管理したい(オンプレミス可) | GroupSession |
社内利用前提の高機能グループウェア。 クラウド or 自社サーバー運用が選べる。 |
1人だけで営業・商談日程を回している | eeasy |
URL発行やメモ機能が軽快で、 “個人営業”に特化したシンプル設計。 |
まずは無料で使い始めたい | TimeRex Jicoo 調整アポ |
いずれも無料プランありで、基本的な調整機能は問題なく使える。 |
このように、それぞれのツールには得意なシーンとユーザー層があります。
自社の「誰が」「誰と」「何のために」日程調整をするのかを明確にすることで、最適な選択がしやすくなります。
よくある導入の落とし穴と注意点
日程調整ツールは確かに便利なものですが、「導入しただけで効率化できる」と思い込むと、逆にトラブルや手間が増えてしまうケースもあります。
ここでは、中小企業が導入時によくつまずきやすい“落とし穴”を3つ紹介します。
1. ツールのURLを「どこに貼るか」が曖昧で使われない
せっかく調整用のURLを発行しても、それをどこに載せるかを決めていないと活用されません。
たとえば、
- 営業メールの署名欄
- 問い合わせ対応後の自動返信メール
- 採用ページやLINEのチャットボット
などに貼ることで、相手から「空いている日時を教えてください」と聞かれる前に動線を作ることができます。
URLの“使いどころ”を社内で明確にしておくことが重要です。
2. Googleカレンダー連携で「予定の非公開設定」を忘れてしまう
Googleカレンダーと連携する場合、カレンダーの予定が相手に見えてしまう設定になっていると、意図せず機密情報が漏れる可能性も。
特に個人アカウントと業務アカウントを併用している場合には、
「空き時間だけを共有」「詳細非表示にする」設定にしておく必要があります。
3. 社内の一部だけが使っていて業務フローが分断する
営業部はTimeRex、採用チームはSpir、事務スタッフはメールで手動調整…とツールがバラバラだと、社内で混乱が起きることも。
小規模組織ほど「チームで統一」して導入することが、二重対応や伝達ミスの予防につながります。
このように、ツール自体の性能だけでなく、「どう運用するか」までをセットで考えることが、導入成功のカギになります。
まとめ|日程調整の効率化は“小さなDX”の第一歩
日程調整のやり取りは、一件一件は小さな作業でも、積み重なれば営業効率・採用効率・顧客対応力を左右する「時間のロス」になります。
相手に「ご都合の良い日時を3つほど教えてください」と聞く前に、リンク1つで完結できる。
それだけでも、業務は確実にスムーズになります。
特に中小企業にとっては、大規模なシステム投資をする前に、こうした“小さなDX”から始めることが、社内のデジタル活用を自然に広げていく第一歩です。
導入のハードルも低く、無料から始められるツールも多いため、「まずは1つ使ってみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか?
アトラボでも、クライアント業務に合ったツールの選定や導入サポートを行っています。
「どれがいいか分からない」「うちの業務でも使えるのか?」といったご相談もお気軽にどうぞ。
業務効率化は、日々の“ちょっと面倒”の見直しから。
ぜひ、日程調整ツールの活用を社内の第一歩にしてみてください。


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